月の歌

初恋(はつこい)

詩 島崎藤村
曲 藤原道山
演奏 尺八:藤原道山、二十五絃箏:日原暢子

まだあげめし前髪
林檎のもとにえしとき
にさしたる花櫛
あるけり

やさしくをのべて
林檎をわれにあたしは
薄紅
めしはじめなり

わがこころなきためいきの
そのにかかるとき
たのしき
みしかな

林檎畑
おのからなる細道
みそめしかたみぞと
問ひたまこそこしけれ

■解説

島崎藤村の詩「初恋」は、藤村初の詩集である「若菜集」に収められています。
「あげ初めし」「人こひ初めし」「踏みそめし」と詩の中に「そめし」が3回も出てきます。
人を恋する気持ちを「初めて知った」思春期の初々しい気持ちが表現されている詩です。

島崎藤村
1872年-1943年 詩人・小説家
明治時代の月刊文芸雑誌「文學界」に参加し、ロマン主義詩人として「若菜集」を出版。さらに小説家に転じ、「破戒」「春」などを発表した。

■言葉の意味

「まだ あげめし 前髪の」

日本髪を結い始めたばかりの少女の様子。当時、12~3歳の少女は、大人になったしるしとして、前髪をあげて髪型を変える習慣がありました。