第8回(@土佐市立宇佐小編)~2021年12月17日放送~
土佐湾に面した土佐市。
南海トラフ巨大地震が起きると、海岸線では20メートルを超える津波が想定されています。
宇佐小学校が建っている場所は、港のそば、およそ200メートルのところ。
3階建ての小学校の校舎は、津波に飲まれてしまうおそれがあります。
できるだけ早く高台に避難しなければなりません。
- あっちゃん
- 6年生の山中皇駕さん、 6年生の中村実菜都さん、 6年生の北代桜太郎さん、 6年生の嶋﨑彩さん、 そして、6年生の担任、北里香先生です。
- あっちゃん
- まこと先生、宇佐小学校には、 津波がどう迫ってくると考えられますか?
- まこと先生
-
高い津波が一挙に海岸線を乗り越えるんですけれども、最初は3メートルとか4メートルくらいと、低いかもしれません。
でも、その最初の津波は、なんと、この学校の背後のところ、川があるんだけど、ここから入ってきます。過去の津波は、左側からと、右側からの両側から、学校を取り囲むように入ってきたということがわかっています。
- あっちゃん
- 津波は、学校の背後から入ってくるんですね?
- まこと先生
- そうです。そして非常に大事なことは、地震の揺れが収まって20分で、ここには3メートルの津波が来るということです。ですから、津波が後ろに回り込んでしまう前に、山側に避難しないと、山側には、もう行けなくなってしまうということが起きるんです。非常に厳しい場所です。だから、山へ避難するためには20分しか時間がないということを、皆さんが、地域の方にも、きちんと伝えてください。
- 子どもたち
- 20分以内に・・・。
- まこと先生
- 山の方へ、行っておくということが大事なことになりますね。
通称「タンク山」へLet’s go!
- あっちゃん
- 訓練で学校が避難場所にしている通称タンク山を目指します。防災倉庫が設置されている標高25メートルの地点まで、歩いておよそ10分で上がれる場所です。
- あっちゃん
- 橋が気になったようですね?
- 子どもたち
- 地震が起きて、この橋が落ちたり、なくなっていたりしていたら、 どうしたらいいですか?
- まこと先生
- 橋が落ちたらということは、みんなやっぱり考えるよね。この橋を渡って向こう側に行かないと、避難場所にも行けないよね。
- まこと先生
- よく見てごらん。この橋は一体化されているの。箱になっているでしょう。こういうボックスになっているので、地震にはものすごく強いんです。ただし問題があって、この橋は強いんだけど、周りの土地は、いま、アスファルトがあって見えにくいんだけど、土を盛っているのね。だから、その橋の周りが、だんだん、だんだん下がってくるんですよ。
- 子どもたち
- もうできている・・・ひび割れている・・・。
- まこと先生
- 地震の時は、これがもっともっと下がってきているから、もうちょっと段差ができています。でもね、人間の足はね。簡単だよね。気をつけていけば、いいもんね。もう、ちゃんと兆候が出ている。日頃から、こういう地震の時に起きることを、いろいろと教えてくれる兆候が出ていますよ。もうすでに。そういうところを見ていきましょう。
- あっちゃん
- できる段差はどれくらいですか?
- まこと先生
- 地震のあと、境目付近にできる段差は、最大で 50センチくらいです。十分に乗り越えられる高さです。ひるまず進みましょう。
タンク山の地盤は強固!
- あっちゃん
-
橋を渡って、いよいよタンク山を上ります。
何か気になることがあるみたいですね?
- 子どもたち
- この辺り、がけ崩れなどは起きますか?
- まこと先生
-
見てごらん。ほら。硬い岩盤が出ている。
ここはね、すごい理想的な避難路なんですよ。
この道路は、硬い岩盤を切り取って作っているの。
白亜紀の砂岩。いまから1億年くらい前の砂岩なので、非常に地盤が安定しているので、そこに避難路があります。
- まこと先生
- あるいは、反対側。こういうコンクリートの擁壁という壁があります。ここは、素晴らしい理想的なところです。
- 子どもたち
- 地震に強いんですね。
- あっちゃん
-
硬い岩盤に守られた坂道。
この避難路を上がれば、すぐ避難場所ですね。
- あっちゃん
-
到着です。標高は25メートル。
防災倉庫が設置されています。
まこと先生、ここまでの道のりは、どうでしたか?
- まこと先生
-
非常にいいですね。理想的な避難路だと思います。
もちろん、途中で、いくつか崩れているところもあると思いますが、人間の足は、それを乗り越えて、逃げられますから。
決してあきらめないことです。
もう1つの避難場所砂防ダムへ
- あっちゃん
- 宇佐小学校が考えている、もう1つの避難路。それは、タンク山の登り口から、さらに500メートルほど先にある砂防ダムの周辺です。標高30メートルほどのところには、防災倉庫が設置されています。こちらも、子どもたちは気になることがあるようですね?
- 子どもたち
- ここは、崩れてくることは考えられますか?
- まこと先生
- ここは、やっぱり谷が深いです。ここに書いてあるように、土石流危険渓流と決まっているんですね。ですから『がけ崩れ』ではなくて、ここで危険なのは『土石流』です。谷に溜まった石や岩などが、雨で崩れてくるということです。タンク山は岩盤。ここは谷。全然違うよね。
- こどもたち
- 雨の時は、ここはやめた方がいい?
- まこと先生
- 雨が多いときは、ちょっとこの避難ルートは危険すぎると思います。むしろ、離れていても、タンク山に行った方が命は守れる可能性は高いです。
- あっちゃん
- 津波が迫ってきているとき、自分がどこに逃げればいいか、 天気はどうなのか、命を守るために、事前にしっかり 考えておかないといけませんね。
津波の高さは地形で変わる!?
- あっちゃん
- 避難場所までは、急な階段を上ると、もうすぐです。
- まこと先生
- タンク山と、この砂防ダム周辺では、地形が違うことで、津波の高さも大きく変わってくるんですよ。
- 子どもたち
- えっ?どう違うんですか?
- まこと先生
-
ほら、見てごらん。タンク山は、津波が来る海に向かって出っ張っているよね。だから、津波は二手に分かれるんです。
ところが、いま来た砂防ダムの方は・・・。
- 子どもたち
- 引っ込んでいる・・・。
- まこと先生
-
そう。波が溜まるの。そして、さらに、奥に谷が切れ込んでいるよね。そこに津波がドーンと来たら、津波の先端はどうだろう?
斜面へ上がっていくんです。これを『津波の駆け上がり』といいます。
- あっちゃん
- じゃあ、もうちょっと高いところへ逃げた方がいいですね?
- まこと先生
-
ここまで来たら、時間は十分にあるので。
だいたい1時間半から2時間くらいは余裕があるので、ちゃんと状況を見ればいいんだよね。やっぱり観察力。ちゃんと見て考えて。あと、音をしっかり聞いてください。ここでは危ないかもしれないねと、みんな感じられるはずだから。先生たちも君たちも、そのときは、もっと上へ逃げる道がありますから。
- 子どもたち
- はい。危ないときは、上まで行きます。
- あっちゃん
- 標高30メートルの避難場所に到着しました。 きょうは、どんなことを感じたでしょうか?
- 嶋﨑彩さん
- 避難場所の詳しいことや、そのほかの環境などについてわかりました。タンク山と砂防ダムでは、特徴が全然違うけど、 その特徴によって、雨だったらタンク山に避難するなど、 状況に合わせて逃げたいと思いました。
まこと先生とみんなの約束!
- あっちゃん
- 最後に、まこと先生から、みんなとの約束です。
- まこと先生
-
歴史的に100年に1回来た地震・津波によって、この宇佐という町は大変な被害にあってきました。
ですから、とにかく1分以上揺れたら、これは津波が来るんだと。長い揺れに注意なんです。強さではありません。揺れの長さで逃げるという体制を取ってください。
しかも、それが20分で終了しないといけないんです。大変厳しい条件が付けられてるのが、この宇佐という地区なんです。 いいですね。20分以内に逃げられますか?大丈夫ですか?
- 子どもたち
- はい!
- あっちゃん
- 力強い返事がありましたね。
- まこと先生
- そのあと会って、お互い生きていてよかったねって抱き合いましょうね。