食中毒
原因菌と感染源
夏は高温多湿を好む細菌による食中毒が増えます。食中毒の原因になる細菌は、主に肉や魚や卵に付着していて、食べ物と一緒に体内に入ると腸の中で増えて腸に炎症を起こします。食中毒を起こす主な細菌と感染源は次の通りです。


- カンピロバクター(肉類、特に鶏肉から感染)
- サルモネラ(主に卵、鶏肉から感染)
- 黄色ブドウ球菌(十分に手を洗わない、切り傷のある手で握ったおにぎりなどから感染)
- ウェルシュ菌(豚肉、牛肉、鶏肉)
- 病原性大腸菌(主に生肉から感染)
- 腸炎ビブリオ(魚介類から感染)
食中毒の症状
食中毒になると「腹痛」、「下痢」、「吐き気や嘔吐(おうと)」、「発熱」、「血便」などの症状が起こります。カンピロバクターが原因の場合は、1000人に1人の割合で、「手足のまひ」や「呼吸困難」などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合もあり、重症化すると、命に関わることもあります。

食中毒の予防法
食中毒を予防するための三原則、細菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」を ぜひ覚えてください。

細菌を「つけない」ために、調理の前に手を洗い、洗える食材は丁寧に洗います。肉や魚を切った包丁やまな板は、細菌がついているので、しっかり洗ってから使いましょう。また、細菌を「増やさない」ために、調理後すぐに食べることができない場合は冷蔵庫や冷凍庫で保存しましょう。そして、細菌を「やっつける」ために、肉や魚を調理するときはしっかり中まで火を通しましょう。冷蔵庫で保存していた料理を食べるときも、しっかり加熱をしてください。
食中毒の予防と対策、原因や症状、対処法について詳しく知りたい方はこちら
熱中症
熱中症は、暑さによって体内の熱を発散することができなくなって起こる体調不良です。

屋外での熱中症は、健康な人がスポーツや作業をしているとき、短時間のうちに発症することが多くなっています。一方、室内で起きる熱中症は高齢者に多く、発見が遅れてしまうと重症化してしまうこともあります。
熱中症の症状

熱中症の初期には、めまいや立ちくらみ、気分が悪い、筋肉がつるなどの軽度の症状が現れます。これは、暑くなると、血液中の熱を外気に排出して上昇した体温を下げるために、末梢血管に血液が集まり、脳や内臓、筋肉などに供給される血液が減少してしまうためです。
熱中症が起こったことに気付かないままでいると、体内の熱が体外に放出しきれず、体温が上昇することで重症化し、頭痛や吐き気、体がだるいなどの症状が現れます。さらに熱中症が進行すると、意識障害やけいれん、ひきつけ、肝臓や腎臓の機能障害、血液の凝固異常などが起こります。最悪の場合、命に関わることがあります。
高齢者は特に注意

高齢になると老化により、暑さを感じにくくなります。すると、熱中症になったことに気がつかず、気づいた時には症状がかなり進行しています。
また、高齢になると汗をかきにくくなるので、体の中の熱を外に逃がすことができなくなってしまいます。さらに、高齢者は若い頃に比べ、体内の水分量が減少している上に、のどの渇きを感じにくいので、水分がうまく補給できず、脱水症状を起こしやすいのです。
そこで、高齢の場合には、のどが渇いていなときでも、こまめに水分をとる習慣を身につけましょう。例えば、起床後・入浴前・入浴後などの自分の日常生活の行動のついでに、コップ1杯の水分補給することを習慣づけるとよいでしょう。
熱中症は夜も要注意
熱中症は、日中に起こることが多いのですが、夜間や就寝中に発症することもあり、特に高齢者の場合は、注意が必要です。
夜間に熱中症が疑われる症状がある場合、症状が軽度で意識があれば、エアコンをつけて部屋の温度を下げ、氷や冷たいタオルなどを使って体温を下げます。
また、水や、水分と塩分が補給できる経口補水液を飲んで、脱水を起こさないようにします。
熱中症の予防
室内

- エアコンと扇風機を利用する
暑い日には我慢せずに適度にエアコンと扇風機を使って、室温や湿度を下げましょう。一般に室温が28℃、湿度が70%を超える場合は、エアコンを使用することが望ましいとされています。 - 直射日光をさえぎる
カーテンや日よけシートで窓際の日ざしを遮り、室温の上昇を防ぐことも大切です。 - こまめに水分補給をする
脱水症状を起こすと、のどの渇きを感じにくくなります。のどが渇く前からこまめに水分補給する習慣をつけましょう。また、大量に汗をかいたときには水分とともに塩分補給も重要です。おせんべいやスナック菓子で塩分をとるのもよいでしょう。
外出時

- 外出前に気象情報や熱中症情報をチェックする
暑い時間帯の外出は避け、外出した場合には、こまめに休憩を取りましょう。 - 日傘や帽子を使う
日光が直接皮膚に当たらないようにします。休憩中は帽子を脱いで、汗の蒸発を促しましょう。 - 水分・塩分をこまめに補給
経口補水液やスポーツ飲料で、水分補給とともに塩分補給もしてください。
夏バテ
夏は暑さで食欲が低下するうえ、たくさん汗をかいたり大量が消耗したりして、栄養不足に陥りがちです。すると、疲れやだるさなど、夏バテの症状が現れやすくなります。
夏に不足しがちな栄養素
夏バテを防ぐには、食欲がなくても、できるだけ栄養バランスのよい食事をおいしく食べるようにすることが大切です。特に不足しがちなビタミンB1、ビタミンC、良質たんぱく質の3つの栄養素を意識してとるようにしましょう。

ビタミンB1は、疲労回復に欠かせない栄養素です。しかし体内に蓄えておくことができず、汗とともに排出されやすいため、発汗量の多い時期はどうしても不足しがちになります。ビタミンB1を多く含む食材は、豚肉(特にヒレ肉やもも肉)、卵、玄米、アボカドなどです。
ビタミンCは、ストレスを軽減するホルモンを合成する働きがあります。暑さや疲労を感じると、副腎からストレスを軽減するためのホルモンが多く分泌されますが、この時にビタミンCが大量に消費されるので、ストレスが多いとビタミンCが不足してしまうのです。ビタミンCは、じゃがいも、カラーピーマン、キウイなど、野菜と果物に多く含まれています。特にじゃがいもは、効率よくビタミンCを摂取できるのでオススメです。
良質たんぱく質とは、必須アミノ酸をバランスよく含んでいるたんぱく質のことです。暑さで食欲がなくなると、食事量の低下に比例して、良質たんぱく質の摂取量も不足してしまうため、意識してとっていきましょう。良質たんぱく質は、肉類、魚介類、大豆製品、卵などに多く含まれています。特におすすめなのは、鶏ささみです。
夏バテ予防レシピ
夏バテ予防におすすめの簡単レシピをご紹介します。
えのきだけの梅しそ和え

えのきだけはゆでて冷まし、たたいた梅肉と千切りにした大葉で和えます。梅肉はめんつゆでのばしておきましょう。えのきだけはキノコ類の中でもビタミンB1が豊富で、梅干しには疲労回復に役立つクエン酸が多く含まれています。夏バテ予防にぴったりの一品です。
夏に摂取したい栄養素や夏バテ予防レシピについて詳しく知りたい方はこちら
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