第11回(@高知市立 南海中学校編)~2022年7月1日放送~
土佐湾に面している高知市。
南海トラフ巨大地震では、大きく長い揺れのあと、
海岸線には、15メートルを超える津波が押し寄せるといわれています。
津波の第1波は、30分から40分で
学校の周辺に到達すると想定されています。
できるだけ早く高台に避難しなければなりません。
- あっちゃん
-
南海中学校のみなさんです。
では、自己紹介をお願いします。
- 鍋島悠希さん
- 南海中学校3年の鍋島悠希です。
- 青木俊亮さん
- 2年の青木俊亮です。
- 藤田優花さん
- 2年の藤田優花です。
- 三浦萌々栞さん
- 2年の三浦萌々栞です。
- 教員の関川ひかりさん
- 教員の関川ひかりです。
- あっちゃん
- 南海中学校のみなさんは、
南海、サバイバル、プロジェクト、
略してNSPのメンバーなんです。
みなさん、防災をしっかり学んでいるんですが、
すでにこういう地図を作っているんです。
- あっちゃん
- 地図には、校区内の避難場所と、
高さが書かれていて、裏には、写真と一緒に、避難する道のりについて、
整備がどうなっているか、夜になっても明るいかなど、自分たちが調べた内容がまとめられています。
- まこと先生
- 家に帰ったあとも、どこに避難するかということが、 ちゃんと24時間の体制が、ここには含まれているという、すばらしいデータですね。
- あっちゃん
- きょうは、そういうことをしっかり考えているみなさんですので、楽しみですね。
- まこと先生
- いろんな発想をみんなで考えていきましょう。
教えてください。よろしくお願いします。
- あっちゃん
- この地域の地震や津波の特徴は、どうでしょうか?
- まこと先生
- 震度7にはなると思いますね。
非常に柔らかい固まってない地盤ですので。
揺れは、どうしても地表面は大きくなり増幅してしまうということが起きます。
- あっちゃん
- 大きく長い揺れが来たあと、
この辺り津波はどうでしょうか?
- まこと先生
- ここに、大事なことがあって、浜堤。
台風の大波が作った砂丘が、ずっと列をなしている。
なんと、この高さは10メートルもあるんですよ。
- まこと先生
- ただし、この10メートル、最初に想定されているように、
15メートルクラスの津波が来ると、簡単に、
これを乗り越えて来てしまう。
- まこと先生
- どの高さの津波が来るのかが、
まったく今の科学ではわからない。
だから、きょうは最悪の想定をして逃げてみたいと思います。
若宮八幡宮の裏山へLet’s go!
- あっちゃん
-
まずは、若宮八幡宮の裏山へ向かいます。
学校周辺では、一番高い場所なんですよね。
海抜60メートル以上で、
学校からは歩いておよそ15分のところにあります。
- あっちゃん
- 学校を出てすぐですが、
もう気になる部分を発見しましたか?!
- 生徒たち
- ここら辺が、いっぱい、ヒビが入っていたり、
ここも結構ぼろぼろになっていたり、崩れたりしているので、
ここからも水が出てくるのかな?
- まこと先生
- いい質問ですね。割れていますよね。
だから、下がもう弱いので、フカフカになってるので、砂で。
だから、道路も波打っていますし。
これは、地盤が弱いというサインなので。
ここは、あなたが言った通り、液状化、下から、どんどん水がどんどん噴き出してきている可能性が高いと思います。
- まこと先生
-
液状化というと、ずぶずぶと、底なし沼になると思っている人が、結構大人でもいるんだけど、そんなことにはなりません。
みんな逃げられます。
体重くらいは支えられます。
- あっちゃん
-
若宮八幡宮の裏山。
その登り口まで来ました。一気に上れば、海抜60メートル以上の避難場所です。
- あっちゃん
-
津波から命を守るには十分な高さですが、津波が収まるまで、ここで過ごすには備えが必要ですね。
関川先生、ここには防災倉庫はないのですね?
- 関川先生
- ないですね。
- まこと先生
- でも、避難ルートを作ってあるから、ここに、最低でも雨を防ぐブルーシートであるとか、それから、蚊の対策用のスプレーであるとか、そういうものが夏場は必要ですね。
- あっちゃん
- ここを避難場所とするならば、もうちょっと、ここに何か必要ですね?
- まこと先生
- 整備するべきでしょうね。
向山団地へLet’s go!
- あっちゃん
-
もう1つ、南海中学校が避難場所に考えているところへ向かいます。
それは、高台の住宅地、向山団地。
海抜30メートル以上ある地点には、 防災倉庫があるということで、 中学校からは、歩いておよそ10分です。
- あっちゃん
- この避難路の危険も、南海中学校のみんなは、 すぐに気づいたみたいです!
- 生徒たち
- そこの段差・・・。
- まこと先生
- そう!
- まこと先生
-
ここまでね、10センチ。これ、道路が、10センチ以上下がっているよね。
よく見つけたね。
なぜ、これが下がっているとわかるかというと、向こう側は下がっていない。
- まこと先生
- 斜面で、道路を作るときに、どうやって作ると思う? 斜面に道路を作るとき。
- 生徒たち
- 削って作る・・・?
- まこと先生
-
斜面を削る。
削った土砂を反対側に盛り土にして、 その上に道路を作っているの。
だから、時間が経つと、だんだん傾いてきて、 崩れやすくなっているの。
- まこと先生
- これも、次の南海地震のときに、 大きく崩れる要因になるので注意してください。
- あっちゃん
-
となると、まこと先生。
この道路の場合は、高台側、向こうの壁は崩れてくるし、こっち、斜面は下がっているし、どこを通るのがいい?
- まこと先生
- そう。だから真ん中ね。
- あっちゃん
- 真ん中ですか。
- まこと先生
- 真ん中を歩こう。
防災倉庫に到着!
- あっちゃん
-
向山団地の防災倉庫がある地点に着きました。
津波が収まるまで、ここに留まることができるでしょうか。
防災倉庫の中の備えを確認してみましょう。
- まこと先生
- さあ、何が出てくるでしょうか?
- まこと先生
- ブルーシートがある。水もあるんだね。
- あっちゃん
-
防災倉庫の中にあったのは、雨風をしのぐためのブルーシート。
それと水。そして、スコップも。
まこと先生、このスコップは?
- まこと先生
-
スコップがあれば、最悪の想定ですが、ここ、これは土ですよね。
土を掘って、そこに板を渡して、そこにまたがって、用を足すということをやってください。
- あっちゃん
- トイレ?
- まこと先生
- スコップがあれば、それができるのよ。
トイレが作れるの。このスコップで。
そして、いっぱいになったら、上に土をかぶせて、また別のところを掘ればいいから。
- まこと先生
- まず生き延びる、飲む、食べる、出す。
それは、ここで完結できないと。大事な考え方ですよ。
- あっちゃん
- 今回どんなことを感じたのか、代表して
鍋島悠希さんに聞いてみます。
- 鍋島さん
- 今回印象に残ったのは、身の回りにある、 こういう壁やブロック塀などが壊れてくるので、 そういうところに気をつけて避難していくというのが、 印象に残りました。 僕たちだけでは気づけない部分もあったので、 こういうところに気づけてよかったです。
- あっちゃん
- 防災について、しっかり学んでいる南海中学校のみんなに、期待を込めて、まこと先生からの宿題です。
- まこと先生
- 津波が来た次の日の朝、がれきが来なかった道を通って、どこへ逃げていくのかということが、次の命をつなぐプロセスになります。まだ、そこまではいっていないです。
命をつなぐために、次に、ぜひ知恵を絞ってやっていただきたいと思います。