今回の達人は、落語家の春風亭一之輔さん。
一之輔さんは、大学卒業後すぐに落語界へ入り、古典落語に現代的な要素を取り入れた独創的な落語で人気を博しています。

足立「落語界や落語の話の中で『粋だねえ』っていう言葉を耳にするんですけど、どういうニュアンスなんですか？」
一之輔「難しいですね。粋ってね。」
足立「今で言う、格好いいとかオシャレとか、そういった意味ですか？」
一之輔「“オシャレ”は近いですけど、『オシャレでしょ、見て』とか『すごいでしょ』っていうような“オシャレ”ではないんですよ。ゴテゴテしていない。例えば、着物の長じゅばん（袖の下の隠れた部分）を柄物にしてみたりとか、見えないところに気をつかうのは『粋だね』とか言われます。あとはハートですね。心意気というんですか。周りに気をつかわせないで、大勢の後輩がいたら何も言わないでその人のお勘定を払って帰っていく、とかね。」
足立「素敵！」
一之輔「『オレが払うよ』とか言わないんですよ。なんとなく、みんなが気づかないうちにスッと払って帰っちゃう先輩とか。そういう気づかいができる人が粋な人です。」
足立「日本語には同音異義語がありますが、日本語ならではの言葉遊び…落語界ならではのおもしろい節があったら教えていただけますか？」
一之輔「最近だとダジャレとか親父ギャグとか言われますけど、好きでしょう？結構出ますよね。」
足立「私、大好きなんです！」
一之輔「そういうの好きな人って、要は言葉遊びですから、頭の回転が速い人のほうがポンポン出るわけです。だから自信持ったほうがいいですよ。」
足立「最近、みんなの反応がちょっとずつ気をつかった笑いになってきて、申し訳なくなっちゃって。どんどんか弱い声になって…。」
一之輔「あ～…気をつかわせちゃうと粋じゃないんですよ。」
足立「そうですよね。。。」
一之輔「でも、思いついたら言ってもいいと思いますよ。あと、同音異義語でもギャップがあるといいですよね。音は一緒だけど意味が全然違うっていうギャップを笑うっていうのがありますよね。ねずみの小噺っていう小噺があるんですけど、『ねずみを捕まえて、“大きいねずみだろ？”　“小さいよ、こんなの！”　“いや大きいよ！”　“いや小さいよ！”と言い争いをしているところに、下からねずみが出てきて“ちゅう（中）”って言った』」
足立「あはは！」
一之輔「あ、ハマった、ハマった！」

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