第12回(@田野町立 田野小学校編)~2022年7月29日放送~
土佐湾に面している田野町。
南海トラフ巨大地震では、大きく長い揺れのあと、
10メートルを超える津波が、
海岸線に押し寄せると想定されています。
海から学校までは600メートルほど。
できるだけ早く高台に避難しなければなりません。
- あっちゃん
-
田野小学校のみなさんです。
では、自己紹介をお願いします。
- 安岡幸穂さん
- 田野小学校6年の安岡幸穂です。
- 佐藤心琴さん
- 6年の佐藤心琴です。
- 河田朝陽さん
- 6年の河田朝陽です。
- 南美由さん
- 6年の南美由です。
- 小西律さん
- 6年の小西律です。
- 担任の
野村光平
さん - 6年担任の野村光平です。
- あっちゃん
- まこと先生、田野小学校がある辺りの地震、 そして、津波の特徴を教えてください。
- まこと先生
-
揺れの大きさは、地盤の善し悪し、硬いか、
柔らかいかで決まってしまいます。でも残念ながら、この学校は、
砂利の上に乗っています。固まっていません。
それが、深さ30メートルもあるんですよ。当然、震度7になることが考えられます。
50センチから60センチくらいの大きな揺れになってしまいます。
- あっちゃん
- まこと先生、津波は、どこから入って来るんでしょうか?
- まこと先生
- 最初、津波は、この川を通って、堤防がほとんどないような状態の、東の川の方から、この学校に向かって、町へ向かって入って来るということは、容易にわかります。
- まこと先生
-
津波は、きれいな水が来るのではなくて、壊れた家であるとか、いわゆる『がれき』を運んできますから、津波が来てから逃げるということは、まずできないということですよね。
きょうは、それまでに逃げられる場所を考えてみたいと思います。
田野町第5津波避難タワーへ Let’s go!
- あっちゃん
-
学校周辺に津波の第1波が到達するまでの想定時間は40分です。
まずは、学校周辺のいちばん近い避難場所、田野町第5津波避難タワーに向かいます。
- あっちゃん
- タワー屋上の高さは海抜15メートル以上あります。 学校からは、歩いて10分ほどです。
- あっちゃん
- 住宅などが立ち並ぶ細い路地を抜けて、 寺の近くにある開けた道に出たところ。 何かありましたか?
- こどもたち
- 危険なものを見つけました。
- こどもたち
- もし、この木が倒れたら、どうすればいいですか?
- あっちゃん
- あっ、この木?
- まこと先生
- 折れる可能性はある。ちょっと勢いが悪いもんな!
だから、そのときには、上に何もないところに行きましょう。できるだけ早くね。
- まこと先生
-
あっ、これ危ないなと思ったら。どちらかに行きましょう。
その危ないものや場所から離れましょう。
- まこと先生
- いいところに気がついた!初めてだね。 高知県の小学生で!
- みんな
- 拍手!
- まこと先生
- 木の枝が折れてくるなんて言った人は初めて。
でも、その通り。
- あっちゃん
- 木が倒れていたとしても、避難の途中、乗り越えていけばいいですね?
- まこと先生
-
そのときは、こっちの田んぼの中を通らせてもらおうよ。
いろんなことを考える力は、すごく大事。
津波避難タワーに到着!
- あっちゃん
- 緩やかなスロープを上ると、海抜15メートル以上の タワーの屋上に到着です。
- まこと先生
- いいところだなぁ。君たちは、この奈半利川が作ってくれた 地面の上にずっと住んでいるんだね。
- こどもたち
- 奈半利川に感謝や。
- あっちゃん
- この津波避難タワー、田野町には、実は6つあって、 今いるのが、この第5。高さは、だいたい15メートルから16メートルです。 まこと先生、この高さは、どうでしょうか?
- まこと先生
-
あくまで高さは人間が計算した値なのね。
人間が計算した通り、自然がふるまってくれますか。 そんなことはないよね。もちろん、あまり高いものを作ると、 今度は建物、津波避難タワー自体が 不安定になるから作れないんですよ。
だから、今の計算した値より5メートルくらい高く 作ってはいるんです。
- あっちゃん
-
田野町に押し寄せる津波の想定は
10メートル以上。それに対し、津波避難タワーの高さは15メートルから16メートル。
高さは十分確保していますが、 まこと先生、できるだけ、さらに高い場所を目指して 避難することが大切なんですね?
- まこと先生
- 今の科学では、津波の高さは、全然わかりません。 だから、できるだけ高いところへ!というのが今の基本的な 考え方です。それを守ってくれるかな?
- あっちゃん
- 足が不自由な方とか、 遠くまで行けないお年寄りは、こういう近い津波避難タワーがいいですね。
- まこと先生
- ケガをした人、小さい子どもを連れたお母さんなどは、 津波避難タワーへ逃げてくれば、9割くらい、 命は保証されるでしょう、ということですね。
もうひとつの避難場所、
県立中芸高校へ Let’s go!
- あっちゃん
-
小学校から、歩いて15分ほど。
もうひとつの避難場所、県立中芸高校へ向かいます。
- あっちゃん
- 津波避難タワーと比べて、移動時間は5分ほど多くかかりますが、より高い海抜20メートル以上のところにあります。
- こどもたち
- これ、倒れたり、落ちたりしそう?
- あっちゃん
-
みんなが心配しているのは、地震で、この高架が倒れたり、落ちたりしているのではないかと?
これは、ごめん・なはり線の高架。
国道55号線を渡ってすぐにありますね。まこと先生、どうでしょうか?
- まこと先生
-
実は、ことし(2022年3月)、震度6強の揺れが東北地方を襲いました。
そのとき、新幹線が脱線してしまいました。そうしたら橋脚がボロボロになっていたの。
この線路は非常に軽い車体を乗せるように考えられているので、新幹線の高架に比べると、弱いんです。
- あっちゃん
- この高架が倒れていると、かなり邪魔ですよね。
- まこと先生
-
これは、非常に大きな問題ですね。
この避難ルートの、最大の問題かもしれないですね。
- こどもたち
- 地震が起きたら、先生らに、ここを見に来てもらって、 無理って判断したら、第5津波避難タワーに 避難する。
- まこと先生
- いい考え方するね!そう!
- まこと先生
-
例えば、足の速い、若い先生に、ここを見に来てもらって、学校に帰って来るとしても5分かからないよね。それで、通れるんだったら、こっちへ行こう。
通れなかったら、さっきの津波避難タワーに行こうか。
- まこと先生
-
いくつも解答を持っている。正解がひとつじゃない。防災は。
いっぱい正解がある。それを君たちみたいに、考えて、考えて、的確に選んでいくのが、命が助かる原則です。
いいですか?
- こどもたち
- はい!
県立中芸高校に到着!
- あっちゃん
- 高架を通り過ぎることができれば、倒れてくるものは何もない田んぼを抜けて、中芸高校のグラウンドに到着です。
- あっちゃん
- まこと先生、ここまで来れば?
- まこと先生
- もう大丈夫ですね!
- あっちゃん
- 防災倉庫の中を見てみると、簡易ベッドや食料がしっかり準備されています。
- こどもたち
- 水も!
- まこと先生
-
簡易トイレや浄水器、暖房器具などもありますね。
ここで数日、生活できるだけの準備が整えられていると言えますね。
- あっちゃん
- ここで命を守って、さらにつないでいくことも・・・
- まこと先生
- 可能になりますね。
- まこと先生
-
命を守って、命をつなぐ場所が、この中芸高校になります。
みなさんが最初に、ここに来てくれれば、その2つをクリアできたことになります。
- あっちゃん
-
今回、みなさんは、どんなことを感じたのでしょうか。
代表して佐藤心琴さん、お願いします。
- 佐藤心琴さん
- まこと先生、あっちゃんに教えてもらったことで、もし橋げたが落ちてきたら、いろいろなルートを探すことをいかしていけたらなと思いました。
- あっちゃん
- まこと先生から、みんなとの約束です!
- まこと先生
-
地震のあと、まずは、この中芸高校に来ましょう。
そして、みなさんが言ってくれた、先生が、まず避難路を見て、行けるかどうかチェックする時間は十分にあるので、いい発想だと思いましたよ。
そして、ここまで来ましょう。そしたら、みんな、ここで一晩過ごして、お父さん、お母さんに、ここに迎えに来てもらうように、次の日は、なりたいですね。