町に息づく"美"を探して【林聖海】
紅葉も進み、日に日に秋が深まってきました。
食欲の秋、スポーツの秋など...皆さんは秋と言えば何を思い浮かべますか?
私は「芸術の秋」です!10月29日(木)に放送した「いってみ隊」では地元・韮崎市に息づく美・アートスポットを訪ねました。
まず訪ねたのは「幸福の小径」
韮崎市出身で、ノーベル賞を受賞した大村智さんの実家と母校の中学校をつなぐ通学路だった場所に9人の作家による芸術作品が並ぶ道です。
富士山と八ヶ岳という素晴らしい眺望、そして韮崎の自然をイメージしたものなど個性豊かな作品を見ることができ、お散歩にぴったりの道でした。
普段からこの道を利用する方々にも出会え、皆さんの暮らしの一部になっていることを実感できました。
お次は、縄文時代のお宝が眠る「坂井考古館」です。
こちらの土偶は数年前に大英博物館で開催された土偶展に展示されたことがあるそうです。
腰にかけての曲線美がポイント!優しそうな表情も素敵ですね。
坂井考古館は韮崎市藤井町坂井地区にある、個人が管理する施設で、昭和25年に開館した山梨県の博物館の先駆けともいえる場所。収蔵されている出土品は、すべて志村滝蔵さんという方が趣味で発掘したものだそう。その数はおよそ3000点。ものすごい数です。
現在管理しているのは滝蔵さんのお孫さんにあたる保則さん。
滝蔵さんが発掘していたころの写真をお借りし、当時のお話なども聞かせていただきました。
最後に訪ねたのは、韮崎市で50年以上続く盆栽園です。
こちらの秋山実さんは2008年にプロの技術を競う日本盆栽作風展で最優秀賞にあたる内閣総理大臣賞を最年少で受賞した方です。
その時の木を、今も丹精込めて育てている様子を見せていただきました。
「真柏(しんぱく)」というヒノキ科の木で、代表的な盆栽の品種です。
幹の白い部分は神(じん)や舎利(しゃり)と言ってもう死んでいる部分。
その舎利の持つ自然の美しさを生かすように、木の成長に合わせて、緑の葉を整えていくということです。木の成長に合わせて、"完成形"もどんどん変わっていくんですね。
「盆栽は、自分の子どもを育てるようだ」という言葉が印象的でした。
オリーブの盆栽づくりも体験しました。今ではオリーブの実がどんどん赤みを帯びてきています。これからも季節ごとに異なる表情を見せてくれるのが楽しみです。すっかり盆栽に魅せられてしまいました!
地元と言っても、これまでなかなか訪ねる機会がなかった場所もありました。
生活の身近なところに溶け込む"美"を発見するだけでなく、その美とともに暮らす方々にも出会うことができ、私にとって忘れられない秋の旅となりました。