NHK高校講座

ベーシックサイエンス

今回の学習

第32回

サイエンスヒストリー  〜ニュートンの物語〜

  • 科学監修:東京理科大学教授 川村 康文
学習ポイント学習ポイント

サイエンスヒストリー 〜ニュートンの物語〜

万有引力の法則って何?
  • アイザック・ニュートン
  • リンゴを落とす川村先生

21世紀の私たちは、はるか宇宙のかなたに向け、さまざまな探査衛星を送り出しています。
その扉を開いたのが、1642年にイギリスで生まれた、アイザック・ニュートンです。
ニュートンが発表した「プリンキピア」という本には、人類の歴史に大きな功績を残す偉大な法則である「万有引力の法則」が記されていました。
これによって科学は大きな進歩を遂げ、人類は宇宙へと飛び出していったのです。
今回はニュートンと万有引力の法則について、歴史をひもときながら学んでいきます。

「万有引力の法則」について、聞いたことはあっても、具体的にはどのようなものかはわからないというキュピトロンの3人。
さっそく、「万有引力の法則」について、ガリレオ先生こと、川村康文先生(東京理科大学教授)に解説していただきました。

川村先生が、手に持っているリンゴのおもちゃを離すと、リンゴは地面に落ちます。

  • リンゴ・月・万有引力

川村先生 「手を離せば、当然リンゴは落ちますね。でも、『月』はどうでしょうか。これは落ちてきませんね。」

キュピトロン 「確かに。」

川村先生 「なぜ、リンゴは落ちたのに、月は落ちないのでしょうか。 実は、リンゴと月の関係を考えると、万有引力の法則を知ることができます。まず、ニュートンが生まれた時代の人々が、地上のものの動きと宇宙の動きをどのように考えてきたのか見てみましょう。」

ニュートン以前 宇宙の運動法則は?
  • 天上界の運動
  • 地上界の運動

ニュートンが生まれた17世紀のヨーロッパでは、紀元前4世紀ごろに考えられた自然科学が、なお信じられていました。
宇宙を地上界と天上界とに分け、それぞれの運動法則が違うとする考えです。

天上界は神が支配する世界であり、天体の動きのように、完全な円運動を行っている。
それに対して地上界は不完全な世界のため、物体はリンゴが落ちるような直線運動しか行わない。
当時は、このように考えられていました。

しかし、ニュートンはこの考えに疑問を持ちました。
そして、地上も天上も運動法則は1つのはずだと考えます。

なぜ月は地球に落ちない?
  • 宇宙は無重力なので落ちてこない?
  • 月は地球と反発する力がはたらく?

彩加 「天上界と地上界があるんですね。」

藤本 「当時はそれを真剣に考えていたということです。ではここで問題です。ニュートンは月が地球に落ちてこない理由をどのように考えたのでしょうか?」

二千翔 「宇宙空間は無重力の世界なので、抵抗などもないから、同じ場所に維持できるのかなと思いました。」

彩加 「私は、リンゴは重力に引っ張られて落ちていくけど、月は何らかの反発する力がはたらいているのかなと思います。引きつけるのではなく、反発し合っているので、落ちてこないのかなと思います。」

田畑 「では、ニュートンはどんな答えを出したのでしょうか。」

万有引力の発見
  • リンゴも地球もお互いに引っ張り合っている
  • 質量が同じなら引っ張り合って出会う点は中間になる
  • 地球はほとんど動かず、リンゴと地球が出会う点は地上になる

1665年、20代のニュートンは大学で学んでいました。
ところが、イギリスではペストが大流行し大学は閉鎖してしまいます。
ふるさとに避難したニュートンは、次のように考えたと伝えられています。

リンゴは落ちたように見えるが実は、落ちたのではなく、地球に引っ張られたのだ。そしてリンゴの方も地球を引っ張っている。
もし、地球とリンゴの質量が同じだったら、お互いに引っ張り合って出会う点は、2つの距離の中間になるはずだ。
しかし、地球はリンゴに比べ圧倒的に質量が大きい。
質量の大きいものは動きにくいため、地球はほとんど動かず、リンゴと地球が出会う点は地上になってしまう。
引っ張る力は同じでも、結果としてリンゴは地球に落ちたように見えるのだ。

  • 月は地球に引っ張られながら、地上に落ちずに、地球の周りを回っている

そして、あらゆる物体が、この引っ張る力「万有引力」を持っている。
月と地球も万有引力によって引っ張りあっている。
そのため、月は地球に引っ張られながら、地球の周りを回っているのだ。

なぜ月は地球に落ちない?
  • リンゴを水平に投げる
  • 位置を離してもう一度投げる
  • リンゴの速度を程よい大きさにすれば、リンゴは地球の周りを回り出す?

彩加 「でも、月は引っ張られているのに、なぜ落ちないんですか?地球に落ちてもおかしくないじゃないですか。」

藤本 「それでは、その疑問を解決するために、リンゴのおもちゃを投げて実験してみましょう。」


里奈ちゃんから二千翔ちゃんに向かって、まっすぐ水平にリンゴを投げてもらいます。
リンゴは地球の引力に引かれて落ちていってしまいます。

里奈ちゃんと二千翔ちゃんの位置を離して、もう一度投げてもらいました。
今度も下に落ちましたが、先ほどより大きな力を与えたので、速度が大きくなって遠くまで飛びました。
さらに速度を大きくすると、リンゴは宇宙に飛び出してしまいます。
しかし、リンゴの速度を程よくすれば、リンゴは地球の周りを回り出すといいます。

  • 水平に投げたリンゴは地上に落ちる
  • 宇宙に飛び出す速度は秒速11.2kmを超える
  • 地球を一周する

リンゴが地球の周りを回るとは、一体どういうことなのでしょうか。
水平に投げたリンゴは、引力に引かれ放物線を描いて地上に落ちます。
もっと大きな力で速度を大きくして投げると、宇宙に飛び出してしまいます。
理論上、このときの速度は秒速11.2kmを超えています。

では、程よい力を与え速度を大きくし続けてみます。
やがて地球の表面の曲線とリンゴが落ちる軌道が同じになります。
すると、リンゴは地球の中心に向かって引かれ続けた状態で地上につかず、地球を一周してしまいます。
この時の速度は、秒速7.9km〜11.2kmの間です。

月もこれと同じ原理です。
地球の引力に引っ張られ続けながら、「月は地球に落ち続けている」といえるのです。

  • スタジオ風景

彩加 「秒速7.9km?」

里奈 「すごい速いね。」

彩加 「それでもまっすぐ行かずに地球に引きつけられているから、地球の周りを回っているというのがすごいな、と思いました。」

川村先生 「この世の中のすべての物体には、引力がはたらいていて、それを『万有引力』と呼んでいます。」

彩加 「では、今私たちにも万有引力がはたらいている?」

川村先生 「そう、はたらいています。」

藤本 「今キュピトロンのみんなも、僕たちも、ガリレオ先生も万有引力があってお互いに引っ張り合っているのです。」

キュピトロン 「えーっ?!」

田畑 「どう?引っ張られているのを感じますか?」

はやぶさ2と万有引力
  • 打ち上げられるはやぶさ2
  • 小惑星探査機はやぶさ2
  • 太陽の周りを一周するはやぶさ2

2014年12月に打ち上げられた「小惑星探査機はやぶさ2」は、万有引力を利用して宇宙を旅しています。
打ち上げ後のはやぶさ2は太陽を1周し、約1年後、地球の近くに戻って来ます。

  • 地球の公転の方向に引っ張られて軌道を変える
  • スイングバイ

地球に近づくほど、はやぶさ2にはたらく地球の引力は大きくなり、はやぶさ2はスピードを上げます。
そして、地球の公転の方向に引っ張られて軌道を変えながら、さらに加速します。
このように惑星の万有引力を利用する飛行方法が「スイングバイ」です。
ニュートンが発見した「万有引力の法則」は、最新の宇宙開発にも応用されているのです。


それでは、次回もお楽しみに!

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