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中道この道逃げる道

第4回「@宿毛市」(2019年6月27日放送)

埋め立てられた平地が広がる宿毛市。
場所によっては、3階建て以上の建物がなかなか見つかりません。
こうした場所で避難する際の注意点とは何か、考えます。

津波が早く押し寄せる

津波が早く押し寄せる(1)
中道アナ
宿毛市に来ています。もしここで南海トラフ巨大地震が起きたら、どういったことが起きると想定されますか?
岡村さん
宿毛は明治時代から、大きな船も入れる高知県では数少ない港です。
津波は水深に応じて速さが決まるので、ほかの地域に比べて早く津波が沿岸部に到達します。10分から15分で第一波が沿岸部に到達してしまいます。

「いまこの瞬間、ここで地震が発生したらどう避難しますか?」

片島港の近くで住民に話を聞くと「市街地に高い建物が少なくて、どこに逃げればいいのか分からない」という声が聞かれました。
そこで、港から内陸部にある宿毛駅を目指して歩きました。

津波が早く押し寄せる(2)
中道アナ
3階建て以上の建物が・・・
岡村さん
あまりないですね。
津波が早く押し寄せる(3)

高い建物がなかなか見つかりません。
宿毛駅に近づき、歩いてきた道を振り返ると・・・

中道アナ
見てください。ずっと平らになっています。
岡村さん
もともと湿地帯で、埋め立てられた場所です。津波は何の抵抗もなく道路を伝って入ります。重大なことです。

埋立地だからこその注意点

埋立地で津波から逃げる際の注意点とは?
市街地中心部の駅から高台へ、北におよそ1キロの道のりを進みます。

埋立地だからこその注意点(1)

岡村さんが注目したのは、道路上のマンホールです。
液状化現象が発生する恐れがあると指摘しました。

岡村さん
マンホールの周りが数センチ、下がっています。
周りの地盤が柔らかいので、すでにひび割れができています。地震が起きると、マンホールが飛び出しているかもしれません。
埋立地だからこその注意点(2)

次に指摘したのは、橋。
避難する道筋をいくつか準備した方がいいと話します。

岡村さん
手前の地盤と奥の地盤で揺れる周期が違い、ねじれが橋にかかります。仮に橋が落ちて避難で使えなくなっても、絶望するのではなくて、迂回路を3つくらいあらかじめ考えて逃げてください。
埋立地だからこその注意点(3)

津波避難の看板に沿って歩き、高台に到着しました。

岡村さん
高いところに避難所となる集会所があります。理想的な考え方です。街づくりの防災上の基本がここにあります。

地震研究者の間でよく知られる神社へ

続いて、岡村さんと向かったのは、沿岸部にある鷣(はいたか)神社です。
宿毛湾に面した大島(おおしま)地区にあります。

地震研究者の間でよく知られる神社へ(1)
岡村さん
地震の研究者の間では有名な神社です。

平成7年、神社を建て直した際、地区の住民が津波碑を設置しました。
海抜10.7メートルの本殿に向かう階段にあります。

地震研究者の間でよく知られる神社へ(2)

まず、階段を7段上った、高さ1.5メートルくらいの場所にあるのは、1854年の安政地震の津波被害が記された津波碑です。

岡村さん
背の高い中道さんの胸くらいの高さまで来ています。
地震研究者の間でよく知られる神社へ(3)

さらに階段を上って、下から40段目、1707年の宝永地震の津波被害が記された津波碑があります。

中道アナ
海が見えますね。建物の2階か、それ以上の高さにあります。
岡村さん
津波と津波がぶつかると、高さは足し算になります。このあたりが特異点であることは間違いありません。

きょうのポイント

きょうのポイント(1)

最後に、きょうのポイントを伺いました。

岡村さん
宿毛地域は地形が複雑で、あらゆる方向から津波が入ってきます。
科学的にはどこで津波が高くなるか、現代のシミュレーションではなかなかそれが分かりません。ただ、市街地から500メートルくらいの範囲には、逃げる高台がたくさんあります。
諦めず高い場所を目指してください。
中道アナ 編集後記
鷣(はいたか)神社の津波碑では、到達した津波が私の身長(1メートル89センチ)を優に超えていたことに驚きました。
岡村さんは「地震によって地盤が沈下すると、津波の高さがそれほど高くなくても市街地の奥まで入り込む恐れがある」とも話していました。
安全を確保しながら、できる限り早く高台に逃げる必要があると改めて感じました。
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