この３枚の絵を、もう一度よく比べてみましょう。
３番のアルテミジアの絵だけ、他の男性画家の絵とは、ちょっと違う部分がありませんか？
女性の表情に注目しましょう。

諒さん　「３番の女性の表情だけ、苦しそうな、なんか怒りとか、眉間にしわが寄っている感じがしますね。」

アルテミジアの絵だけ、女性を一人の感情ある人間として描いていますね。
アートの世界では、女性は絵のモデル、つまり「見られる対象」でしかありませんでした。
女性が画家になれるのは、画家の家系に限られたのです。
そんな時代に、父親が画家だったアルテミジアは、フィレンツェの美術アカデミーに初の女性会員として入会をはたし、画家となりました。
３番の作品は、女性の目線で女性を描き、絵画において「当たり前」と思われていたことに、一石を投じた画期的な作品です。

諒さん　「女性が自由に画家になれなかったというのは、衝撃的でしたね。」

１９世紀になると、そうした逆境の中でも、自ら画家としての道を切り開こうとする女性たちが現れます。
「印象派」と呼ばれる画家たちの中にも、実は女性画家がいます。

アートとジェンダー