『麒麟がくる』をより楽しんでいただくために、ドラマ上の設定や展開、世界観をわかりやすく解説します。
このころ権威が失墜し政治的実権もなかった足利将軍家と幕府は、すでに朝廷を支えることができませんでした。そんな将軍家や朝廷が頼る先は、下剋上(げこくじょう)が横行する戦国の世で台頭してきた経済力・軍事力がある有力戦国大名たちでした。
当時、年号を改める「改元」は天皇が即位するときのほかにも、吉兆や凶事・天災や飢饉(ききん)・疫病の流行などをきっかけに時代をリセットする意味も込めて、一人の天皇が何度も行うことがありました。
劇中で、関白・近衛前久が将軍・義輝に促していた「60年に一度の“甲子(きのえね)の年”の改元」もその一つです。
「改元」のときには、慣例として代々将軍家が「帝(みかど)へのお伺い」をたててから執りしきる習わしでした。
しかし、義輝が固執していた6年前の正親町天皇即位の「永禄」改元は、義輝が近江・朽木に亡命中でその習わしが実現不可能だったため、年号は改元されましたが、室町期で将軍家が関与しなかった唯一の改元となりました。