第16回(@香南市立 吉川小学校編)~2022年12月23日放送~
高知県中部の香南市。
南海トラフ巨大地震では、大きく長い揺れのあと、
15メートルを超える津波が海岸線に押し寄せると想定されています。
海から吉川小学校までは700メートルほど。
平地が広がっていて、津波が入ってくると、遮るものがありません。
津波の第1波が到達するのは、地震の30分ほどあとと想定されています。
ところが、吉川小学校の校舎は2階建てです。
高さは十分ではありません。
できるだけ早く、高さがある別の場所に避難する必要があります。
- みんな
- あっちゃん、まこと先生、よろしくお願いします。
- 尾﨑 翔太さん
- 吉川小学校6年の尾﨑翔太です。
- 金井 玲徠さん
- 6年の金井玲徠です。
- 田渕 希々さん
- 5年の田渕希々です。
- 田渕 希々さん
- 同じく田渕寧々です。
- 楠目 琉彩さん
- 5年の楠目琉彩です。
- 福井 七海さん
- 5年の福井七海です。
- 校長・谷圭介さん
- 校長の谷圭介です。
- あっちゃん
- まこと先生、吉川小学校がある、この地域の地震や津波の特徴は、どうでしょうか。
まず地震の特徴からお願いします。
- まこと先生
- この場所のだいたい28キロぐらい下に、地震を起こす断層があります。
その真上に立っているんですね。やはり、どうしても震度7になってしまいます。しかも、それが3分程度は、少なくとも続くんです。
- あっちゃん
- まこと先生、津波は、どのように入ってくるでしょうか?
- まこと先生
- もちろん海岸に、まず平行に必ず入ってきます。
まずは、この西側の吉川漁港が空いていますから。
いくらでも入ってきます。次に、こちらの烏川、あるいは、こちらの赤岡漁港の方から、津波が、次の段階として追いかけて入ってきます。
- 子どもたち
- 挟まれるということですか?
- まこと先生
- その通り。
両方から津波に挟まれる地域だということです。
2つの流れがあると、津波、波というのは、一般的に足し算になります。
非常に津波が高くなってしまうという宿命を持っている学校であることを理解して下さい。
Y3西北津波避難タワーへLet’s go!
- こどもたち
- 吉川小学校の近くに、高台はありません。
- あっちゃん
- ですので、津波避難タワーが、唯一の避難場所です。 まず目指すのは、小学校から一番近い 『Y3西北津波避難タワー』です。 標高は14メートル以上。 歩いても3分あれば、屋上に到着できます。
- こどもたち
- ここは、家がたくさんあるので、自分たちがもし逃げている人だったら、みんなにも逃げてと、声をかけたほうがいいですか?
- まこと先生
- そう。『津波が来る!逃げて!』って。
- まこと先生
- 2011年3月11日の午後2時46分に東日本大震災、地震が起きたんだけど。
それが、ちょうど学校の5時間目、6時間目の間ぐらいですよね。
- まこと先生
- その時に、みんな逃げました。その時にみんな声をかけて『津波が来る』と言って逃げてくれて。
周りの人を巻き込んで、その人たちも一緒に助かりました。
- まこと先生
- 君たちの力は、すごく大きい。
いまの優しい気持ちは、本当にありがたいと思います。
- あっちゃん
- まこと先生、屋上に到着しました。
- まこと先生
- 着きましたね。
- あっちゃん
- 屋上は、風を遮るものがありませんね。
寒さをしのぐ対策。
命を守るためにも大切ですね。
- まこと先生
- おすすめの方法があります。
- まこと先生
- 東北で、東日本大震災のとき、みんながどうしていたかというと、抱き合っていたんです。
サルが寒いときにみんなで抱き合う。
サル団子状態。
人間団子になっていたんです。
- まこと先生
- やってみる?女性4人で。体温を奪われないように、これも1つの体温を守る方法です。
寒いときには、すごく安心感がある。
心が伝わる。
怖いしね。
- まこと先生
- みんな。ありがとう。
- あっちゃん
- もう1つ、おすすめがあります!
- こどもたち
- なんですか?
- あっちゃん
- タラタタッタッター♪
- あっちゃん
- 保温効果があるシート~。
- まこと先生
- これはね、シートを広げて体を包みます。
首のところから体温は逃げていくので、首のところをしっかり巻いて。
- あっちゃん
- おお、すごい!『タケちゃんマン』みたいですね。
- まこと先生
- あっちゃん。いまの小学生は『タケちゃんマン』を知らないと思うよ。
- まこと先生
- どう?
- こどもたち
- あったかいです。
- こどもたち
- お年寄りに譲ってあげるのもいい!
- あっちゃん
- さすが、優しいですね。
- まこと先生
- 保温効果があって、コンパクトなシートは、雨に濡れるのを防ぐことにも役立ちますよ。
- あっちゃん
- 万が一のときに備えて、学校に持っていくカバンや非常用持ち出し袋の中に入れておくと安心ですね。
吉川防災コミュニティセンターへLet’s go!
- あっちゃん
- 吉川小学校では、もう1つ、避難場所を考えています。
吉川防災コミュニティセンターの3階部分です。
- あっちゃん
- 標高は18メートル以上。
Y3西北津波避難タワーより4メートルほど高くなりますが、課題は、移動時間です。
小学校からは、歩くと、倍以上の7分程度かかってしまいます。
- あっちゃん
- では改めて、小学校の校門前からスタートです。
- あっちゃん
- 県道との交差点ですが、まこと先生、何か気になりますか?
- まこと先生
- 上を見ると、蜘蛛の巣が張ったように、いっぱい電線があるんだよね。
- こどもたち
- この道も、かなり電線が多いです。
- 校長・谷圭介さん
- まこと先生、この電線は、切れるんでしょうか?
- まこと先生
- いや、大体切れなくて、電柱が1本倒れると、みんな同じ方向に倒れやすいですね。
- まこと先生
- だから、逃げるときは、そういうものが、いっぱい電線があるということは知っておいて下さい。
- まこと先生
- 障害物になるので、いま見ている訓練みたいに、スムーズにはいかない。そのことは考えておいて下さい。
- あっちゃん
- 坂道を上ると、吉川防災コミュニティセンターです。
- あっちゃん
- 普段は、 香南市役所の支所などとして使われていますが、万が一のときには、津波避難タワーとして使われます。
- あっちゃん
- 外のスロープを上って、標高18メートル以上、3階にある避難場所に到着です。
- あっちゃん
- 校長先生、避難について、お悩みがあるそうですね?
- 校長先生
- さっきのY3西北津波避難タワーは、小学校の目の前ですが、高さは14メートル以上です。
一方、こちらは18メートル以上で、だいたい4メートルほど高くなっています。どちらに避難するのがいいでしょうか?
- あっちゃん
- まこと先生、ここまで歩いてきましたが、避難の道を見た上で、どちらがいいでしょうか。
なかなか難しいと思いますが。
- まこと先生
- 途中の地盤が悪いので、アスファルトも凸凹していました。 そして、電柱がたくさんありました。
- まこと先生
- 電柱が倒れていると思うので、何本かは。
それをかき分けながら、ゆっくり歩かなきゃいけない。またいで歩かなきゃいけない。
すると、時間がかかってしまいます。
- まこと先生
- ですから、私は、校長先生の判断。
そこを越えていくのか、地震のあとの破壊の様子を見ていただいて、先生方で判断していただくということになると思います。
- まこと先生
- ただし『決まっていたから』というのは基本的にはよくないです。
きちんと見た上で判断する。
- まこと先生
- その上で、きょう学んだことは、少なくとも1センチでも高いところへ逃げておくことが急務であるということです。
- 校長先生
- それなら・・・
- まこと先生
- それならば、ここ、吉川防災コミュニティセンターがベスト。
あちら、Y3西北津波避難タワーはベターです。
- まこと先生
- ただし、地震の被害によっては、ここに来られないかもしれない。 そのときは、学校近くの Y3西北津波避難タワーを目指しましょう。
- あっちゃん
- 今回、みんなは、どんなことを感じたのでしょうか。 代表して尾﨑翔太さんに聞きました。
- 尾﨑翔太さん
- きょう一番印象に残ったことは、吉川漁港と烏川から津波が来てぶつかって高くなることが分かりました。
本当に津波が来たときには、きょう学んだことを生かして命を守りたいです。
- あっちゃん
- 最後に、まこと先生から、みんなとの約束です。
- まこと先生
- とにかく1分以上揺れたら、誰が何と言おうと、南海地震です。
- まこと先生
- 小さい揺れでも、1分以上揺れているとき、それは津波が来ること、海溝型地震であることをきちっと理解することが大切です。
- まこと先生
- ここは、すばらしいところに避難場所が作ってあります。
それを状況判断を間違えないように的確にして、命を守っていただきたい。
2通りの命を守る方法が、ここには、もう備わっています。あとは『選択だけ』だということになります。