ドラマに登場したあの神社は?
- 2023年04月06日

ドラマに登場した、長い石段が印象的な神社。牧野富太郎博士の故郷、高知県佐川町にそのモデルとなった神社があります。
(高知放送局 リポーター 五十嵐優衣)
モデルは佐川町の金峰神社
ドラマで主人公の万太郎が植物に興味を持つきっかけとなった場所として描かれていた神社。
長い石段が続いているのが特徴的でした。

石段の上には素朴な味わいのある社と狛犬が。

万太郎が坂本龍馬と出会ったのも、この神社でした。

モデルとなったのは、牧野富太郎博士の故郷、高知県佐川町にある金峰神社です。一体どんな神社なのでしょうか。
※金峰神社までの表参道の一部ではロケが行われましたが、本殿がある場所でロケは行われていません。
牧野富太郎博士の聖地
案内してくれるのは佐川くろがねの会の廣田智恵子さんです。佐川の歴史や牧野富太郎博士に詳しく、ガイドを行っています。

牧野富太郎博士の生家のすぐ裏に、金峰神社への裏参道があります。
表参道から登るのが一般的ですが、牧野博士はこの裏参道を駆け上がっていたということで、ここから登っていきます。
本殿まではおよそ150段の階段を登らなければいけません。子供の足には険しい道です。

廣田智恵子さん
博士が子どもの頃はここを駆け上がって、毎日のように金峰神社に行っていたようですよ。この階段をわくわくしながら上がっていったそうです。
牧野博士の痕跡
裏参道の入り口には、牧野博士が遊んでいた痕跡が残っていました。こちらは、およそ250年前に置かれたという手水鉢です。よく見ると淵に溝ができているのが見えます。

廣田智恵子さん
この溝は牧野博士が近所の子どもたちと、石でなぞって遊んでいた跡です。近くに落ちている赤い石でなぞり、削ってできた赤い粉を近くの植物に塗って遊んでいたようです。でこぼこになるほど夢中で遊んだんでしょうね。
バイカオウレンと牧野博士
長い石段をゆっくりと登っていきます。
すると、廣田さんが足元に注目して登ってほしいと言います。
階段の横や段差の隙間には、牧野博士が数ある植物の中でも特に好んでいたというバイカオウレンが。
ドラマにも出てきたように、出会いもこの神社付近だったと言われています。
今の時期、花は見られませんでしたが、実がなっている姿が見られました。

バイカオウレンは、本州や四国の山林に自生するキンポウゲ科の植物。
その特徴的な5枚の葉から、牧野博士は”五加葉黄蓮”とも呼んでいました。
佐川町を離れたあとも、金峰神社に咲くこの植物を何度も送ってほしい と頼んだそうです。
さらに、近くには牧野博士が命名したシハイスミレも見頃を迎えていました。

葉を裏返すと紫色をしていることが名前の由来で、見頃は4月いっぱいです。
金峰神社の本殿
階段を上り詰め、本殿がある場所に到着しました。



ここが「金峰神社」と呼ばれるようになったのは明治時代からです。
しかし昭和62年に不審火があり、ほとんどが消失してしまいました。
現在あるのは、その後に再建されたものになります。
辛うじて残ったのは、大正5年からあるという狛犬。この姿は牧野博士も見ていたのではないでしょうか。
牧野博士が植物への興味を広げるきっかけとなった金峰神社。
草花を見て楽しむのはもちろん、少年時代の牧野博士はどんなことを考えながらこの道を歩いたのか、そんなことを考えながら境内を散策してみても楽しいですね。