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先生向け高校講座の使い方

栃木県立
宇都宮高等学校 通信制

教科外指導で使う

生徒が学校生活で輝くために!教科外指導にも高校講座を活用しています。

宇都宮高等学校 通信制(2018年11月当時/現 鹿沼商工高等学校 教諭)上杉寛先生

高校講座を使う目的は?

生徒の内面の充実の
サポート
学習効果の向上
生徒が課題へ取り組む際のイメージ促進

高校講座を活用する
シチュエーション

  • 教育相談:「ロンリのちから」で論理的な思考と表現を学ぶ
  • 総合的な学習の時間:「総合的な探究の時間」で学習のイメージを持たせる
  • 進路指導:「総合的な探究の時間」+「仕事の現場 real」で進路意識を高める
  • 教科指導:報告課題に対応する放送回を記載。またQRコードの配布

どうして高校講座?

「生徒の内面の充実をサポートすることで、学習効果も高まる」
高校講座を利用するようになったのは、スマートフォン等を日常的に使う生徒の変化に合わせて、メディア教材による伝え方も一つの手段と考えるようになったためです。
生徒が学校へ通う目的は「単位を修得すること」であり、教科としての勉強も大切です。しかし中には様々な悩みを抱えた生徒もおり、そのような状況では学習効果は上がりません。そこで、生徒が「通信制高校を楽しむ」ようになれば、内面が充実し、そこから学習効果も上がるのではと考えました。
通常の教科視聴はもちろんですが、NHK高校講座のサイト内には、教科指導以外にも役に立つコンテンツが多くあります。

高校講座を活用した学習指導例

教育相談:「ロンリのちから」で論理的な思考と表現を学ぶ

教科外の高校講座の利用シーンとして、まずは教育相談(個別相談)が挙げられます。相談に来る生徒の中には、自分の意思を伝えることが苦手な者が多くいます。そこで、その悩みに応じて「『ロンリのちから』の第〇回を見て」と勧めています。この番組は物事を論理的に考え、表現することを学ぶのに適した内容で、時間に余裕のある生徒には最初から視聴するように紹介しています。ある生徒は番組視聴によって自身の課題を乗り越えていきました。一方、紹介した番組が生徒の心理状態と一致していない場合は、あまり効果的でないこともあります。そのため、相談時に生徒の状況をなるべく把握するように努めています。

相談者のケースに合わせて紹介した放送回の例(数字は放送回)
不登校・・・・・・ 1、3、9、14、17、18、20
恋 愛・・・・・・ 1、2、5、8、19、20
友 人・・・・・・ 1、4、5、6、8、10、11、18、19、20
やる気が出ない・・ 1、7、12、14、17、18
孤 独・・・・・・ 1、2、16、17、20
家 庭・・・・・・ 4、5、6、10、13、15、19、20
総合的な学習の時間:「総合的な探究の時間」で学習のイメージを持たせる

本校における「総合的な学習の時間」では、それぞれの生徒が調べ学習の計画を立てて実施するという流れで行い、前期に計画書を、後期に実施報告書を報告課題として提出します。
スクーリングは前期・後期それぞれ2回ずつ、年4回あり、生徒は最低1回の出席が必要です。前期のスクーリングでは計画書の作成方法について学びますが、1回目は番組視聴の時間を設けません。2回目のスクーリングは、計画書の進め方が分からない生徒の参加率が高いため、「総合的な探究の時間:第1回 仕事と自分(1)」の視聴によって進め方や考え方を学習します。全体で番組視聴した後は、個別指導で計画書作成を進めます。なお、前期のスクーリング欠席者には前期課題として計画書を送付しますが、その際に同番組の視聴を促します。
視聴後は、生徒が学習に対するイメージを持ちやすくなり、スクーリング内個別指導をスムーズに進めることができました。結果、番組を視聴せずに個別指導の時間に充てているより、生徒の計画書作成の時間短縮にもなりました。

学習指導案例

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進路指導:「総合的な探究の時間」+「仕事の現場 real」で進路意識を高める

多くの生徒は、進路対策を始める時期が遅いため、生徒の進路意識を高める(行動に移させる)ことを目的として番組を利用しています。
学校行事の進路説明会において、一般的な説明の後に、「総合的な探究の時間:第2回 仕事と自分(2)」を全体で視聴しました。生徒たちは「同年代の生徒が進路をどのようにとらえているか」を考えることができたようです。
「第2回 仕事と自分(2)」は、生徒それぞれに、自身の関心のあるものを気づかせることができる内容になっています。教師は個々の生徒に寄り添い、進路の方向性探しの手伝いをすることが求められます。生徒の気づきのために、必要なアドバイスができるように準備することが肝要だと考えます。

実際になりたい職業が決まっている生徒には、進路説明会後の個別指導などで「仕事の現場 real」を聴くように促します。当該番組サイトには学習メモを含め、「その職業の良い点・辛い点」などが一般的な進路情報誌より具体的に語られており、生徒が実際に知りたい内容があります。また、その職業に関する統計なども紹介されており、生徒のキャリアに関するイメージの醸成に役立っています。

教科指導:報告課題に対応する放送回を記載。またQRコードの配布

教科指導においては、教科ガイダンスの時に高校講座の各回のQRコード表を用意して配布しています。
スクーリングでも、すべての放送回ではありませんが、「社会と情報」を視聴する時間を設けています。また、報告課題には、課題の範囲に対応する高校講座の放送回を掲載しています。

高校講座を利用したスクーリングは、黒板を使った説明のみのスタイルに比べて、生徒は様々な視点に触れることになります。そのため、生徒も内容に引き付けられ、やる気が引き出されているように感じられました。
今後は、高校講座の利用回数を増やしていこうと考えています。

高校講座を活用することのメリットと今後に向けて

「生徒が学校生活で輝くために」

高校講座を利用するようになってから、教科指導においてスクーリング等にメリハリを作ることができ、生徒の集中力が続くようになったと感じています。

また、教科外での利用について、本校の職員から、
・学校生活が充実した生徒が増えているように感じ、コミュニケーションもしやすくなった
・事前または事後の視聴で個々の生徒対応がしやすくなった
といった声が聞かれるようになりました。

NHK高校講座を利用することは、一見、「学校生活から生徒が離れる」ようにみえます。しかし、様々なコンテンツを活用することで生徒と共通の目的や話題を持ちやすくなり、通信制という中における“教師(学校)と生徒のほど良い距離”を保つのに役立っています。視聴代替のためではなく、あくまで生徒が学校生活で輝くためのものとして、今後も活用していきたいと思います。

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