2022年06月06日 (月)「上級者向き」の山歩道!? ~神戸市北区・鎌倉峡/百丈岩~


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「県内の気軽な山歩き」を掲げる「兵庫山歩道」。

まったくの初心者であった二代目担当・田中ですが、

キャリア豊富な黒田信男さん、羽田宗子さんのご指導によって

少しずつ経験値が上がっている… はず。

 

 

そんな私の「師匠」のお2人、実のところ、

主戦場は「山」よりも「岩」なのです。

とりわけ、今回のご案内役の黒田さんは、

ロッククライミング歴60年にもなろうという熟達者!

「見せたい風景がある」と、以前からおっしゃっていました。

 

 

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いよいよ機は熟したということでしょうか…

今回の目的地は、「鎌倉峡」と「百丈岩」。

神戸市北区のもっとも北東部で、

南に西宮、北に三田と市境を接する地域となります。

 

 

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スタート地点は、神戸電鉄の二郎駅から東に3㎞弱。

手前に見えるのは「神戸セミナーハウス」の施設です。

 

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ゴール地点の「百丈岩」は、すでにはっきり見通せます。

黒田さんによると、高低差はおよそ60m!

あの上まで? 本当に行けるのでしょうか??

 

 

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歩き出してすぐ、この道標が右手に現れます。

よく見ると「太陽と緑の道」の文字。

これまでにも何度か登場しましたので、

皆さんにもおなじみになりつつあるかもしれません。

今回のルートはその「No.2」の一部になるのですが、

それにしても(上級者向き)という注釈は初見です。

 

もちろん、ご案内の黒田さんは「上級の上級」。

しかるに私は「上級」どころか、

「中級入門」くらいのものでしょうか。

気持ちを引き締めつつ進むコース序盤。

 

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「神戸市水道局 平田配水池」のタンクや、

(金網の隙間からの撮影です。念のため)

 

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「青石古墳」が次々に現れます。

ここはちょうど神戸と西宮の市境にあたり、

「青石古墳」は西宮市の文化財になっています。

 

 

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徐々に増してくる水の気配を感じつつ林を進むと、

突然視界が開けて「鎌倉峡」との合流点に出ました。

「ここも神戸!?」と思うような景色に、

今回も早速出会うことができました。

 

さて、ここでひとつ用語のおさらいです。

Q. 川の両岸を呼び分けるときの決まりは?

A. 上流から下流を見て、川の右が右岸、左が左岸

 

この写真は、振り向いて進行方向の反対側を見たもの。

画面の奥が上流ですので、

今いる場所は「左岸」、向こう岸が「右岸」となり、

しばらくは左岸を進みます。

 

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真っ白な花とトゲだらけの茎。ノイバラが花盛り。

 

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「何を写してるの?」とお思いでしょう。

ほぼ中央、岩の上を拡大してみると。

 

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「姿かたちはイトトンボだけど、えらく大きい??」

「ハグロトンボにしては羽が黒くない??」

 

あとでいろいろ調べたところ、

どうやら「ミヤマカワトンボ」のオスのようです。

近づくと飛び立ち、少し先の岩に止まる、の繰り返しで

なかなか近くで大きく撮影させてくれません。

追いかけっこをするように進みます。

 

とはいえ、決してお気楽な虫との戯れとはいかず、

上から下からやたらと来襲する、

ケムシ・シャクトリムシのたぐいも気になります。

(ヤマビルがいないだけ今回はましですが)

そんな中…

 

 

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ずいぶん大きなシャクトリムシ?

 

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ではなく。

滑ってドボンとはまらないように埋め込まれた金具です。

この通り、水平な場所が少なくなって、

斜めになった水際を進むようになります。

 

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高い位置にロープが張られた斜面を、

 

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横に這うように進む場所も複数ありました。

普段あまり使わない筋肉とアタマを使う道中は、

ちょうど去年の今頃に歩いたイヤガ谷に似た感覚でした。

なるほど、「上級者向き」とされているのも納得で、

心なしか黒田さんも普段以上にイキイキとしています!

 

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左岸から右岸に渡るころには谷がかなり狭くなり、

「ゴルジュ」と呼ばれる地形が続きます。

思えば、私の最初の「山歩道」は裏六甲のゴルジュでした。

あれから2年、さすがに少しは成長したでしょうか。

 

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「…えーと、これ何だったっけ?」

前回の「マムシグサ」同様、

写真では見たことがありましたが、実物は初めて。

喜ぶいっぽう、名前がどうしても思い出せません。

これもあとで調べました。「シライトソウ」でした。

 

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虫や植物との出会いを楽しみつつ続いた

手応えたっぷりの沢下りもそろそろ終了。

「鎌倉峡」の案内表示が現れました。

今回の私たちとは逆向きに沢を登る場合は、

ここが入口になるというわけですね。

 

 

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そして、いよいよ!

 

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どーん!!

「百丈岩」のほぼ真下まで来ました。

突き出ているのが通称「ローソク岩」。左側に続く「西壁」、

そしてこの写真では見えない「東稜」から成ります。

 

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ここで黒田さんのヘルメットに小型カメラを装着。

 

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県内で山に登っているとちょいちょい見かける、

「兵庫登山会」の案内板がここにもありました。

ここはさすがに「上級コース」ではなく

(ふだんの黒田さんであれば、当然そちらです)

「一般コース」へ向かいますが、

こちらでさえ鎖場(くさりば)の連続が予告されています!

 

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確かに、鎖とロープが備えられた急斜面の連続。

ただ、それに頼らないと登れないというわけでもなく、

足場や手がかりを順次移しながらよじ登る、

「三点支持」で十分なところもありました。

(下りはさすがに難しいでしょう…)

 

しかし、この斜面、暑い!!

日当たりがよいうえに、白い岩。

照り返しも強く、大汗をかいて登ります。

 

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出発点から百丈岩がきれいに見通せた、ということは?

逆もまた可、ということで、その眺めがこちら。

中央少し上に「神戸セミナーハウス」の建物群、

左へ続く稜線上に「平田配水池」のタンクも見えます。

 

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歩いてきた鎌倉峡は、画面中央、

ちょうど「く」の字に見える深い谷の底です。

…あの谷筋をず~っと歩いてきたのか!

スケールの大きさを感じる眺めです。

そして!!

 

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「一般コース」で登れる、百丈岩の頂上です! 

 

 

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「西壁」の上、白丸部分。

前の写真に写っている、「百丈岩」という案内板の

裏側が見えるのですが、少々小さい…。

 

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さらに拡大しましょう。

これなら、四角い白い板がわかりますね。

ここまでは「一般コース」で到達できます。

 

が、今回の「山歩道」の目的地はさらに先。

もっとも突き出した「ローソク岩」の先端です!

ただし、そこは本来、明らかに「クライマーの領域」。

念のため強調しておきます。

徒手空拳で目指すのはたいへん危険です!

 

ロケ当日はクライマーの方々がいなかったため

ご迷惑をおかけすることもなく、

熟練の師匠のご指導と安全装備の装着によって

その領域を垣間見ることができました。

そうした安堵感や達成感はもちろん、

そこに自分がいることの不思議さや高所への恐怖感など、

アタマはすっかりオーバーヒート。

せっかく到達したローソク岩なのに

「あ、写真1枚も撮ってない…」と気付いたのは、

撮影が全て終わり、「西壁」に戻った後のことでした。

 

そして、脚を投げ出すように座っているうち、

今度は両ひざ上の筋肉が突然ピキーンと攣(つ)って、

脚を曲げられなくなってしまいました!

 

恥ずかしながら、給水の失敗、電解質不足でしょう。

当日、ロケ地に近い三田のアメダスでは最高気温が28.8度。

午前中からこまめに水分補給したつもりでしたが、

それでも十分ではなかったようです。

幸いにも太もも裏やふくらはぎは攣るまでに至らず、

しばらく休んでひざを動かせるようになったため、

無事にロケを終えることができました。

 

 

これから暑さが厳しい時期に向かいますので、

「兵庫山歩道」はしばしお休みをいただくことになっています。

よりによってその前、最後のロケで、

自分がこういう破目になるとは… 何ともお粗末。

皆様はこんなことになりませんよう、

水分・電解質を十分に摂って、

そして十分な装備で安全に山歩きを楽しんでください。

 

それではまた、秋の山でお会いしましょう!

 

動画はこちら >>

投稿者:田中 崇裕 | 投稿時間:18:30

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