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問題です 夏の高知“よさこい”に欠かせない鳴子の由来とは?

  • 2023年08月09日

高知の夏の風物詩といえば、毎年2万人近くの踊り手が参加する「よさこい祭り」。踊りに欠かせないのが、手に持ってカチカチと軽快な音を鳴らす道具「鳴子」です。よさこい踊りの要とも言える「鳴子」の由来、調べてみました。

よさこいに欠かせない「鳴子」

1954(昭和29年)8月、戦後の不景気を吹き飛ばし市民を元気づけようと高知で始まったよさこい祭り。毎年200団体以上・約2万人の踊り子が高知に集い、「よさこい鳴子踊り」という曲に合わせ、曲のタイトルにもある「鳴子」を両手に持って鳴らしながら乱舞します。

鳴子とは、小さな木製の楽器のような道具。しゃもじのような形の板に小さなバチがついていて、振ると「カチカチ」と軽快な音が鳴ります。よさこいには欠かせないものです。

ルーツは田んぼの鳥よけ

そんな鳴子、いったいどんな由来があるのか。なぜ、よさこいに取り入れられるようになったのか。ルーツを探るべく、高知市にある高知よさこい交流情報館を訪ねました。

教えてくれたのは、スタッフの西川昭伸さんです。よさこいの歴史や魅力を紹介しています。

西川さん

鳴子の原型が展示してあります。それがこちらの雀おどしです。

 鳴子はもともと「雀おどし」と呼ばれ、田んぼで鳥を追い払うために、木の板に小さな竹などをつるし、揺らし音を出す農具として使われていました。

これに目をつけたのが、作曲家で「よさこい鳴子踊り」の楽曲を作った武政英策さんです。武政さんは、稲作が盛んな高知で昔からなじみのある道具から、鳴子のヒントを得たのです。

よさこいに鳴子 野球応援がきっかけ

高知でなじみのある農具をよさこい祭りで使うようになったきっかけを示す資料が高知市に残されていました。こちらは武政さんが直筆で書いたよさこい鳴子踊りに関する原稿です。

戦後の復興を盛り上げるためにと生まれたよさこい祭り。伝統ある徳島の阿波踊りに対抗するため、よさこい祭りにはインパクトのある仕掛けが求められていました。

西川さん

もともと武政英策先生が映画会社に勤めていまして、その際に各社対抗で野球の試合が行われていました。そのときに武政先生のアイデアで鳴子を手に持って、今で言うブブゼラとかメガホンの代わりとして応援をやってみたところ、ダイナミックであったとして、応援賞をいただいたことがあるんです。

武政さんはこの経験をもとに、鳴子を手に持って踊るスタイルを考案。第1回のよさこい祭りで初めて披露されました。じつは、このようなよさこいや鳴子のルーツが明らかになったのはごく最近のこと。おととし、武政さんの資料が親族から高知市に寄贈されたことで徐々に解き明かされています。 

西川さん

去年、武政さんの展示会を開いたのですが、そのために資料を整理する中で、初めて知る事実も多かったです。

昔の鳴子は重かった?

では、第1回のよさこい祭りで初めて鳴子を持って踊った人はどのように感じたのか、話を聞いてみました。

若柳由喜満さん

よさこいの“レジェンド”、若柳由喜満(わかやぎ ゆきみつ)さん(77)です。100年以上続く日本舞踊の流派の師範で、当時は小学生としてよさこい祭りに参加しました。鳴子の音で踊りに躍動感を出すべく、若柳さんは鳴らし方についても厳しく教わったと振り返ります。

若柳さん

鳴子を持ってしっかりと音を鳴らすのが重要なんですよ。その音の出し方をすごい仕込まれました。音のキレがよくなるよう、「しっかりと手を止めなさい」とよく言われて。

幼少期の若柳さん(左)

当時の鳴子は今より2倍ほど大きかったんだそうです。

若柳さん

子ども心に重かったというイメージしかありませんね。今とは比べものにならないくらい重たかったですよね。

 ラメに焼き印 鳴子さまざま

その後、ロックやヒップホップ、サンバ調など、多様なアレンジが加わったよさこいが登場。よさこいにあわせて、鳴子もどんどん進化してきました。

そんな鳴子の移り変わりを知るべく、高知市にある鳴子の工房を訪ねました。 こちらの工房では昭和55年から鳴子を作り続けていて、全国のチームから注文を受け、年間およそ6万組もの鳴子を製作しています。 

伝統的な赤色だけでなく、パステルカラーのものや、柄・ラメが入ったものなど、それぞれのチームのニーズに合わせて色やデザインにこだわった鳴子を作ってきました。

最近は、焼き印の入った鳴子の人気が高まっているそうで、この工房でも焼き印を入れる技術を導入しました。

鳴子工房こだかさ 友村正子さん
技術力や機械力も導入しながら、いろんなニーズに対応できるような考え方を持って進んできたと思います。

ステンレスの鳴子は自由の象徴!?

こちらは、大阪を拠点に活動するよさこいチームが発案して作ったステンレス製の鳴子です。総重量はなんと2.5kg!これを持って踊るのはちょっと大変ですが、シャンシャンと鈴のような音が鳴ります。

ステンレス製鳴子を企画 大阪のよさこいチームの山本大雅さん

大阪のよさこいチーム「夢源風人」 山本大雅さん
よさこいって自由なお祭りだと思うので、どんどん新しいのが出てきてもいいと思いますし、ある意味、時代を表すようなものになるのではないかと思います。

なぜ、鳴子をよさこい祭りで使うようになったのか、そのルーツを調べてみると多様に形を変え進化を遂げるよさこいの歴史をたどることができました。今年のよさこい祭りは、8月10日・11日の2日間にわたって開催され、9日には前夜祭、12日には全国大会も開かれます。ことしはいったいどんな鳴子が見られるのか、皆さんも踊りや曲とともに注目してみてはいかがでしょうか。

  • 野本宗一郎

    NHK高知放送局

    野本宗一郎

    2020年入局
    4年ぶりの通常開催のよさこい祭りを私も楽しみます!

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