第15回(@東洋町立 甲浦中学校編)~2022年11月18日放送~
東洋町は、高知県の東部、徳島との県境にあります。
南海トラフ巨大地震では、大きく長い揺れのあと、海岸線には、1メートルの津波が3分程度で到達。
そのあと15メートルを超える津波が押し寄せると想定されています。
甲浦中学校は、すぐ目の前が「海」です。
その距離は300メートルほどしかありません。
できるだけ早く高台に避難する必要があります。
- 子どもたち
- あっちゃん、まこと先生、よろしくお願いします。
- 原田日樹さん
- 甲浦中学校2年の原田日樹です。
- 吉中陽大さん
- 2年の吉中陽大です。
- 竹林桜介さん
- 2年の竹林桜介です。
- 大黒真歩さん
- 2年の大黒真歩です。
- 和田望寿さん
- 2年の和田望寿です。
- 2年生担任
川口惠理さん - 教員の川口惠理です。
- あっちゃん
- 甲浦中学校がある東洋町の 地震や津波の特徴はどうでしょうか?
- まこと先生
- 震度6強から7ですから、だいたい50センチから60センチの横揺れで、時々、縦揺れも加わります。
- あっちゃん
- まこと先生、津波の特徴は?
- まこと先生
- ここ、学校があるところは、非常に低いですよね。
高さは2メートル50センチしかありません。
必ず100パーセント、ここは、津波が来る学校であることを理解してください。
- まこと先生
-
さらに問題点が、この地域にはあります。
ご覧のように集落を囲むように、堀あるいは川が流れています。
降った雨を、山から、ここを通して逃がしている。その逃がしているところを通って、逆に津波は上がってきてしまう。
どうしても津波の想定15メートルより高いところに、この地域では逃げたいですね。
◎甲浦小学校の裏山へLet’s go!
- あっちゃん
- まず目指すのは、地域の避難場所になっている『甲浦小学校の裏山』です。
標高は30メートル以上、歩いて10分ほどのところにあります。
- あっちゃん
- 中学校を出ると、すぐ、橋が2つ見えてきました。
どちらの橋を渡って避難所に向かうと、いいのでしょうか?
- あっちゃん
- まこと先生、こっちは、かなり頑丈そうに見えますけど?
- まこと先生
- 古いね、もうボロボロ。
たぶん、これは地震で崩れてしまうと思います。
これは通らないほうがいいね。
- あっちゃん
- 橋が残っているとすると、こちらが残っているだろうと?
- まこと先生
- 新しい部分を追加しているのが分かる?
セメント。真ん中のところ。
ものすごく大きく継ぎ足している。
- まこと先生
- この橋が落ちてしまうと、そのあと、誰も通れなくなってしまう。
多少ずれてもいいように、ちゃんと工事がされているということ。
安心だね。
- あっちゃん
- 補強された安全な橋を渡って、避難場所の小学校へと向かいます。
- まこと先生
- 宝塚の劇場の階段みたい。
- あっちゃん
- あの階段で、一気に5メートルくらい上がるんですね。
- あっちゃん
- まこと先生、質問があるようです。
- 子どもたち
- 質問があります。
もし この階段が崩れてしまったら・・・?
- まこと先生
- 崩れないと思います。
ここは岩盤だから。
向こうの山を削って作った階段なので、 崩れる可能性は極めて低いです。
- まこと先生
- もともと、ここは山だから、それを削って作っている。 あの建物も、そう。
- あっちゃん
- 階段は崩れていないですか?
- まこと先生
- 崩れていないです。
要するに、土を盛っているわけではなく、地形に沿って作っているだけ。
だから、それが、結局、津波の避難に、すごく結果的に役に立っています。
- あっちゃん
- では、固い岩盤の上にある階段を上ります。
あっ!ちゃんと「津波避難場所矢印」、
バーンと書いていますね。
- まこと先生
- でっかく書くねー。
- あっちゃん
- 避難路には、階段や手すりが整備されていますね。
でも、かなり急な上りです。
お年寄りが多い地域なので、避難場所へ向かうのは大変ですね。
- まこと先生
- お年寄りは諦めちゃうんだよ、途中で。
もう私は、ここでいいって。
- まこと先生
- お年寄りだと思って、川口先生の手を引っ張ってあげて。
- まこと先生
- 自分だけ先に逃げない。
後から来た人のことも、ちゃんと考えて。
後ろを振り向く。ときどき。
- あっちゃん
- ひとりでも多くの命を守ることができるように、万が一のときには、みんなで助け合いましょう。
◎裏山に到着!
- あっちゃん
- 階段を上り切ると、標高30メートル以上、防災倉庫がある避難場所に到着です。
- まこと先生
- よく整備されていましたね。
非常に標示もちゃんとしていて、日頃からの意識づけ『ここに逃げるんだよ』ということが、地域全体にアピールされています。
すばらしい体制だと思いましたし、避難路も大人2人がゆっくり歩いて上がれるようになっています。
◎集落活動センターへLet’s go!
- あっちゃん
- 次に考えるのは、中学校の近くの橋が崩れて、渡れない場合です。
学校では、橋を渡らなくても避難できる場所を 考えています。
- あっちゃん
- 向かうのは、
『甲浦集落活動センターなぎ』です。
施設の屋上の標高は18メートル。
中学校からは、歩いて5分ほどです。
- あっちゃん
- 幅の広い道を進むと見えてきたのは
『甲浦集落活動センターなぎ』です。
- あっちゃん
- 施設は、ことし2022年6月にオープンしたばかりです。
普段は公民館ですが、万が一のときには『津波避難タワー』として使われます。
- あっちゃん
- 建物の外側にある階段を上り、屋上へと向かいます。
- あっちゃん
- まこと先生、何かを発見したようです。
- まこと先生
- うわぁー。ほら、みんな見て!
- まこと先生
- 暗くしてごらん。どれくらい光るか。自分でわかるから。
- 子どもたち
- あっ!光る。
- 子どもたち
- 手すりも光る!
- まこと先生
- そうね。手すりも光るね。
- あっちゃん
- あぁ・・・光ってる!
階段や手すりが、暗くなると光るようになっていました。
避難のときに、目印になりますね。
まこと先生、確かに光っているんですが、電気を使っているわけじゃないですよね?
- まこと先生
- 全然、電気は使っていない。蓄光式。
ものすごく、いまは性能が上がっているんです。
- あっちゃん
- 辺りが暗くなった夜に避難することも考えられます。
安全に避難するために役立つの工夫の1つですね。
- 子どもたち
- 着きました。
- あっちゃん
- 標高18メートル。屋上に到着!
- 子どもたち
- まこと先生、質問いいですか?
- 子どもたち
- ここの15メートルの高さまで津波が来ることはありますか?
- まこと先生
- 15メートルを超えたことは、過去2000年ぐらいではないんだけど、およそ2000年前に、とにかく、とんでもない津波があったことも分かっているんです。
- まこと先生
- やっぱり津波避難タワーは、津波がここまで来て、これを超えたら、みんな死んでしまうよね。
- まこと先生
- だから、やっぱり山の方がいいんです。
いまの科学で、何が来るのかよくわからない。
残念ながら。申し訳ない。
- あっちゃん
- あくまで、タワーは『緊急時の避難場所』ですね。
- あっちゃん
- 足が不自由な人や、お年寄りなど、遠くまで逃げられない場合や、時間がない場合以外は、できるだけ『山への避難』を優先しないといけませんね。
- あっちゃん
- 今回、みんなは、どんなことを感じたのでしょうか。
代表して竹林桜介さんに聞きました。
- 竹林桜介さん
- きょうは、まこと先生と、あっちゃんと歩いて、僕たちの分からなかったところを知ることができました。
避難訓練のときに、実際のことを想像しながら避難していきたいと思います。
特に、橋に注意しながら逃げていきたいと思います。
- あっちゃん
- 最後に、まこと先生から、みんなとの約束です。
- まこと先生
- たくさんお年寄りが増えてきてるので、あなたたちの非常に強い力で、その人たちの手をとって、ぜひ逃げていただきたい。
地震津波に対する防災、ケガをしない、命を落とさない、そして、その町の復興まで、君たちの力が絶対に必要なんです。
どうぞよろしくお願いします。
- 子どもたち
- はい!