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“地域の居場所”を守りたい 高知の老舗喫茶店

  • 2024年05月22日

地域住民の交流の場、喫茶店人口1000人あたりの喫茶店の数は、高知県が全国で一番多いです。高知市には40年以上もの間、地域の住民たちに愛されてきた喫茶店があります。これからも「地域の居場所」を守りたいと、店を切り盛りする店主の思いに迫りました。
(NHK高知キャスター 蟹江実来)

店内は温かい空気でいっぱい!

朝7時からにぎわう店内。常連客の明るい会話が響きます

高知市で47年続く喫茶店「ともだち」。店内はいつも、この店を愛する常連客たちでにぎわっています。客同士で仲良く会話をしたり、1人で新聞を読んだり、食事を楽しんだり…。皆さん思い思いのひとときを過ごしています。

包丁を研ぐお客さん

中には、「お手伝い」と称して店の包丁を研ぎ始めるお客さんや

自分専用のジャムを店にストックしているお客さんまで!
長年、「地域の居場所」として親しまれてきました。

この店を切り盛りする、店主の黒田美佐子さん。25歳の時に母親からこの喫茶店を譲り受け、ことしで27年目になりました。

常連客の方々と黒田さんの関係性を聞くと…、

美佐子ちゃんは娘みたいなもの。あの笑顔を毎日見に来てる!

困ったらすぐミサちゃん!って頼っちゃう。なんでも話せます。

ここに集えば、みんなが「家族」。店内はとっても温かい空気に包まれていました。

「地域の居場所」であり続けるために…。

この喫茶店が「地域の居場所」であり続けるために。黒田さんには「こだわり」があります。

まずは、メニュー。朝はモーニング、昼は定食ランチ、そして夕方からはお酒やおつまみなど、一日の営業の中で種々さまざまなメニューを楽しむことができます。どの時間にお店に来ても、居心地よく過ごしてもらうための工夫です。

ある日の日替わり定食「鶏の山賊焼き」朝5時から仕込んでいるそう。

また、提供する料理も、お客さんの好みによって味付けや濃さ、そして使う材料などを変えているんだそうです。中には、歯が悪い人のために比較的柔らかい材料を使ったメニューまで。誰でもおいしく食べられるメニューがそろっています。

ホットコーヒー。40年前から使う豆は変えていないそうです。

そして、喫茶店といえば「コーヒー」。近年の物価高騰の影響を受けても、値上げはしていません。お客さんのお小遣い事情をよく知る、黒田さんなりの思いやりです。
 

お客さんのお小遣いが上がったという話は聞かないので。みんなが来てくれるうちは頑張ろうかなって思ってます。

大切な常連客を見守るのも、黒田さんの大事な仕事の一つ。常連客のほとんどは、毎日同じ時間に店に顔を出します。だからこそ決まった時間に顔を見せないと心配になり、電話をするといいます。時には家まで訪問することもあるそうです。

常連客による、常連客のための、誕生日会

ある日の誕生日会
店にかかるカレンダーには、「BD」の文字

常連客の誕生日には、みんなでお店に集まってパーティーを開くのが恒例となっています。企画したのは、常連客。祝う人も、祝われる人も、全員この店の常連客です。

用意されたケーキもご飯も、常連客同士でお金を出し合って準備しました。

集まったお客さんは…

毎年祝ってもらえるのは、やっぱりうれしいですよね。ひとりの人が多いから、こうやって家族みたいに見守れるのがいいね。

これからも「地域の居場所」で

常連客が心おきなく過ごせる喫茶店。黒田さんはこれからも「地域の居場所」であり続けたいと願っています。

人とのつながりなんかいいなって、思い始めたんです。それから、仕事が楽しくなった。この喫茶店は私の居場所でもあります。85歳まで続けたいな。

取材後に黒田さんと蟹江でパシャリ。

心温まる、高知の喫茶店。しかし、その店舗数は1980年代をピークに3分の1以下にまで減少しているそうです。経営者の後継者不足や人口減少など課題は山積みしていますが、「地域の居場所」とお客さんの「絆」を守るためにも、こうしたお店が少しでも残り続けてほしいと思います。

  • 蟹江実来

    高知放送局 キャスター

    蟹江実来

    喫茶大国・愛知出身の私ですが、高知の喫茶店の“温かさ”にはびっくり!ますます高知が大好きになりました。

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