NHK高校講座

ベーシックサイエンス

今回の学習

第31回

地球は回っているの?! 〜フーコーの振り子〜

  • 科学監修:東京理科大学教授 川村 康文
学習ポイント学習ポイント

地球は回っているの?! 〜フーコーの振り子〜

  • 自転
  • 北極星の周りを星が動いている

藤本 「地球が回っていることを『自転』といいます。地球が自転していることは、何となく知っているかと思います。では、実際にそれを地上で知るにはどうすれば良いと思いますか?」

二千翔 「夜空の星をずっと見ていれば……。」

藤本 「ずっと見てどうなっていれば?」

二千翔 「北極星は動いていなくて、その周りを星が動いている。それを見れば地球が自転していることがわかる。」

藤本 「もっと回っていることを実感できる方法があります。実は、皆さんが知っている “あるもの” を使えばわかります。」

キュピトロン 「あるもの?」

地球の自転を知るには?
  • フーコーの振り子
  • 振り子を揺らすキュピトロン

東京都小金井市の、東京学芸大学には、巨大な振り子があります。
実は、この振り子を使えば地球が自転していることを証明することができるのです。
それを示したのは、19世紀のフランスの物理学者レオン・フーコー(1819〜1868)でした。
そのため、この振り子は「フーコーの振り子」と呼ばれています。
振り子で地球の自転がわかるとは、どういうことなのでしょうか。
今回は、地球が自転していることをフーコーの振り子で確かめてみます。


彩加 「地球が自転していることが、振り子でわかるということですよね。」

藤本 「そうそう、空を見なくてもわかるのです。実際に振り子を用意しました。どうすれば、振り子を使って地球の自転を証明することができるのか、この振り子を観察しながら考えてみてください。」

キュピトロン 「全然わからないです。」

田畑 「それでは、フーコーの振り子を使ってどのようにすれば地球の自転を証明できるのか、見ていきましょう。」

振り子の観察
  • 東西の方向へ振れる振り子
  • 1時間後9°回転
  • 3時間後30°回転

振り子を正確に観察するため、東京学芸大学 地学教室 講師の西浦慎悟さんに力をお借りしました。

スタート時、振り子はほぼ東西の方向に振れていました。
しかし、1時間後、振り子が振れる方向がずれてきました。
スタート時の方向から約9°時計向きに回転しています。
約3時間後、振り子の振れる方向は、時計向きにおよそ30°回転しました。
この振れる方向の変化が、地球が自転していることの証拠なのです。

振り子と地球の関係
  • 振り子との振れる方向の変化と地球の自転の関係は?

田畑 「なぜ振り子の振れる方向が変化することと、地球の自転が関係していると思いますか?」

二千翔 「地球が回っている方向に振り子が引っ張られる?」

藤本 「なるほど。では、なぜ振り子の振れる方向が変化することで地球の自転が証明できるのか、実験によって確かめてみましょう。」

  • 実験の振り子
  • 台を回転させる
  • 台が回転しても振り子の振れる方向は変わらない

振り子の振れる方向はなぜ変化したのか、実験で確かめてみます。

回転する台に付いている振り子を振り、次に台を回転させてみました。
台が回転しても、振り子が振れる方向は変わりません。

実験装置の真上に設置したカメラからも見てみても、台が回転しても振り子の振れる方向が変わっていないことがわかります。

  • 赤い印の位置
  • カメラを取り付ける
  • 振り子の位置が変化

では、この振り子の運動を、台の上の赤い印の位置から下向きに見るとどのように見えるでしょうか。
振り子のアームの部分に、小さなカメラを取り付けました。
このカメラは台と一緒に回転します。

  • スタート時の振り子の方向
  • 回転開始後の振り子の方向1
  • 回転開始後の振り子の方向2

ここから振り子の動きを見てみると、振り子の振れる方向が変化しているように見えます。

スタート時は赤い線、回転を開始してからは青い線で示して比較します。
すると、回転していないはずの振り子が回転しているように見えているのがわかります。

  • 振り子は回転していない、台も地球も回転
  • 地球が回っているから、動いているように見えた?

この動きは、フーコーの振り子の動きに似ています。
振り子は回転しているように見えました。
しかし、回転台に取り付けたカメラから見た振り子は、実際には回転していません。
同じように、フーコーの振り子も回転しているように見えますが、実際に回転しているのは私たちを乗せた地球の方だったのです。



彩加 「地球が回っているから、動いているように見えた?」

田畑 「そう!」

彩加 「え〜っ!」

  • スタジオに用意した実験装置
  • 田畑が台を回す

では、このことを、スタジオに用意した実験装置を使っておさらいしてみます。

まず、回転台に取り付けた振り子を揺らしていきます。
はじめ、台の上に引いた赤い線の方向に、振り子は振れています。

回転台を回すと、一見、振り子の振れる向きは変わっているように見えます。
しかし、実際には回転台が動いているだけで、振り子の振れる向きは変化しません。
つまり、振り子の振れる向きが変わったのではなく、自分が乗っている地球の方が動いていたのです。
フーコーは今から160年以上も前に、すでにこのことに気付いていました。

振り子の振れる方向は場所で変化する
  • 川村 康文先生(東京理科大学教授)
  • 北極と赤道

ここで、ガリレオ先生こと、川村康文先生(東京理科大学教授)に詳しく解説していただきます。


川村先生 「フーコーは “同じ方向にしか振れない” という、振り子の性質を知っていました。つまり、振り子の振れる方向がずれないということは、動いているのは地球の方だと考えた訳です。ところが、もし赤道で振り子を振る実験をしたら、どうなると思いますか?」

二千翔 「変わらないと思います。」

川村先生 「そうなんです。」

田畑 「先生、どういうことですか?」

川村先生 「実は、振り子の動きは、地球上のどこで振り子を振るかによって変わってくるのです。」

  • 北極_回転開始
  • 北極_6時間後_90度回転

北緯90°の北極、北緯0°の赤道上に振り子があったとします。
6時間後、地球は90°回転しています。
この時の振り子の変化を見てみます。

北極では地面が90°回転しているので、振り子も90°回転したように見えます。

  • 赤道上_回転開始
  • 赤道上_6時間後_地面は回転しない

赤道上では地面が回転しません。
したがって、振り子も回転したようには見えません。

  • 中緯度_回転開始
  • 中緯度_6時間後_北極より小さい角度で地面が回転

北極と赤道の中間では、北極よりも小さい角度で地面が回転します。

このように、振り子は地球上のどこで振るかによって、回転したように見える角度が変わるのです。

  • フーコーは、1851年にこの振り子の実験をフランスのパリで行った
  • 行進するキュピトロン

フーコーは、この振り子の実験を1851年にフランスのパリで行いました。
もし、赤道の直下でこの実験をしていたら、地球の自転を証明することができなかったかもしれません。


最後に、行進を始めるキュピトロンの3人。
しかし、よく見てみると3人は動いてはおらず、背景だけが動いているのでした。


それでは、次回もお楽しみに〜!

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