放置竹林から弦楽器を
- 2022年08月31日
今、各地で放置竹林が大きな問題になっています。
こうした中、竹を有効活用して弦楽器を作り、演奏していこうという取り組みが北九州市から各地に広まっています。
放置竹林から生み出された弦楽器


放置竹林を活用して作られたチェロやバイオリン。
透明感のある音色を奏で人々を魅了しています。

開発したのは田中昇三さんです。
8年前から制作を始めこれまでに7種類の楽器を作ってきました。
北九州市のふるさと納税の返礼品にもなり、評判を呼んでいます。
きっかけは、ふるさとの風景が放置竹林によって荒れていく姿を目の当たりにしたことでした。


広葉樹が竹の高さに負けて日があたらないので育たなくなるんです。
そうすると、ほかの生物も育たなくなるので全体の自然のバランスが崩れてきます。
将来の子どもたちに気持ちのいい地球を残したいですよね。
若い世代に広まる魅力
福岡県中間市の中間高校では音楽の授業や吹奏楽部で竹の弦楽器を取り入れています。
授業の一環で、楽器を作るとともに環境保全についても学びました。


自分で作ったものなので大切にしていきたいです。

最初は苦戦したけど慣れていくとすごく楽しいです。

環境にもよく地域活性化にも使えてとてもいい活動だと思います。
楽器との出会いで前向きに

障害者の就労支援施設で働く藤田宙さんは、竹の弦楽器を作るインストラクターをしています。
発達障害で音や光に敏感ですが、竹の音色は自然と受け入れられたといいます。

目と耳の感覚が少し過敏で、人の声などが気になったりして、普通の場所だと生活が送りづらいというのがあります。ただ、竹の弦楽器を聞いて、落ち着くなっていうのはありました。
藤田さんは、障害の特性からこれまで人と関わるのが苦手でしたが、この取り組みを通して積極的になれたといいます。

竹の弦楽器に関わるうちに、少しだけ前向きになりました。
人に感謝されたり、自分ができることが増えたり、人に技能や経験を伝えたり、とても励みになりました。

放置竹林から生まれた弦楽器、いま、多くの人の心に響いています。

竹を活用した楽器を通じて言葉の壁やいろんな世代の壁をこえてコミュニケーションが取れる。世界的に広がって共有できればうれしいです。