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キラリ・みず・こうち 第1回 「海の温暖化を見つめる」

高知の海や川の魅力を再発見 キラリ・みず・こうち 第1回
  • 2024年05月21日

近年、地球の温暖化による海水温の上昇などが報告されていますが高知県の海でもある変化が起きています。どんな変化なのか、地元の水中ガイドととも海に向かいました。
(高知放送局カメラマン 岩崎温)

四国最南端 土佐清水市

2024年3月撮影

向かったのは四国最南端の土佐清水市。沖合を流れる黒潮の影響でサンゴが広がり、多くの生き物が住む豊かな海が広がっています。

高知の海で異変が!?

しかし近年、この海である異変が起きているといいます。

以布利(いぶり)漁港 定置網の水揚げの様子

四国最南端の足摺岬の手前、土佐清水市以布利地区です。
沖合1.5キロに仕掛けた網でとった回遊してくる魚の水揚げを行っている漁師に、何が起きているのか聞きました。

ベテラン漁師

季節によってとれる魚があるわけやけど、変わってきた。

ベテラン漁師

大きいイワシとかも冬はとれよったけど一切来ないし、寒い時に来る魚が少なくなったのは間違いない。

地元の漁師たちに話を聞くと、魚が来る時期に変化を感じていました。

海の変化を見つめる水中ガイド

水中ガイド 佐野美月さん

この海の変化を長年見つめてきた人がいます。足摺宇和海国立公園の一部で日本初の海中公園地区である竜串(たつくし)海岸(土佐清水市)で水中ガイドをしている佐野美月さんです。

水中ガイド
佐野さん

変わってきたところは熱帯性の生き物が春になっても見られて、越冬しているのかなというのが(以前と比べて)ちょっと変わったところかなと思います。

暖かい海の生き物が越冬

竜串の海中 2024年3月撮影

3月中旬、どんな生き物がこの海で越冬しているのか。佐野さんの案内で竜串の海に。水深18メートルで佐野さんが岩場のくぼみにライトを向けると、そこには・・・

水中ガイド 佐野さん

体長2センチほどの小さな魚、季節来遊魚のヒレグロスズメダイです。沖縄をはじめ熱帯地域で見られる魚です。

背びれの先端などが黒いのが特徴のヒレグロスズメダイ
2024年3月撮影

季節来遊魚とは

水中ガイド
佐野さん

季節来遊魚は黒潮に乗ってやってくる南の海の魚で海水温が低くなる冬の時期には死んでしまいますが、近年は生き残って春先でも見られるようになりました。

ソメワケヤッコ 2024年3月撮影
この魚も竜串の海では季節来遊魚

沖縄の県魚グルクンの群れが高知に

水中ガイド
佐野さん

沖縄周辺で多く生息するウメイロモドキクマザサハナムロなど、沖縄の方言でグルクンと呼ばれる魚も以前に比べると大きな群れで見られるようになりました

ウメイロモドキの群れ 2024年3月撮影

20年分のログブックから見えた変化

なぜ冬の高知で南の海の魚がよく見られるようになったのか。佐野さんが水中ガイドをする度に海水温や見られた生き物など海のデータを記録しているログブックを見せてもらいました。

ログブック

佐野さんがダイビングを始めてからおよそ20年、9千本の海の記録です。

佐野さんのログブックの一部

海水温を比較

佐野さんのログブックに記録されているデータから同じ時期、同じ場所の海水温を抽出し比較しました。
2007年3月の平均海水温は17度
2024年3月の平均海水温は18度
海水温が17年で1度変化していることがわかりました。

水中ガイド
佐野さん

生き物が住む環境がすごく変わっているので、今までいなかった生き物が育っていって、今までいた生きものが住めなくなるのではと素人ながらに思ってしまう。

海の生態系への影響

水温の変化は魚だけでなくほかの生態系にも影響が。再び海に向かうと、佐野さんが持つ棒の先には体がとげに覆われた生き物がいました。

佐野さんが指している生き物は・・・

こちらも暖かい海に多く生息しているオニニヒトデです。

オニヒトデ 2024年3月撮影

オニヒトデ

誤って刺されないよう佐野さんが長い金属の棒で慎重にオニヒトデをはがすと、およそ20センチのサンゴが食べられていました。オニヒトデはサンゴを食べてしまうことから、大量発生すると壊滅的な被害が出るといわれています。

オニヒトデをはがすと,その下にはサンゴ
白くなった場所はオニヒトデに食べられた痕

豊かな海を守る

佐野さんは毎年、地域の人たちとオニヒトデの駆除活動を行っています。

水中ガイド
佐野さん

竜串の海らしい海をこのあとも未来につなげていきたいと思うので、サンゴの保全活動をベースに、そのサンゴの周りにたくさんの生き物が住みかとして暮らしていける海を残していきたいと思ってます。

動画でもご覧ください(再生マークをクリック)

2024年4月17日放送

キラリ・みず・こうち

第1回目の放送を終えて
MCの和田穂佳アナウンサー(左)と高知大2年・魚の研究者 饗場空璃さん(右)

私たちの身近にある水辺の魅力を美しい映像でお届けし、高知の「みず」のキラリと光る部分を視聴者のみなさんとともに掘り下げる「キラリ・みず・こうち」は、NHK高知放送局で平日夕方に放送している「こうちいちばん」で定期的に放送していきます。放送予定はNHK高知放送局のSNSアカウントでお知らせします。NHKプラスで全国のみなさんもお楽しみいただけますのでぜひご覧ください!
またデジタルコンテンツの発信や視聴者の皆さまに参加いただけるイベントも開催予定です。
お楽しみに!

  • 岩崎温

    高知放送局 コンテンツセンター

    岩崎温

    日本海や九州の磯焼けの海、沖縄のサンゴの異変など取材してきました。高知の海には20年ぶりに潜りましたが生き物の豊かさに驚きました。

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