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“医療的ケア” 地域で共に暮らすために 四国らしんばん③

  • 2023年05月19日

近年、“医療的ケア”を受けながら暮らす人が全国で増えています。“医療的ケア”とは、医療機関以外の場所で、たんの吸引やインスリン注射、胃に直接栄養を送る胃ろうなどの処置を日常的に行うことです。18歳以下の子どもたち「医療的ケア児」は、四国で少なくとも400人が暮らしています。

2年前に「医療的ケア児支援法」が成立しました。この法律で18歳以下への支援が広がることが期待されています。一方、18歳以上の“医療的ケア”が必要な人を地域で受け入れるサポートは、まだ十分ではありません。そうした中、18歳以上の人たちが利用できる施設が高知にあります。

地域で共に暮らす 高知の施設

高知市にあるデイサービスの施設です。

利用する人の多くは、“医療的ケア”が必要な人や重い障害がある人たち。学校を卒業し、18歳をこえた人は11人います。

看護師だけではなく、介護福祉士や保育士、理学療法士など、様々な職種の人が手厚くサポートしています。

リハビリでは、立ったり歩いたりなど、生活に必要な体の機能維持を楽しく行うようにしています。

2年前にこの施設を立ち上げた山﨑理恵さんです。“医療的ケア”が必要な子どもの母親でもあります。

山﨑さんには、事業を行う上で心がけていることがあります。

山﨑理恵
さん

楽しく「誰と出会うか」なんですよね。まだ20代っていうのはね。だからこそ、心がときめくような出会いや経験をすごく大事にしてあげたいなと、いつも思っているんですよ。この子たちの青春を大事にしてあげたい。

心が動くような体験を

山﨑さんが大事にしているのは、「利用者の心が動くような体験」です。

ピアノの演奏会や絵本の読み聞かせなど、さまざまな活動を行います。利用者は、ピアノの音色を聞いて泣いたり、

絵本の話で笑ったり。スタッフだけでなく、時には地域の人の協力も得て、利用者が楽しめる場を提供しています。

さらに、この施設では外へのお出かけも大事にしています。

この日の目的地は、動物園。大人気の場所です!

朝から楽しみにしていた佐藤正弥さん。 介護福祉士のサポートを受け、車いすから立たせてもらいました。

お気に入りのトラを独り占めです。

職員

まーくん、トラ!まーくん、また来た。 おー来た!

山﨑理恵
さん

屋内にいたら経験できないような、五感で自然と触れ合う体験ですよね。やっぱり学校を卒業すると、お友達と一緒に出かける経験が、まあないですよね。だから、デイサービスでそれができたらいいなと思って取り組んでいます。

次なる挑戦は、、、

山﨑さんはいま、新たな事業所の立ち上げに向け、動き出しています。より幅広い年代の人が利用できる場所を作る予定です。これからも、地域の中で。 共にずっと暮らすことのできる場所が増えていってほしいと願っています。

山﨑理恵
さん

採算は取れないんですよ。とりあえずモデル的にやってみて、うちがやれるよっていうのがわかったら、たぶん次やってくれる人が現れると思うんですよね。それぞれの事業所に色があって、強みがある。だから利用者さんは、そこを選択していくっていう選択制の世の中になったらいいなといつも思っています。

「知っていますか?“医療的ケア”のこと 四国らしんばん①」

「“医療的ケア児”と共に学ぶ 四国らしんばん②」

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