ドライバーのための防災手帳 地震・津波・大雨に備える
- 2022年08月26日
毎年のように発生する災害。
NHK北九州放送局では、運転中に地震や津波が発生した場合の注意点をまとめた冊子を作成しました。
冊子はNHK北九州放送局でもお渡ししています。
冊子の内容をWEBでも確認できるよう記事化しましたので、日ごろの備えの一環として、運転の前などにお役立てください。
地震発生時 運転中に地震を感じたら
≪運転中≫ 危険が迫ったら車は置いて避難する!
2011年の東日本大震災では、都心の道路はパニック状態に。緊急車両が通れなくなり、本来助かる命も助けられなくなります。
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明日をまもるナビ 「外出先で地震から命を守る方法」
知っておきたいルール「原則は徒歩」
災害時の自動車使用は、二つのケースがあります。一つは自動車を使って避難する「自動車避難」です。もう一つは自動車を避難場所にする「車中泊避難」です。
2016年4月に起きた熊本地震で、特に被害の大きかった益城町(ましきまち)の駐車場に、およそ3,000台の車があふれました。地震が続いて自宅の倒壊のおそれもあったことから、車での寝泊まりを多くの人が選んだのです。
この時に注目を集めた言葉が「車中泊避難」です。
車を避難生活の場とするメリットは次の通りです。
- 雨風がしのげる
- プライバシーを保てる
- 鍵がかけられるので防犯上も安心
- エアコンで快適に過ごせる
- ラジオから災害情報を得られる
- シガーソケットやコンセントから電気を得られる、充電ができる
ただ、車中泊をするとき、深刻な問題になるのが「エコノミークラス症候群」です。
長い時間、同じ姿勢で足などを低い位置に曲げた状態で寝ていると、ふくらはぎなどの血行が悪くなり、血栓ができます。その血の塊が肺の血管に移動して詰まると、激しい胸の痛みに襲われ、最悪、死に至ることもあります。
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明日をまもるナビ 「車でどう避難する?」
台風・大雨発生時
車での避難は要注意 いちばん大事なのは、早めの出発
一般的に車で避難することは原則禁止と言われています。一斉に避難すると大渋滞を引き起こし、動けない状態では水害の危険が増すためです。しかし、車で移動しないと不便な地域の人たちや、家族に足腰の悪い高齢者がいると車を使わざるをえません。そこで、車で避難するときの3つの心構えがあります。
- ふだんから避難先をいくつか決めておき、避難先は水につからない安全な場所であることを確認しておく
- ハザードマップを見て、道が水につかる危ない状況ならそのルートを避ける。渋滞になった場合の抜け道も複数決めておくこと。浸水の情報はカーナビにはでてこない
- なによりもいちばん大事なのは、早めに出発すること
街の中に潜む危険 浸水
今いる場所で雨が降っていなくても、車などの運転で注意が必要なのが鉄道などの下を通るアンダーパス。短時間の大雨で冠水しやすく、気がつかずに突っ込んでしまうと身動きがとれなくなります。
さらに恐ろしいのは、水位10センチ程度でも水圧で車のドアを開けるのが難しくなり、車から脱出できなくなることです。アンダーパスの冠水に気づかずに入り込み、乗っていた人が死亡する事故がたびたび起きています。
もし車でアンダーパスに突っ込んだら、脱出の手段は窓を割るしかありません。そのため、車の中にハンマーのようなものを準備しておきましょう。
短時間に大雨が降ると下水道などの排水機能が追いつかなくなり、川に流れなくなります。行き場をなくした水が逆流して地上にあふれ出す現象を“内水氾濫”と呼びます。
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明日をまもるナビ 「身近に迫る水害の危機」
津波発生時
危険な「自動車避難」と「ピックアップ行動」
東日本大震災が起きた日、午後2時46分の地震発生から巨大津波の到達まで、人々は何をしていたのか。携帯電話などの情報を基にしたビッグデータにより、その詳細が浮かび上がってきました。
地震発生直後は多くの人が避難しています。しかし、その後は逆に内陸から沿岸に向かう人が目立ち始めます。データからは沿岸に向かう人が乗った車の多くが、Vの字を描くように戻っていくこともわかりました。「ピックアップ行動」と呼ばれる動きで、家族や知り合いを助けに行き、多くの人が犠牲になったとみられています。
カーナビの記録からは、車で避難しようとした人々が直面した問題が浮き彫りになりました。3000人以上が犠牲になった宮城県石巻市では、深刻な渋滞が被害を拡大させたとみられています。午後2時46分に激しい揺れでほとんどの車が一旦停止。15分後には中心部の道路が一気に渋滞しました。
なぜこれほど急激に広がったのか。ここで注目されるのは、渋滞が4つの交差点を結び、四角形を作る「グリッドロック」と呼ばれる超渋滞現象です。
地震の後、人々が一斉に車を道路に乗り入れます。車がひしめき合い、直進はおろか右折も左折もできなくなり、渋滞が広がるのです。グリッドロックは橋で囲まれた市街地のほぼ全域で起きていました。
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明日をまもるナビ 「これだけ違う”波”と”津波”」
日ごろのからの備え 3つの「避難スイッチ」で命を守る
2019年の西日本豪雨の被災者に「避難に関して困ったこと」を聞いた結果、最も多かった回答は「避難をいつ行ったらいいか判断できなかった」でした。そこで、京都大学防災研究所教授の矢守克也さんが提唱するのが、避難を実際の行動に移すきっかけになる「避難スイッチ」です。
- 周囲の状況を確認し、避難場所までの移動が危険な場合には、近くの頑丈な建物に移動する。
- 外に出るのがすでに危険な場合は、建物の2階以上や崖の反対側など、少しでも安全な場所で命が助かるような行動を取る。
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明日をまもるナビ 「避難の極意(水害編)」