2022年12月05日 (月)手ごたえ十分! "夢前の播磨富士" ~姫路市・明神山~
まずは登山口へ移動中の1枚。
(助手席からの撮影です!)
とがった山頂と、ゆったり広がる裾野。
姫路市夢前町にある、
明神山(みょうじんさん;標高668m)です。
「播磨富士」と呼ばれる山は複数あるそうですが、
この明神山も、確かにその雰囲気は十分!
登山口の石碑には、
「夢前の播磨富士」とありました。
「富士」と名の付く山に登るとなると、
不思議に気分が高揚するものですね!
でも、浮かれてばかりはいられません。
というのも、標高570m付近から山頂まで、
かなり詰まった等高線に直交するルートになるのは
前もって地形図を確かめた段階で明白だったのですが…
登山口から望む山頂付近、このとがり具合です!
さらに、「落石」や「道迷い」への注意・警告も。
(読んで字のごとくではありますが、
「道迷い」というのは山岳用語ですね…)
今回のご案内役、黒田信男さんの設定されたルート。
前の写真のコース表記に従うと、
登りがCコース、下りがBコースにあたります。
つまり、「健脚向けで登り、初心者向けで下る」。
登山口付近には、こんなものも。
一瞬ドキッとしますが、3人連れのかかしでした。
でももっとドキッとしたのは、手前の案内板の記述。
「山ヒル大量発生中(4月~10月)
特に「Bコース」人工林(杉林)内が多い」
大量発生中!
なんとも穏やかならぬ文言ですね。
Bコースというと、私たちの下山路。
既に時期を過ぎているはず… ですが、
用心するに越したことはありません。
いろいろ気を引き締めてスタートします!
…が、拍子抜けするぐらい、
初めはこうした緩やかな尾根道。
乾いたアベマキ(おそらくですが)の黄葉を
カサカサと踏みながら進みます。
しかし、途中から雰囲気は一変しました。
少しずつ登りがきつくなり、周りも岩がちに。
そして、名前のついた岩が続々現れます。
まずは「屏風岩」。
「岩の上は展望台」と書かれていたので、
上がってみると…
見下ろす紅葉と、夢前町神種(このくさ)の市街地。
送電線の鉄塔がどーんと鎮座してはいますが、
気持ちのよい眺めです。
(今回の「山歩写真」とした1枚です)
続いては「観音岩」。狭いすき間を進みます。
ここで注目していただきたいのは、
小さな岩や木が埋め込まれていること… だけでなく、
随所に見られる黄色のペインティング。
ここを踏んでいくと登りやすいよという印です。
もちろん、岩は風化してゆくものですし、
なんの疑いもせず信じてしまうのは危険ですが、
自分でしっかり状態を確かめたうえであれば
とても助かる印だと感じました。
このあとも、コース内には
こうしたペインティングがいくつもありました。
進行方向左側に見える尾根。「Aコース」方面です。
派手さはなくとも見事に色づいた紅葉が、
(このころまで出ていた)陽射しを受けてきれいです。
岩シリーズ、続きます。こちらは「くじら岩」。
クジラの背中のよう… ですね。
中央奥に山頂、その手前には地蔵岳(511m)が見えます。
番組では黒田さんが「前衛峰」と表現されていましたが、
主峰の前にそびえる峰のことをいいます。
山の用語も、回を重ねる中で少しずつ覚えてきました!
さらに。
番組には登場しませんでしたが、
道をふさぐ「御邪魔岩」なんていうのも。
ここは標高およそ450m。
黒田さんの右前方をよく見ると
ジグザグにロープが続いています。
Cコースの「健脚向け」区間、いよいよ開始です!
切れ落ちる崖の手前に張られたロープ。
しかも、岩にしっかり打ち込まれた
金属製の杭に結び付けられていました。
私、ロープワークはまだまだ知りませんが、
黒田さんによると、
かなり慣れた“山屋”の作業とのこと。
先ほどの黄色いペインティング同様、
ずいぶん整備の手が入ったルートです。
実はこの先、「がまん坂」や「八丁坂」など
名前の付いた急な登りが続きました。
番組では、頭に付けた小型カメラの動画も駆使し
リアルな登りの映像をお届けできたのですが、
デジカメやスマホは、落下を恐れて
ザックに全部収納してしまっていたので…
ブログではいきなり山頂となります(笑)。
このころには陽射しがなくなってしまい、
吹き抜ける風はさすがに冷たいものでした。
登りに負けず劣らず、下りも急でした。
こちらは「気合い坂」。
とはいえ、
朝来の床尾(とこのお)山系の「激下り」に比べれば、
まだラクだったかもしれません。
急な下りを行くときのコツを、
頭の引き出しからひっぱり出して進みました。
●先に踏み出す側の足はつま先を前に、
ついていく足はつま先を横(進行方向に直角)に。
●真っすぐ下りられそうなところでも、
ジグザグに進んだり横歩きを使ったりすると
ひざ周りがぐっと楽になり、筋力を温存できます。
●極力、木の根を踏まないようにしましょう。
また、この時期は枯れ葉に隠れた浮き石に注意!
経験って、人を強くしますね…。
下山途中で見かけた紅葉。
こうしたモミジ・カエデの類は少なめのようで、
登りのCコースでも、
ちょうど私がカメラをザックに収めた
標高450m以降(=画像がありません…)で、
いくらか目にした程度でしたね。
途中まではA・Bコースが重なっていますが、
ここで分岐して左方向、Bコースへと進みます。
冒頭で触れた、
「山ヒル大量発生中(4月~10月)」の区間です!
先ほど「激下り」のくだりでも登場した、
初めてヤツ(そこでは「Y」としましたが)と遭遇した
あの林に、確かによく似た雰囲気です。
番組からは漏れましたが、こんな場所も。
よ~く見ると、
こんなふうに、
わずかながら水が流れているのです。
下っていくと、「滑滝(なめたき)」の表示。
滑(なめ)というのも山岳用語で、
緩やかな傾斜の一枚岩の上を
水がなめるように流れている場所のこと。
今回はちょろちょろ程度でしたが、
もう少し水量があればきっと見事でしょう!
ただ、今の時期でなければ、
いかにもヤツらが出そうな場所でもありますが。
さて、ゴール地点の「観音滝」へはあとわずか。
滝へと上がる入口の案内看板の写真では、
ある程度の水が流れ落ちているのですが…
お分かりでしょうか?
白く囲んだ中、水滴がしたたり落ちていて…
小さな滝壺で跳ね返っています。
階段を上がってみると…
踊り場には観世音菩薩があり、
いわゆる「裏見の滝」にもなるようでした。
(板が弱っているかも!? と思ったので、
念のため踊り場に踏み込んではいません)
番組ではここでゴールとしましたが、
スタート地点までは歩いて20分くらいでしょうか。
途中の「岩屋池」からも明神山はよく見えました。
改めてその急傾斜を実感すると同時に
変化に富んだコースを歩き通した充足感も湧き、
手ごたえ十分の“播磨富士登山”となりました。
この明神山に関して、
私のような初心者が留意すべき点とすれば、
天候や時期を選ぶことでしょうか。
雨の日には岩の尾根や斜面が滑りやすそうですし、
春から秋、特に雨上がりには
ヤマビルも出やすいそうです。
十分な準備と装備で、皆様も安全・快適な登山を!
さて、今年度の「兵庫山歩道」。
兵庫五国の摂津、但馬、淡路、播磨と巡って、
あとは丹波を残すのみになりました。
次回は来年2月の放送となる予定です。
どうぞお楽しみに!
今回の、Live Love ひょうご「兵庫 山歩道」で放送された動画はコチラ
投稿者:田中 崇裕 | 投稿時間:18:30