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旦過市場火災 4月で1年 老舗精肉店が再開 仲間に支えられ

  • 2023年03月22日

去年4月に北九州市の旦過市場を襲った大規模火災。
4月で1年になるのを前に、火災で店を失った老舗の精肉店が営業を再開しました。
そこには市場の仲間たちの支えがありました。

ディレクター 木原清華

旦過市場で愛され続けて70年 老舗精肉店 

営業を再開した精肉店店主 松田角二さん(84)

創業70年になる老舗精肉店が11か月ぶりに営業再開にこぎつけました。
精肉店の店主 松田角二さんは、26歳から半世紀以上店に立ち続け、肉を見る目とさばく技術には自信がありました。
親子3代にわたってお店に来られる方や、松田さんの店以外ではお肉を買わないという飲食店の方も多くいました。

険しかった再建までの道のり

火災後の松田さんの店

松田さんの店は、去年4月、旦過市場を襲った大規模火災で全焼しました。

松田さん

残念やね。なんとかいち早く店を建て直そう。
みんなに迷惑かけないように再建します。

火災直後から再建を誓っていた松田さんでしたが、その道のりは険しいものでした。
資金のめどはつけたものの、がれきの撤去など土地の整備がなかなか進まず、さらに、追い打ちをかけるように2度目の火災。
松田さんは、先の見通しが立たず自宅で過ごす日々が続きました。

松田さん

旦過市場で仕事をする仲間もおもしろいし、お客さんもいいし、
言うことないんよあそこで商売するのは。
お客さんが買っておいしかったといってくれる。
それだけあったらもうあとはいらない。
それこそ自分1人の力じゃなんともできん。

支えてくれた 旦過市場の仲間

松田さんを支えてきた焼き菓子店店主 矢野芳正さん(47)

松田さんの支えになったのが旦過市場で焼き菓子店を営んでいた矢野芳正さんです。
建築関係の仕事の経験をいかし、再建のための手続きや店舗の設計、内装工事などを引き受けました。

矢野さん

旦過で10年近く商売させてもらって毎日支えてもらったのが松田社長だったんで、恩返しというかお礼というかですね。
松田社長の場合は、ここが暮らしの基盤だったんでその基盤を早く取り戻すのが僕の目標です。

矢野さんは、旦過市場の雰囲気に憧れ、10年前に松田さんと同じ通りで店を開きました。
商いのイロハを松田さんに学び育ててもらったといいます。
去年4月の火災で自分の店も失っていましたが、何よりも松田さんの再建を大切に考えていました。

火災前の松田さんの温かみある店

矢野さんは、毎日のように松田さんの店に出入りしていたので、店のレイアウトや人の動線などを知り尽くしていました。
できるだけ前の店のようにしたいと、きめ細かに工事や備品の手配を進めてきました。

営業再開で穏やかな日常を取り戻した喜び

被災前と同じ場所に仮設店舗を建て営業再開

3月7日、被災前と同じ場所で念願の再オープン。
店に掲げられたのは火災を免れた看板。
再開した時のためにと、矢野さんが保存してくれていました。

松田さん

今の心境はワクワクしとる。新規開店っていうような感じやけんね。
何でも応えられるごと、品をそろえた。

開店と同時に、常連客たちが続々と訪れました。

常連客

ここが開いてないと食卓に並ぶ肉も寂しくて。
よくおばちゃんたちにうちの子どもたちがお菓子をもらっていたのでそういうのもなくて。
やっと開いてとてもうれしいです。

再会を喜びあい、客たちがなじみの肉を買い求め、松田さんは満面の笑顔。
ようやく戻ってきた被災前のいつもの光景。
松田さんは一つ一つの仕事に再開の喜びを感じていました。

松田さん

再開まで長いっちゃ長かったね。うれしいわね。
今まで通り一生懸命頑張って、お客さんがこんな肉を食べたかったとか、食べておいしかったとか、そういうようなことが何回もあったらもういうことはない。

  • 木原 清華

    北九州局 ディレクター

    木原 清華

    北九州局5年目

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