ページの本文へ

こうちWEB特集

  1. NHK高知
  2. こうちWEB特集
  3. 密着!“魚界”のホープ なぜ高知にやってきた?

密着!“魚界”のホープ なぜ高知にやってきた?

高知の豊かな水に注目!「キラリ・みず・こうち」
  • 2024年05月23日

「こうちいちばん」でお伝えしているコーナー、「キラリ・みず・こうち」。
高知の豊かな「みず」の魅力を視聴者のみなさんとともに掘り下げていくプロジェクトです。今回はコーナーのナビゲーターで魚類研究者の饗場空璃さん(あいば・そらり)に密着取材。埼玉県出身の空璃さんはなぜ高知に来て、ふだんどのような研究をしているのでしょうか。
(高知放送局記者 佐藤巴南)

若手魚類研究者、高知に

高知の海を求めてやって来た空璃さん。大学生では珍しく一軒家を借りています。

その理由は、巨大な水槽部屋です。

記者

何種類の魚がいるんですか?

空璃さん

今大きく4つの水槽があって、大体30種類ぐらいの魚が住んでいます。

記者

水槽の生活空間もいろいろ考えているんですか?

空璃さん

基本的には(手作りで)自分ですべてやります。

 

水槽にいるのは飼育が難しいとされている深海魚。

空璃さん

飼育がすごい大変な生き物たちであるんですけども、本当それに勝るぐらい飼うのが魅力的な生き物たちです。そのためにこの家を借りています。

中には、高知県ゆかりの貴重な魚も飼育しています。

飼い始めはエサを食べなかったそうです

こちらの「クラカケザメ」
深海に生息していて、1943年に高知県で世界で初めて見つかりました。高知の漁業者から譲ってもらった特別な魚で、個人で飼育している例は聞いたことがないということです。

空璃さん

内心すごくニコニコしています。健康にすくすくと育っていってくれていますね。

水深300メートルほどに住む深海魚を飼育するため、窓に発砲スチロールなどを貼って外の光を遮るとともに、水温は水槽用のクーラーを使って15度に保ちます。

電気代は一般的な大学生の数倍はかかっていて、アルバイトをしてまかなっています。こうやって飼うのも楽しいですし、かわいらしいですし、また魚を通じていろいろな人と知り合えるので、この魚っていうものに人生をかけたいとも思ってます。

高知の海ってどれほどすごいの?

日本に約4500種の魚がいると言われていますが、高知県にはその半分がいるとされています。その理由の1つが多くの魚を運んでくる「黒潮」。そして、県西部には豊かな「サンゴの群集」、県東部には陸地から近い距離に広がる「深海」があります。高知の多様な環境が魚の楽園を育んでいます。

“高知で新種を発見したい”

新種の魚を見つけたい。空璃さんが研究の場として選んだのが高知大学でした。空璃さんが所属する海洋生物学研究室、通称「魚研」(ぎょけん)。97年もの歴史があり、魚類に関して国内最高峰の研究室の1つです。

 

日本中、世界中から集めた魚たちがここに

研究室の最大の特長は、約17万点にも及ぶ標本です。新種の魚かどうかは、標本と比較をして判断。新種の魚を見つけようとする空璃さんにとって、うってつけの研究室です。

空璃さん

高知県で見つかった魚も多くてですね。もう数百種類の新種が発見されているんですけども、日本の魚類研究の基礎を作ったと言っても過言ではない地がこの高知県になります。

高知に来て丸1年。空璃さんは鹿児島県の奄美大島でしか見つかっていなかった「ツキヒハナダイ」を室戸市沖で釣り上げて採集。国内2例目の発見です。
 

空璃さんはすごいですね。教えられてばっかりです(学部4年生)

普段は別々の魚を研究していますけど一緒に研究できたらいいなと思っています(院2年生)

研究に没頭する様子はまさに“魚界”の牧野富太郎博士です。

 

とにかく海の多様性、自然の多様性がすごい県が高知ですので、魚好きの私にとってもう本当に高知は楽園のような場所ですね

未知の魚を探しに

 

新種の魚を探しに空璃さんが週に2回通う場所があります。高知市御畳瀬(みませ)の漁港です。
 

お目当ては、こちらの漁船「司丸」。県内で唯一、深海の底引き網漁を行っている船で、水深500メートルまでの魚を捕ります。深海にはいまだ知られていない魚が多くいます。空璃さんたちは研究の一環として、特別に水揚げした魚を見せてもらっています。
 

この日は新種の可能性のある魚はいませんでしたが、珍しい魚を見つけました。

 

空璃さん

これがイッテンカゴマトウダイという魚です。体の上にある黒い点が和名の由来となった1点ですね。高知と静岡で見つかっているんですけど、全国的に見てもかなり珍しいです。

新種の魚の発見に意欲を見せる空璃さんは、高知の海に大きな可能性を感じています。

 

魚を取ったらなにも残らないぐらい、本当に人生の中で魚というものが軸になっています。魚を勉強したいから高知に引っ越した、魚を勉強して英語の論文を読みたいから英語の勉強したりとか。本当にどんなことをするにも主軸に魚があるので、高知に来て高知県の魚を1種類増やして、いろんな魚が高知に出たよっていうのをいろんな方に伝えたいです。

  • 佐藤巴南(はな)

    NHK高知放送局 記者

    佐藤巴南(はな)

    2023年入局。松山局を経て3月から高知局で警察・司法担当。高知はもちろん地元・神奈川の海にどのような魚がいるのか気になりました。

ページトップに戻る