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中道この道逃げる道

第18回「@室戸市・北川村・奈半利町」
 (2020年10月9日放送)

台風が高知県に接近することが多い夏から秋にかけての時期は、大雨によって地盤が緩み、土砂災害の危険性が高まります。
そのタイミングで地震が発生すると、さらに警戒が必要です。
山や川沿いでの避難の重要性を考えます。

地震によって土砂崩れ

地震によって土砂崩れ(1)
中道アナ
室戸(むろと)市の佐喜浜(さきはま)地区に来ました。
きょうは海沿いではなく、佐喜浜川の上流で、避難の注意点を考えるということですね。
岡村さん
津波は沖合から沿岸に向かってやってきます。同時に山間部でも注意が必要です。きょうは、山あいでの避難の注意点を考えていきたいと思います。
地震によって土砂崩れ(2)

高知県は面積の8割余りを森林が占めます。
巨大な地震が起きると、土砂崩れが発生する恐れは県内各地で高まります。

加奈木がつえるぞ

加奈木がつえるぞ(1)

地元の方に話を聞きました。山あいでの土砂崩れについて、言い伝えられてきたことがあるといいます。

女性
雨が降ったら、「加奈木がつえるぞ」というて。子どもの時分に、そんな覚えがあるんですよ。
男性
加奈木がつえるからね。河口から4キロばぁ先に、土砂崩れで消えたところがあるよ。

※つえる・・・地域特有の表現、山が崩れるの意味。

加奈木がつえるぞ(2)

佐喜浜川の河口から車でおよそ30分、
上流にある「加奈木の潰(つえ)」と呼ばれる場所に向かいました。

加奈木がつえるぞ(3)
中道アナ
あれですか?
加奈木がつえるぞ(4)

およそ300年前の宝永地震で、大規模な山崩れが発生したとみられています。
東西500メートル、南北250メートルにもわたる山崩れは、県内最大級だと指摘する調査結果もあります。

加奈木がつえるぞ(5)
岡村さん
特に雨が降る時期は、背後の山にも注意が必要であるということです。
中道アナ
地震が起きることによって、土砂崩れが起こりうる、ということですか。
岡村さん
危険性はさらに高まります。1707年の宝永の地震で大規模に崩壊したという証拠が、論文になっています。
加奈木がつえるぞ(6)

岡村さんは、南海トラフ巨大地震によって大規模な土砂崩れが発生し、佐喜浜川の下流域にも、被害が出る恐れがあると指摘します。

岡村さん
雨の多い時期に3分間も地震で大揺れをすると、大規模な崩壊が起きます。その末端は土石流となって、上流から下流の町を襲っていきます。
岡村さん
地質学的な特性を知っていただいて、どういう危険があるのか、平穏な時期に学ぶことが大事です。

ダム湖に土砂流入、波が発生

ダム湖に土砂流入、波が発生(1)

過去、実際に大雨による土砂崩れが発生した地域があります。
9年前(2011年)、まさに台風が近づいている時期のことでした。
現場を訪れようと奈半利川の上流に位置する北川村に向かいました。

中道アナ
私たちの後ろに見えるのが平鍋(ひらなべ)ダムですね。
ダム湖に土砂流入、波が発生(2)
岡村さん
危惧されていることのひとつは、越流(えつりゅう)です。ダムの堤(つつみ)を越えて、下流へ大量の水が流れ込んでしまうということが、9年前の7月に起こりました。
ダム湖に土砂流入、波が発生(3)

平成23年(2011年)7月、当時、台風6号が高知県に接近。
降り始めからの雨量は1000ミリを超えたところもありました。

ダム湖に土砂流入、波が発生(4)

山々に降った雨水は、大量の土砂とともに、ダムに流れ込みます。
すると波が発生しダムの堤を越えたのです。

ダム湖に土砂流入、波が発生(5)

川の水がダムに流れ込む場所を訪れました。
堤を超える波が発生したことを示す証拠が、いまも残っていました。

岡村さん
土石流がつくった扇状地です。ダム湖が急激に下から押され波が発生し、その波がダムの堤を越えたという証です。
ダム湖に土砂流入、波が発生(6)

なぜ、こうした現象が起きたのか。岡村さんは、地層の特徴からその原因が見えてくるといいます。

岡村さん
“流れ盤”、怖い名前ですけれど。流れやすい地盤になっているということですね。つるんつるんの斜面なんです。もともとの地層が傾いているんです。
岡村さん
その傾いた地層の上に斜面ができていると、どうしても、上に乗った部分、風化土壌とか木々の部分の土壌も含めて、落ちやすくなってしまいます。

きょうのポイント

きょうのポイント(1)

最後に、きょうのポイントを伺いました。

岡村さん
高知県で暮らす以上、背後からも津波が押し寄せてくるということを、日ごろから考えておかなければいけません。
きょうのポイント(2)
岡村さん
雨の時期に地震が起こったら、背後の山が崩れ土石流になって、その土石流が川を上流から津波のように襲ってくるということを、この際、考えていただきたいです。
中道アナ 編集後記
室戸市佐喜浜町に残る「加奈木の潰(つえ)」を前にしたとき、茶色い山肌が広がり、その規模の大きさに驚きました。
地元の方に伺うと、いまも大雨によって崩落が起きているとのことでした。
高知県内は特に、夏から秋にかけて、台風の接近によって大雨が降り、地盤が緩くなるおそれがあります。そうした中、大地震が発生した場合、土砂崩れの危険性はさらに高まります。
山沿いや川沿いに住んでいる方や仕事をしている方は、地震が発生したら速やかに川から離れ避難するなど、決して他人事とは思わず命を守る行動につなげてほしいと思います。
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