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災害時はエコノミークラス症候群に注意!
エコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)は、若者から高齢者まで年齢に関係なく誰にでも起きる病気です。災害時は、避難所や車中泊といった窮屈な環境でじっとしていると、足に血のかたまり「血栓」ができます。


血栓に自分で気づくことは難しく、それが肺の血管に詰まると、突然、呼吸困難になることもあります。最悪の場合には、命を落とします。
避難生活でエコノミークラス症候群を防ぐポイント
(1)こまめな運動
すこしでも体を動かし、血流をうながすことが大事です。

- ウォーキングなど
トイレへ歩くだけでもOKです - 足指グーパー
2~3時間おきに10回程度 - ふくらはぎをもむ
下から上にかけて圧迫するようにもみます。
起きている間、3~4時間おきに2分ほどかけてもみます。
(2)こまめな水分補給
1日1リットル以上飲みましょう。500mlペットボトル2本が目安です。
(4)車中泊では工夫を
車中泊では衣服をゆるめる、足元に荷物を置くなど、血栓ができないよう工夫しましょう。

エコノミークラス症候群を防ぐための備え
非常用持ち出し袋に用意しておきたいのが【弾性ストッキング】です。通常のストッキングよりも締め付けがきつく足に血がたまるのを防いでくれます。
災害時は高血圧に注意!
被災や避難生活のストレスで、高血圧は悪化しやすくなります。
過去の災害では、血圧に異常が無かった人も避難所で高血圧になっていた事例が多くありました。
被災したら気をつけたいポイント

(1)非常食でも減塩を
おにぎり、カップラーメン、缶詰などの非常食は塩分が多い傾向があります。
大切なのは、カップめんの汁や、おにぎりの具など塩分を多く含む部分を残し、塩分摂取をおさえることです。
(2)水分補給 トイレは我慢しない
トイレを我慢すると水分を我慢してしまい、脱水を起こすなど病気のリスクになります。1日1リットル以上を目安に、お茶かお水などの水分補給を心がけましょう。甘い物や塩分の入った飲料水は避けましょう。
ふだんからの備え
1週間分の薬は常に持ち歩くようにしましょう。
お薬手帳は貯金通帳と同じくらい大事だと思って、コピーを財布に入れておくなど薬の情報をいつでも持ち出せるようにしましょう。
災害時に高齢者が健康を保つために
避難生活 体と脳が危ない
不自由な避難生活。しかし、ずっと動かないでいると、体力や認知機能は急速に低下します。
避難所では、ふだんの生活でおこなっていた料理や掃除などの活動を行わなくなります。実はこれらはかなりの運動量になっているので、行わなくなると影響が大きいのです。
また、被災によって、近所や趣味の仲間とのつながりが失われると、どうしても閉じこもりがちになってしまいます。すると、コミュニケーションが減り、認知機能も衰えます。脳も筋肉と同じようにもろくて、使わないでいると簡単に機能が低下してしまうのです。
寝たままできる運動
避難生活で体の健康をたもつため、まず大切なのは運動です。ウォーキングなどが有効ですが、体力や気力が落ちていて、難しい場合もあると思います。そんなときは寝転がりながらでもよいので体を動かしましょう。
衰えがちな脚の筋肉を鍛える運動をご紹介します。あおむけに寝た状態で(1)から(3)の順にやってみましょう。
(1)足首の運動

まずは足首を左右交互に動かします。ひざを伸ばしたまま、つま先を頭の方向に、また足首を伸ばす方向に動かします。
ゆっくり、なるべく大きく動かすのがコツです。
(2)ひざの曲げ伸ばし運動

次に足の裏を床につけたまま、ひざを立ててのばす、というのを左右交互に行います。慣れてきたらスピードを上げるとより負荷をかけられます。
(3)足上げ運動

最後に、片方のひざを伸ばして脚を床から30cmくらい上げます。
最初の【足首の運動】のように足首をパタパタさせる動きを付け加えると、より負荷が強くなります。これも左右交互に行います。
回数や秒数は自由に、楽しく出来るのが一番です。
認知症のある人が避難生活を乗り切るために
被災時は認知症が進行しやすくなる
災害時には、慣れない避難所での生活など、環境が大きく変化することでストレスがかかり、体調が崩れやすくなります。このような環境の変化による悪影響を「リロケーションダメージ」といいます。特に認知症のある人は、不安や混乱から心や体の状況が悪化しがちになります。
避難生活の負担を軽減するために
(1)少しでも落ち着ける場所を確保

個室を確保できるのが理想ですが、避難所では難しいことが多いのが現実です。
避難所を担当する保健師などに、家族の認知症のことを伝え、静かな場所を希望したり、トイレに近い場所を希望したりするなど、本人が少しでも落ち着ける場所を使わせてもらえるように相談するとよいでしょう。
また、段ボールなどで仕切りをつくって居住スペースを囲むと、落ち着いて過ごしやすくなります。
(2)顔見知りの近くに

ふだんからつきあいのある友人や親せきが近くにいてくれると安心につながり、症状が現れるのを抑えることが期待できます。同じ避難所に知り合いがいる場合は、協力を求めるとよいでしょう。周囲の人が、認知症のある人に声をかける場合は、本人の顔を見てゆっくり話しかけるようにしてください。また、家族にはねぎらいの言葉をかけるとよいでしょう。
避難所での認知症のある人へのケアについてもっと知りたい方はこちら
災害時の糖尿病の対処法について
災害時に糖尿病は悪化しやすい
災害が起きると、食事の内容や時間などに制約があったり、薬が手に入りにくくなったりして、血糖コントロールが難しくなることがあります。
「シックデイ」への対策
糖尿病の人が、発熱や下痢、腹痛などによって食事をとることができなくなる場合があり、この状態を「シックデイ」といいます。シックデイには、体内の炎症などによって、血糖値が急上昇します。非常時には、ストレスや環境の変化でシックデイが生じやすいとされています。

- 水分を十分にとり、脱水を防ぐ
- 食欲がなくてもできるだけ炭水化物(おかゆやスープ)などをとる
- 薬の使い方に注意する。食事の状況に合わせて薬を調整することが大切!
災害時のストレスを緩和するリラックス法
被災すると、抑うつ・不眠・首や肩のコリなど、ストレスによるさまざまな反応が心身に起こります。こうしたストレス反応は、被災すれば誰にでも起こる可能性があります。症状を自覚したときは、次のような「リラックス法」を実践してみましょう。
呼吸法
ストレスを受けると心拍数が増加し、呼吸も速くなります。意識して深くゆっくりと呼吸することで、気持ちを落ち着かせリラックスすることができます。特に腹式呼吸は効果的です。
筋弛緩法
筋弛緩法は、一気に緊張を高めてゆるめることで、リラックスする方法です。

- いすに座り、背すじを伸ばして、両腕をまっすぐ下ろします。
- 両肩をグーッと上に持ち上げて、5秒間保ちます。
- 一気に力を抜いて、両肩を下ろします。
ストレッチ
- 右手を、頭のてっぺんよりやや左側に添えます。
- 首の左側を伸ばすように、首をゆっくり右横に倒し、10秒間保ちます。
このとき、添えた右手に力を入れ過ぎて、首を痛めないように注意します。反対側も同様に行います。