第5回「@はりまや橋・帯屋町」(2019年7月25日放送)
夏休みに入ると特ににぎわう高知市の市街地。
8月は「よさこい祭り」が行われ、県内外から多くの人たちが訪れます。
人通りが多い市街地ならではの避難の注意点とは何か、考えます。
南海トラフ巨大地震発生時 高知市内は?
- 中道アナ
- もし南海トラフ巨大地震が起きたら、どんな事が起きると想定されますか。
- 岡村さん
- これは、1946年に発生した昭和南海地震の翌日の写真です。
- 中道アナ
- 街が水没しています。
- 岡村さん
- この地域には、30メートル以上の軟弱地盤があります。地盤が固い山に比べると揺れが2.65倍も大きくなってしまいます。そして地震で地盤が2メートル沈下してしまい、津波が入りやすくなります。
地盤のやわらかさに注意
高知市のはりまや橋から高知駅に向かって北へ歩くと、 地面のへこみや水たまりがあちこちで目につきました。
- 岡村さん
- 水たまりができていますね。地盤が沈んだり、動いたりした証拠です。
岡村さんが次に注目したのは、普段、目がいかない道路と建物の境界部分です。
- 中道アナ
- 数センチの段差ができていますね。
- 岡村さん
- ビルは固い地盤にくいが打ってあります。一方、周りの地盤は何もしていないため、地盤が締め固められて下がっていきます。
地盤沈下の早さにも注意
岡村さんは、地震による地盤沈下のスピードにも注意が必要だといいます。
- 中道アナ
- 地震が起きたら、地盤沈下が起きるということを想定して早めに行動する必要がありますね。
- 岡村さん
- 東日本大震災で、1分で地盤が下がるという事が分かっています。高知でもその時間を考えないといけません。海水が侵入する恐れがあります。津波が来るまで40分もあると思っていたら、この地域はとんでもない事になってしまうわけです。
街なかをおそう津波から身を守るポイントとは。
- 岡村さん
- どこから津波が来るのか、平野では見えますけれど、このあたりではビルが遮って分かりません。突然、がれきや車が、津波とともにボンと出てきます。それを目撃してからでは、なかなかもう逃げられなくなってしまうので。ビルの高いところで待つということを徹底していただきたいですね。
アーケードで気をつけること
つづいて、普段買い物でも訪れる帯屋町のアーケードを歩きました。
岡村さんが指摘したのは、頭上の注意点です。
- 中道アナ
- いろんな物がぶら下がっています。数メートル歩けば必ずありますね。
- 岡村さん
- 2005年の福岡県西方沖地震では、ビルのガラスが落ちて割れ、飛び散っていました。壁も落ちてくる可能性がありますね。
商店街のそばには、図書館などが入る高知市の複合施設オーテピアがあります。
近くでは毎週、日曜市が開かれ、多くの観光客が訪れるこの場所も、津波浸水エリアです。
- 岡村さん
- いま、標高が3メートルくらいあります。
ただ、南海トラフ巨大地震では地盤が2メートル下がってしまうので、標高は1メートルになってしまい、1階の真ん中あたりまで津波が入ってしまいます。
- 中道アナ
- 木目調と、コンクリートの色がありますけれど・・・。
- 岡村さん
- その境のところまで津波が来ます。
きょうのポイント
最後に、きょうのポイントを伺いました。
- 岡村さん
-
海から遠いから、ここに津波は来ないと思っておられるかたも多いと思います。けれど、300年前にも、150年前にも起きています。
必ずここにも津波が来るんだ、ということを考えていただく必要があります。
- 中道アナ
- 8月には「よさこい祭り」も行われ、多くの人が高知を訪れますね。
- 岡村さん
- 観光客にとって、ここに津波がくるとはほとんどご存じないと思います。もし地震が起きたら、私たちが避難を誘導する必要になってきます。
- 中道アナ 編集後記
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地震によって地盤が沈下することで、満潮時には津波が来る前に浸水してしまう恐れがあることが印象に残りました。
また市街地はビルに囲まれているため、津波が迫っていることに気づきにくいことも分かりました。海が見えない場所にいたとしても、大きく長い揺れが発生したらすぐに高台や高い建物へ逃げる必要性があると改めて感じました。