すべての人の願いの象徴。それが、麒麟です。音楽 ジョン・グラム インタビュー

歴史好きで日本史にも詳しいアメリカの作曲家、ジョン・グラムさん。
彼が思う明智光秀について、またテーマ曲に込めた思いについてお聞きしました。

戦国の世は、日本人だけでなく
世界の人々を魅了する時代です。

私は歴史が好きで、ローマ史やイギリス史、そして日本史にも興味を持っていましたが、今回はさらに戦国時代の書物を読む機会をいただきました。多くの武将たちが登場する戦国の世はとても刺激的な時代であり、日本人に限らず世界中の人々を魅了しています。私もその一人で、明智光秀については『麒麟がくる』の音楽のお話をいただく前から知っていました。光秀について興味深かったのは、優秀な武将でありながら、教養が高く文化的な側面にも通じていたことです。
また今回の脚本では、光秀の葛藤や複雑な人間性が描かれています。そこも私にとっては興味深いところでした。

大名や武将のために。
名もなき兵や庶民のために。

作曲しながら、光秀や信長、秀吉のイメージが自分の中から自然と湧き上がってきました。それと同時に、同じ時代に生きた女性や子どもなど名もなき人たちの人生や悲しみや願いも感じました。そんないろいろな人たちに思いをはせながら作曲することは、とてもエキサイティングで楽しいことでした。
曲の中には、人々の願いのシンボルである「麒麟」をイメージさせる箇所があります。立ち上がりは、ジェントルで平穏な旋律、それが少しずつ浮き上がっていくような感じになり、やがて多くの人たちの暮らしや願いを想起させるメロディーになっていきます。
曲の最後にはコーラスを入れました。これは、大名、武将、名もなき兵や庶民たちなど、その時代に生きていた人たちの声を象徴しています。

当時の人たちの
生活や願いに思いをはせてほしい。

『麒麟がくる』を見てくださる日本の皆さんの胸に響く曲にするにはどうすればいいのか?
そんなことを想像しながらの曲づくりは、私にとって大きなチャレンジで、とても楽しい時間でした。

今回のテーマ曲を聴きながら、平穏な時代にやって来る麒麟や、当時の人たちの希望や願いに思いをはせてもらえたならうれしく思います。
また、『麒麟がくる』チームの一員になれたこと、完璧なパフォーマンスをしてくれたNHK交響楽団をはじめ、日本やハリウッドのスペシャルな演奏家たちと仕事ができたことにも本当に感謝しています。

<プロフィール>
ジョン・グラム(John R. Graham)

アメリカ・バージニア州生まれ。ウィリアムズ大学、スタンフォード大学院を卒業後、ワーナー・ブラザースの専属オーケストレーターとして数多くのハリウッド映画音楽の編曲とオーケストレーションを手掛ける。その後、作曲家として数々の映画、テレビドラマ、アニメーション、ゲームの音楽を担当。代表作に「キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV」「シルベスター&トゥイーティー ミステリー」。また『アバター』などの予告編音楽も手掛ける。高度なオーケストレーションと独自の制作手法を用いて、近代的なハリウッドサウンドを紡ぎだすベテラン作曲家としてハリウッド映画音楽業界でも一目置かれる存在である。

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