NHK高校講座

美術T

今回の学習

第18回

映像 〜さまざまな表現方法〜

  • 美術教育監修:元 高知大学大学院 教授 上野 行一
    美術監修:東京藝術大学 特任教授 伊東 順二
学習ポイント学習ポイント

映像〜さまざまな表現方法〜

映像〜さまざまな表現方法〜
  • パントマイムをしている、石こう像の妖精(?)ミケさん
  • 上の空のシシド・カフカさん

パントマイムをしている、石こう像の妖精(?)ミケさん。
しかし、上の空のシシド・カフカさん。まったく見ていません。

「映像を使ってなにか表現できないか」考えていたというカフカさん。
「ミケさんを主役に映画を撮れば?」とミケさんは提案します。
しかし、カフカさんは、映画に限らずいろいろな映像表現を学びたいようです。

映像表現を楽しむ
  • 瀧健太郎さんの「invitation2」
  • 瀧健太郎さんの「invitation2」

モニターやスクリーンに映す以外にも、空間を使った映像表現があります。
例えば、上の図は、ある駅の高架下。
壁に映し出された映像は、瀧健太郎さんの「invitation2」という作品です。
映像が町の風景と融合することで作品が完成します。
このように空間を利用した映像作品をビデオインスタレーションといいます。

チームラボの「花と人、コントロールできないけれども、共に生きる」という作品は、人の動きに反応する映像作品で、人が動くと花が咲き始めるなど、映像が変化し続けます。
このように、見る人が参加できる作品をインタラクティブアートといいます。

映像の見せ方や使い方によって、いろいろな表現ができることがわかりますね。

美術がつむぐ物語
  • カフカさん
  • 伊東順二先生

今回、映像について教えてくれるのは東京藝術大学特任教授の伊東順二先生。

みなさんは映画を見るときに、映像を追いますか?ストーリーを追いますか?
現在主流を占めているハリウッド映画は全体的なストーリー性を大事にしているものが多くあります。
そのハリウッド映画も、50年〜60年前にフランスで起こったヌーべル・バーグという映画運動の影響を受けていたりもします。
ヌーべルは「新しい」、バーグは「波」という意味です。
当時の若い映画作家や評論家などが「恋愛ものばかりではなく、映像芸術としての映画を取り戻そう」と考え、映画界に革新を起こしたのがこの運動です。
アラン・レネ監督の「去年マリエンバートで」や、ジャン・リュック・ゴダールの「勝手にしやがれ」などは、この運動の象徴的な作品です。
「去年マリエンバートで」という作品は、“去年ここで会ったよね?”“いいえ、会ってないわ”というような話が延々と続きます。
とても斬新な手法ですが、時代と合っていたこともあり、一般的に受け入れられるようになりました。

伊東先生がオススメする映画の鑑賞方法は、音を消して映像を流すという見方です。
そうすると映画の特徴がよくわかるという伊東先生。
ワンショット、ワンショットが完成されていて、写真作品のように見えるといいます。

映像とは
  • 橋本典久さん
  • 映像にまつわるさまざまな表現方法を追求していま

今回、映像表現について教えてくれるのは、メディアアーティストの橋本典久さん。
360度すべての風景を映し出す映像作品や、映画の時間軸を視覚化した作品など、映像にまつわるさまざまな表現方法を追求しています。

  • “連続する動き”を撮影した写真

世界で初めて劇場で公開された実写映画といわれているのがリュミエール兄弟の「工場の出口」という作品です。
リュミエール兄弟がフランスで、工場から従業員が出てくるようすを写したシンプルな作品です。
映像は写真の連続です。
写真を高速で上映することによって、あたかも動いて見える、という仕組みです。
この仕組みは、今も変わっていません。

ミケさんがパントマイムをしている“連続する動き”を撮影した写真を用意しました。
1枚ずつ続けて再生してみます。
再生のスピードをあげていくと、ミケさんが動いているように見えます。
このように、連続して静止画を撮影し、高速で再生することで動く映像を作り出すことができるのです。
映像の本質は、記録と再生、そして人に動きの変化を伝えることができるということにあります。

イメージを動きで表現する
  • ゾートロープ
  • 横にある細い隙間から中を覗く

上の図はゾートロープという装置です。
1830年代、イギリスで発明された映像のおもちゃ、といわれています。
ゾートロープを回して、横にある細い隙間から中を覗くと、人が跳んでいるように見えます。
ひとつひとつ別のものですが、高速で次々と動くことによって動いているように見えるのです。

  • “さみしさ”がテーマ
  • トボトボと歩くようすを表現

今回はカフカさんにゾートロープを作ってもらいます。
お題は「喜怒哀楽などの感情表現を動きに込める」です。
カフカさんは“さみしさ”をテーマにすることにしました。
試行錯誤を繰り返しながら、トボトボと歩くようすを表現します。

  • 秋の落ち葉の上をトボトボ歩く男
  • こちらを振り返るようすも表現

さらに、ふり返るように頭を動かしたいと考えたカフカさん。
あまり顔を上げすぎると元気に見えてしまいます。あくまで“さみしさ”がテーマです。
頭の動きは、人に感情を伝達する上で重要なパーツとなります。
顔の動きや角度にこだわると、わかりやすいアニメーションを作成することが可能になります。

最終的に、カフカさんは枯葉を入れ、「秋の落ち葉の上をトボトボ歩く男」のイメージで作り上げました。
しっかり、こちらをふり返るようすも表現できています。
トボトボ歩いているようすは、ぜひ番組でご覧ください!

  • 次回もお楽しみに

それでは次回もお楽しみに!

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