反転学習に利用し、スムーズなスクーリングと学習内容の定着を同時に実現
NHK学園高等学校森山了一先生 鈴木祐先生
高校講座を使う目的は?
- 学習内容の定着を図る
- 貴重なスクーリングの機会を有効に活用する
高校講座を活用する
2つのシチュエーション
- レポート:番組を見て解く「放送課題」と理解度チェックの解答欄を設ける。
- 実習の準備:スクーリングでは実習を行うため、番組を事前に視聴しておく。
どうして高校講座?
「利用するのが大前提。でも、それだけの意義がある」
NHK学園では、すべての生徒が高校講座を視聴して学習を進めるという大前提があります。私たちが担当する「社会と情報」のレポート課題には番組とリンクした設問があり、生徒は自宅学習において高校講座を視聴して課題に取り組むことになります。高校講座は教科書準拠で作られているので、このような放送課題以外の設問についても放送を見て解くことができるものもあります。
レポートに付属する視聴票には高校講座のホームページにある「理解度チェック」の解答欄と、感想を記入する欄が全放送回分設けてあります。理解度チェックを解くには番組をすべて視聴する必要があるため、提出された視聴票は学習に取り組んだ証として評価の対象となります。
映像を通して普通では行く事のできないIT企業等を見られる意義は大きいですね。普段何気なく利用しているウェブサービスがどのように運営されているのかといった“裏側”を見られるのを、生徒たちは楽しみにしているようです。
20分という番組の長さも生徒の集中力に対応しています。短いですが、必要な学習内容がよく作りこまれていると思います。高校講座以外でこのような教材を探すと、専門的過ぎるものが多く、ここまで集約されたものは他には無いかもしれませんね。
「貴重なスクーリングの時間には“みんなで集まってできること”をやりたい。」
通信制高校においてスクーリングは生徒、教師ともに直接顔を合わせる数少ない貴重な機会です。その時間を有効に使うために、スクーリングでは座学は行わず、(パソコンを使った実習を行うことで)反転学習に取り組んでいます。これは生徒自身が高校講座を事前に視聴し、実習に必要な知識を習得してくることが前提です。生徒はレポート課題に取り組むにあたって放送を視聴する必要があり、前提知識を得て実習の準備ができるようになっています。本校生徒向けの情報科のウェブページには、その準備の補助教材として「プレスタディーシート」というプリントを掲載しています。前提知識の確認→番組視聴→理解度チェックという構成で、実習の準備を効果的に進められるようになっています。
このように反転学習に取り組んでいるのは「みんなで集まってやれることをやりたい」という思いがあるからです。そのため、実習前にどうしても思い出して欲しい部分などについては、高校講座の「文字と画像で見る」のページをプロジェクターで投影して簡単に紹介しています。
実習の内容は、番組で出てきた実践を元ネタとしてよく使っています。たとえば、「社会と情報」第2回の放送ではタイピング対決が行われていたので、生徒にそのままチャレンジしてもらいました。また、第10回「検索テクニック」に対応したスクーリングでは、出されたヒントから人物を特定したり、図書館にある本の断片的なコピーを頼りに同じ本を探し出したりと、番組内容をアレンジして実習を行いました。
「情報」は実験が多い「理科」に似ているため、こういった使い方がしやすいのかもしれません。
一方、何の前触れもなくいきなり実習では、どうしても「楽しかった~」というだけで終わってしまうんですね。高校講座を見て理論に基づいて学習内容を理解し、定着する前段が重要になります。そのため、番組の作りというのは大事な部分で、高校講座は「事前に番組を見る→スクーリングで実習」という展開にも耐えられる教材です。
NHK高校講座を利用した面接指導例:社会と情報
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学習単元「検索テクニック」 ・検索エンジンを使って、欲しい情報を早く正確に手に入れられるようにする
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高校講座放送回
※旧シリーズのため
現在は公開されていません 高校講座 社会と情報
第10回「検索テクニック」
実習準備のためのスクーリング(選択したカリキュラムに当該時間を含む生徒が受講)
指導の流れ | 教師の進行 | 使用する教材・視聴動画 |
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導入 (5分) |
「検索」にテクニックがあることの紹介 「知っておきたい予備知識」でこれまでの振り返り ・データベースとは何か ・検索ロボットとはどのようなものを指すか ・ガイドラインとは何か |
プレスタディーシート「知っておきたい予備知識」 |
番組視聴 (20分) |
20分の番組視聴 (必要に応じて口頭で補足説明) |
第10回「検索テクニック」 20分 |
理解度チェック (5分) |
問題読み上げ、答え合わせ(必要に応じて補足) | プレスタディーシート「理解度チェック」 |
NHK高校講座を参考にした面接指導例:社会と情報
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学習単元「検索テクニック」 ・検索エンジンを使って、欲しい情報を早く正確に手に入れられるようにする
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高校講座放送回
※旧シリーズのため
現在は公開されていません 高校講座 社会と情報
第10回「検索テクニック」
スクーリング 第7回
指導の流れ | 教師の進行 | 生徒の動き | 使用する教材 |
---|---|---|---|
導入 (8分) |
今日行う実習「検索クイズ」「図書館の本探し」の説明 その過程で、前日のサポートスクーリングの要点「検索エンジンのロボット方式のしくみ」「検索結果の信頼の妥当性」についても振り返る。 |
プリントに目を通す | スクーリングプリント |
実習1 (12分) |
「検索クイズ」 問1:セイロンティーの生産国は? 問2:冬季五輪における日本人最初のメダリストは? 問3,4は余裕のある生徒のみ 机間巡視で、検索でヒットしたページの更新日、複数ソースで確認することの重要性を説明 |
グループで協力して検索 | スクーリングプリント |
実習2 (25分) |
「図書館の本探し」 本の任意の見開きのコピーをヒントに、図書館でその本を探そう 「見出し、キーワード、ページ数等を元に、検索エンジンで該当図書を絞り込む」という手順のヒントを適宜提示 |
任意の本のコピーをグループで1枚選択 グループで協力して検索 スクーリングプリント裏に、本を特定するための情報をメモし、図書館へ移動 本を特定し、教師に正解かどうかを確認 正解であれば教室へ戻る |
スクーリングプリント 設問用の本のコピー (グループ数だけ、あらかじめ異なる図書のコピーを用意する) |
まとめ (5分) |
順調だったグループ・難航したグループの事例から、行うべき手順や持つべき視点を解説。 感想記載の指示 |
教師の解説から、実習を振り返る。感想等の記載 | スクーリングプリント |
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