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中道この道逃げる道

第10回「@宮城県東松島市」(2020年1月17日放送)

東日本大震災の発生からまもなく9年を迎えます(放送時)。
3回にわたり、宮城県の被災者の証言などをもとに備えるべき注意点を考えます。1回目は、宮城県東松島市です。
東日本大震災で課題となったのは、道路が寸断されるなどして、支援物資が被災者に迅速に届かなかったという事態です。南海トラフ巨大地震が想定される高知県にとって、決して他人事ではありません。
東松島市は、震災後、備蓄に関する詳細な取り決めや整備を行いました。いまでは、海外からも視察に訪れています。地震や津波から避難した後、どのように命をつなぐか、考えます。

“食料が手に入らない”

“食料が手に入らない”(1)
中道アナ
平野が広がっていますね。東松島市に来ました。この平野の向こう側に、海が広がっています。
“食料が手に入らない”(2)

2011年3月11日、震度6強の揺れと10メートルを超える津波に襲われた東松島市。1109人が犠牲になりました。
現在は復興が進み、住宅も再建され、市街地の賑わいも戻ってきました。

“食料が手に入らない”(3)

当時、東松島市で被災した方に伺いました。津波の被害から免れた自宅に留まりましたが、近くの道路が寸断され、震災からおよそ1週間、支援物資は届きませんでした。

男性
この国道45号線も、いまみたいに車が通れるようになるのに3日か4日ぐらいかかったんですよ。流木、ひどいのね。とにかくいろんなものが道路の横に、廃材の置き場みたいになっているから。電気、水道、ガス、何もないから。たまたまガスコンロと小さいボンベがあったんですよ。それで助かった。それと、土鍋でご飯を炊いた。

震災の教訓 防災拠点備蓄基地を整備

震災の教訓 防災拠点備蓄基地を整備(1)

東日本大震災で課題となったのは、被災者に必要なモノが十分に届かなかったことです。
そこで東松島市は、支援物資をスムーズに供給するための仕組みづくりに力を入れました。整備したのは、「防災拠点備蓄基地」です。

中道アナ
大きい備蓄基地ですね・・・。
震災の教訓 防災拠点備蓄基地を整備(2)

面積は1500平方メートル。震災の3年後、2014年に、およそ2億2千万円で高台に整備しました。
管理している担当者に案内してもらいました。

震災の教訓 防災拠点備蓄基地を整備(3)
中道アナ
棚の高さは、私の背丈の3倍以上、ありますね。
震災の教訓 防災拠点備蓄基地を整備(4)

防災拠点備蓄基地は、海抜およそ20メートルの高台に整備。さらに、その周囲にある避難所24か所に備蓄倉庫を設置しました。
災害が起き、各避難所で物資が不足すると、防災拠点備蓄基地から送り届けます。

震災の教訓 防災拠点備蓄基地を整備(5)

拠点基地のモノが不足してくると、他の地域から届く支援物資を一手に引き受け、各避難所に追加で送り出す機能も担います。

素早く被災者へ きめ細かい工夫も

素早く被災者へ きめ細かい工夫も(1)

拠点基地に備えられているのは、68種類。震災当時、避難生活で必要になったものばかりです。
水や食料・・・

素早く被災者へ きめ細かい工夫も(2)

毛布や紙おむつなどの生活用品・・・

素早く被災者へ きめ細かい工夫も(3)

簡易トイレから発電機まで、さまざまです。

素早く被災者へ きめ細かい工夫も(4)

避難してきた人に支援物資を配る際の工夫もあります。
震災時、誰に何を配ったのか分からなくなり混乱したことへの対策です。

備蓄基地
管理担当者
被災から3日間くらいの避難生活を想定できるように準備をさせていただいています。タオル、歯ブラシ、防寒着、全部入っています。
素早く被災者へ きめ細かい工夫も(5)

さらに、保管している棚にも工夫があります。どこに何が保管されているか、写真ですぐに判別でき、誰でも簡単に取り出せます。

備蓄基地
管理担当者
3日間はどこからも支援は来ませんでした。ということは、その間、市民の方に備蓄品を供給して生きる望みをつないでいくためにはいちばん大事なことかなと思っています。

きょうのポイント

素早く被災者へ きめ細かい工夫も(6)

東松島市の担当者は、震災発生後、いかに素早く確実に支援物資を供給できるかが行政に求められていると指摘します。

素早く被災者へ きめ細かい工夫も(7)
東松島市
担当者
食料がない、水がない、市の災害対策本部にどんどん情報がありました。そのとき、避難者に最低限の飲料水と食料を配るべきというところの思い、教訓から、備蓄基地の建設につながっています。次の支援が来るまでの間、市民の方にそれを配布して、生きながらえていただくというところが、この備蓄基地の意義です。
中道アナ 編集後記
東松島市では、まず大前提として自宅の耐震性を十分にすることや、高台への避難路を確認することが大切だという話が聞かれました。そのうえで、命をつなぐために、被災者に支援物資を確実に届ける方法を考えることも重要です。
高知県黒潮町は、東松島市の教訓をもとに地域防災計画の改定を進めています。南海トラフ巨大地震を前に私たちは、被災地から学ぶことが数多くあると感じました。
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