【特集】尻もちだけで?意外な骨折の原因と治療法、予防につながるストレッチ

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【特集】尻もちだけで?意外な骨折の原因と治療法、予防につながるストレッチ

尻もちをついたり、重いものを持ち上げたりしただけでも骨折してしまうことがあります。また、痛みなどの症状がほとんど現れないために気づかずに、進行して寝たきりになってしまうことも。骨折の原因となる骨粗しょう症の治療や骨折して寝たきりにならないための予防法などについて解説。

骨粗しょう症

骨粗しょう症とは

骨の強さが低下して、骨折しやすい状態になる骨粗しょう症。
骨粗しょう症患者は女性の方が多いというデータがありますが、男性でも高齢になるほど患者数は増えます。
骨の強さには、骨の量の目安となる「骨密度」「骨質」が関係しています。骨粗しょう症になると、骨密度が低下し、骨質が劣化します。

健康な成人の場合、破骨細胞と骨芽細胞がバランスよく働いている
しかし骨粗しょう症になると、破骨細胞と骨芽細胞の働きのバランスが崩れる

骨は、骨を壊す細胞「破骨細胞」と骨をつくる細胞「骨芽細胞」によって、常に新陳代謝を来り返しています。健康な人の場合、この2つの細胞の働きのバランスがとれています。しかし、骨粗しょう症になると、破骨細胞と骨芽細胞の働きのバランスが崩れ、破骨細胞の働きが骨芽細胞の働きを上回ります。その結果、骨の量が減り、骨がスカスカの状態になります。

また、「骨質」は骨が丈夫かどうかを示す目安です。骨質を保つ要素にコラーゲンとカルシウムなどのミネラル類があり、骨を丈夫に保つためには、そのどちらも重要となります。

骨折が起こりやすい部位

骨粗しょう症による骨折がおこりやすい部位は、背骨(脊椎)、太ももの付け根(大腿骨(だいたいこつ))、手首(橈骨(とうこつ))、腕の付け根(上腕骨)です。

特に背骨の骨折後には大腿骨を骨折することが多く、大腿骨を骨折すると手術が行われ、術後は歩いて生活することを目指しますが、筋力の低下によって寝たきりになることもあるため注意が必要です。

骨粗しょう症について詳しくはこちら

骨粗しょう症の原因

骨粗しょう症の原因

骨粗しょう症の原因には、加齢、閉経などがあります。
加齢はカルシウムの吸収が悪くなり、骨がもろくなる原因になります。また、女性ホルモンには、骨密度を保つ働きがあります。閉経によって女性ホルモンの量が減少すると、骨粗しょう症のリスクが高まります。
また過度なダイエットにより、女性ホルモンの分泌が低下すると、骨の量を十分に増やせなくなってしまい、その後、骨粗しょう症につながる可能性があります。

骨粗しょう症の検査と治療、予防について

骨粗しょう症による骨折を防ぐには、早期発見と対処が大切です。女性の場合、閉経を迎えたら、1年または数年に1回は「骨密度」の検査を受けましょう。男性も、一度は受診しておくと安心です。

骨粗しょう症の検査・診断について詳しくはこちら

骨粗しょう症の治療の目的は、骨折を防ぐことです。そのためには、骨密度を増やして骨を丈夫にすることと、骨折の原因となる転倒をしない体づくりが大切です。
治療法としては、「運動」「食事の改善」「薬」の3つがありますが、治療の基本は、運動と食事の改善で、必要に応じて薬を使います。

一度低下した骨密度を大幅に回復させるのは難しいので、若いころから骨に必要な運動や食事で骨密度を上げる“骨の貯金”をしておくことが大切です。
なお、何歳からでも運動や食事などの生活習慣を改善すれば、骨粗しょう症のリスクを減らすことができます。

骨粗しょう症の治療 骨密度を増やす方法と運動についてはこちら



圧迫骨折

圧迫骨折

圧迫骨折とは、主に背骨がつぶれたように折れてしまうことです。圧迫骨折は70代男性で10.8%、女性では22.2%(10年間の椎体骨折の累積発生率)の割合で発生したと報告されています。

圧迫骨折の原因と症状

圧迫骨折の主な原因は骨粗しょう症です。圧迫骨折を起こす人は、もともと骨粗しょう症があることが多く、骨の強度が低下し骨がもろくなっています。そのため転んで尻もちをつくなど、背骨に衝撃が加わると圧迫骨折が起き、背骨がつぶれてしまうのです。

圧迫骨折は、痛みなどの症状が現れることがほとんどないため、圧迫骨折がある人の多くは骨折していることに気付いていないと言われています。

圧迫骨折に気づくには?セルフチェックのポイント

「圧迫骨折」に早く気付くためには次のようなチェックがあります。

壁を背にして立ち、尻、背中を壁につけ、顔は正面を向きます。後頭部に壁がつかない場合は、圧迫骨折があるかもしれません。
また、「背が縮んだ」「背中や腰が曲がった」「寝返りや立ち上がるときに背中や腰が痛む」「動作がぎこちない」この4つの中で1つでも当てはまるようなら、一度整形外科を受診しましょう。

圧迫骨折で背中が曲がると起こる症状

圧迫骨折を起こして背中が曲がってしまうと、「吐き気・食欲不振・腹部膨満感」「胃食道逆流症」「便秘・痔(じ)」「息苦しさ」「意欲の低下・抑うつ」などの症状につながることがあり、日常生活の動作にも影響を及ぼします。

気になる症状などがある時は早めに受診することが大切です。最近では、整形外科だけでなく、内科や婦人科でも骨粗しょう症の診断をおこなっていますので、そういった近くの医療機関に行くようにしてください。

圧迫骨折の症状、原因、治し方などについて詳しく知りたい方はこちら

圧迫骨折の保存的治療

圧迫骨折 保存的治療
コルセット

圧迫骨折の保存的治療では、安静と痛みのコントロールが基本です。できるだけ安静を保ち、圧迫骨折の部分をコルセットやギプスで固定します。コルセットは患者の体型や背骨のカーブに合わせたものを医療機関で作ってもらうほうがよいでしょう。

2~3か月続ければ、約80%の患者さんで圧迫骨折を起こした部分が結合し、痛みも軽くなります。そうなれば、徐々にリハビリテーションを開始します。また、圧迫骨折を再び起こさないように、骨粗しょう症の治療を継続して骨を強くすることも重要です。2~3か月保存的治療を続けても骨が結合せず、痛みが続く場合は手術を検討します。

圧迫骨折等の治療や手術、リハビリについて詳しく知りたい方はこちら



転倒予防に足腰の筋トレ・ストレッチ

骨粗しょう症になると、軽く転倒しただけでも骨折してしまうことがあります。転倒の原因は"筋力低下"。筋力が低下すると、「つまずきやすくなる」「バランス能力が低下する」「骨が弱くなる」などの悪影響があります。
足腰の筋トレ・ストレッチは、骨折の原因となる骨粗しょう症の予防や、転倒予防につながります。

筋トレを行うときの基本的なルール

筋トレを行うときには守ってほしい3つのルールがあります。

  • ゆっくり行う
  • 呼吸を止めない
  • 鍛える筋肉を意識する

また、関節に痛みがある、もしくはトレーニング中に痛みが出た場合は中止してください。
高血圧や糖尿病など持病がある場合は、担当医に相談してから行うようにしましょう。

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