第3回(@芸西村立 芸西中学校編)~2021年6月18日放送~
土佐湾に面した芸西村。南海トラフ巨大地震で、10mを超える津波が想定されちゅう。
沿岸部には、海からの砂が堆積した浜提が広がっちょって、
海沿いを走る土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の線路との間には、松林も広がっちゅう。
一緒に考えてくれた芸西(げいせい)中学校のみなさん
- あっちゃん
- 芸西中学校の中島優晴(なかじま・ゆうせい)さん、山本健翔(やまもと・けんと)さん、松本妃里(まつもと・きらり)さん、西川咲花(にしがわ・はな)さん、大元彩奈(おおもと・あやな)さん、そして防災担当の橋場公亮(はしば・こうすけ)先生です。
- 大元 彩奈さん
- 海沿いの松林は、どれくらい津波を弱める効果があるのですか?
- まこと先生
-
浜堤という砂の塊でできた堤防状の地形が線路沿いにあるよね。
実は、あの高さは10mから16mあって、高知県では一番高いんですよ。
だから、まず、その砂の山の連なりが防いでくれます。
松林は、5mくらいの津波が砕け散ってしまうくらいの力をもっているので、すばらしいところですよ。
- あっちゃん
- ただし、津波は、その松林を超えてくるかもしれない?
- まこと先生
-
ところどころ低い所があるので、そこから少し入ってきます。
実際、この平野部分に津波が入ってきたということは、過去に起きています。
- あっちゃん
- 津波は油断大敵ですね。
- まこと先生
-
津波は、浜堤の切れ目から入り込んでくる恐れがあります。
村の東隣、安芸市を流れる赤野川(あかのがわ)の河口周辺、そして、村の西側、和食川(わじきがわ)の河口周辺です。
ただし、芸西中学校は、標高15メートルに学校が建っていて、地盤も固いので、校舎にとどまったとしても安全です。
- 橋場先生
- 学校では、さらに高い場所への避難を考えています。中学校の校舎は地域の方が使うんです。
中学生は、より高い所に避難ということで、憩ヶ丘(いこいがおか)公園に避難することになっています。
- あっちゃん
- 高台にある憩ヶ丘運動公園は、学校からは、歩いて20分ほど。
標高40メートル以上のところにありますね。
- まこと先生
- みなさんは走ってでも行けるくらいの力があるから、学校を空けていれば、お年寄りが使うことができる。
すばらしい事前の配慮だと思います。
憩ヶ丘運動公園へ Let’s go!
- 生徒たち
- 農業用ハウスの暖房に使う燃料タンク。危ないように思いますが?
- まこと先生
- ブロックに乗っているだけですね。これは地震の時に100%倒れますよ。
- あっちゃん
- 地震の時に倒れて、道を塞ぐかもしれない?
- まこと先生
- そう。道を塞ぐかもしれない。そのときは、回り道しましょう。
- 生徒たち
- 電柱が気になります。田畑の周りに、いっぱい連なっているので。
- まこと先生
- 地震が起きると、東西南北に揺れるんだけど、芸西村は、震源地の真上だから、上下にも揺れます。
こんな風に斜めにも揺れるからね。その時に、この電柱どう倒れるだろう?
- 生徒たち
- 手前です。道路に向かってだと思います。
- まこと先生
- それは、なぜ?
- 生徒たち
- 電柱の道路側に、おもりとか、全部ついているから。
- まこと先生
- なるほど。では、電柱をよく見て。
- まこと先生
- 電柱から斜めに出ている線、これは支線。支える線です。2本で支えているでしょう。だから、倒れようとするのを、線の方向に引っ張ってるの。
- あっちゃん
- 電柱は、引っ張られている方向に倒れるということですか?
- まこと先生
- そう。そして、電柱が倒れる際の「特性」にも注意が必要ですよ。この電柱は、田畑側に倒れます。
そうすると、ほかの線も引っ張っているでしょう。そうするとね、電柱は、みんな同じ方向に倒れるんですよ。知っておいてくださいね。
- あっちゃん
- 電柱が一斉に倒れるのは、田畑の方向だから、この道は大丈夫。通れるんですね。
究極の耐震建築も!
- あっちゃん
- ちょっと気になるんですが、ハウスはどうでしょうか?
- まこと先生
- 農業用ハウスは倒れません。軽いから。つぶれようがない。究極の耐震建築です。
- あっちゃん
- 農業用ハウスは、風が強いと影響が大きいですが、地震には強いんですか?
- まこと先生
- 農業用ハウスみたいに軽いものは、中に空気しかないでしょう。地震では倒れにくい施設です。
だから、安全なのね。農業用ハウスがあれば、ひとつはそこに避難するという手もあります。
もちろん、津波が収まったあとですよ。
- あっちゃん
- 芸西村には、見渡す限り、数多くの農業用ハウスがあります。
揺れには強いですが、津波には弱い。
やっぱり高台への避難が、いちばん安心ですね。
憩ヶ丘運動公園に到着!
- あっちゃん
- ここまでくれば安心ですね?
- まこと先生
- 標高40mか50m近くありますからね。もう完璧。津波のおそれはないですね。
- あっちゃん
- ほかに、気をつけることはありますか?
- まこと先生
- 芸西村だからこその注意点があります。
雨がよく降りますよね、これからの時期は特に。山からの津波に注意が必要です。
東日本大震災の時も、福島県内では、ため池が決壊しました。
土砂が流れ込んで7人が亡くなり、1人が行方不明になりました。
- あっちゃん
- いま私たち、運動公園にいます。でも、上にある池から、土砂が流れ下ってくるかもしれないと?
- まこと先生
- 人工のダムがいっぱい作ってあるんです。ここは園芸地帯ですから、そこから水を供給してるんです。
でも、いまの梅雨時みたいなときに地震が起こると、急峻な山が崩れて、このダムに向かって落ち込んでしまう。
すると、土砂に押されて、ダムの水はダムの堤体を超える。
超えて流れ出た水が、村に流れ込んでくる恐れがあるんですね、実は。
- あっちゃん
- こういうことが起こりうるということは、考えておかないといけないことなんですね。
- まこと先生
- 海からの津波だけではなくて、背後から、山からも津波が来る恐れがあるので、できるだけ高い所へ逃げることが大切です。
みんなの感想は?
- あっちゃん
- みんなは、どんなことを感じましたか?
- 西川咲花さん
- 芸西村の浜に広がる松林は、低い津波だと防げることがわかりました。
- 松本妃里さん
- 歩いてみて自分が思っていたより怖いものがあったので、きょう学んだことをみんなにも伝えていきたいです。
- 山本健翔さん
- 丈夫な家よりも、いまみんなが働いているハウスなどの方が、丈夫で軽くて安全性が高いということを知ってびっくりしました。
- 中島優晴さん
- 電柱などは支線で支えられていることを先生から聞いて知って、考えて電柱を立てているんだなと思いました。
- 大元彩奈さん
- 山の上にある池からの土石流にも気をつけないといけないことがわかりました。
まこと先生とみんなの約束!
- まこと先生
-
みんな芸西村、自分が住んでいるところで何が起こるかをそれぞれの視点でしっかり学んでいただいたので、すごくうれしかったです。
津波は、海からだけではなくて、山からも土石流という形で来る恐れがあるということを考えなければいけません。
そして、海から来る津波と同じように高い所に逃げるということを心掛けてくださいね。