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軽症のうつ病のセルフチェック
うつ病は「気分が落ち込む」といったこころの状態だけではなく、「食欲がない」「体が重い」というような体にも症状が出る病気です。うつ病は検査などでは判定できないため、症状で判断します。

【症状で判断するうつ病の「診断基準1」】
- 憂うつ、気分の落ち込みがある
- 興味や喜びの喪失
【症状で判断するうつ病の「診断基準2」】
- 食欲の異常
- 睡眠の異常
- そわそわする、または体が重い
- 疲れやすい
- 自分を責める
- 思考力・集中力の低下
- 死にたいと思う
「診断基準1」のどちらか1つを含む、「診断基準2」と合わせて5つ以上の症状が、ほとんど一日中、2週間以上続き、仕事や家庭などに何らか問題が生じている場合にうつ病と診断します。
このうち軽症のうつ病は、「日常生活において生産性は落ちてはいるものの、なんとか休まず続けられる程度のもの」を指します。
軽症のうつ病の症状とチェック方法、基本的な治療について知りたい方はこちら
【特集】うつ病の原因と症状、治療法、セルフチェック法まとめはこちら
適応障害とは
適応障害は、強いストレスによって、日常生活を送ることが困難になるほどの"こころの不調"が現れる病気です。こころの症状には、「憂うつな気分で落ち込む」、「不安感で神経質になる」、「焦る気持ち」などがあります。

特徴は、ストレスとなる出来事が明らかなことです。
一般的には、その出来事があってから3か月以内に発症し、ストレスがなくなれば6か月以内に改善します。長引くと、うつ病や不安症につながる場合もあります。早めの対処が必要です。
強い症状が現れた場合には、精神科、心療内科、メンタルクリニックなどを受診することをお勧めします。
双極性障害とは
双極性障害とは、「うつ状態」と「そう状態」を繰り返す特徴がある病気です。
うつ病でも双極性障害でも、うつ状態が現れますが、治療に使う薬は異なります。うつ病には抗うつ薬が使われることがありますが、双極性障害の人が抗うつ薬を服用し続けていると、急にそう状態に転じたり、かえって不安定になることがあります。
双極性障害の人が「そう状態」になると、いくつかの特徴的な症状がみられます。

「そう状態」の主な症状は、
- 気分が高ぶる
- 自分が偉くなったように感じる
- 金遣いが荒い
- 注意散漫になる
- 眠らなくても平気
などです。それまでとは明らかに別人のようになるのが特徴です。
うつ病なのか双極性障害なのかを正しく診断してもらうためには、周囲の人も医療機関に同行して、問診のときに症状を詳しく伝えることが大切です。
パニック症とセルフチェック
パニック症は、ある日突然起こるパニック発作から始まります。
次にあげる13の症状のうち、4つ以上の症状が突然、発作的に始まるものをパニック発作と呼びます。

- 動悸(どうき)
- 息切れ
- ふるえ
- しびれ
- 冷や汗
- 吐き気
- めまいやふらつき
- 悪寒やのぼせ
- 窒息しそうな息苦しさ
- 胸の不快感
- 現実感のなさ
- 死んでしまうかもという恐怖
- 気が変になるかもという恐怖
症状は10分程度でピークに達し、本人は強い恐怖や不安を感じます。
"このまま死ぬのではないか"と思うほどの恐怖や不安です。もちろん、命に関わることはありません。パニック症はこころの病気です。そのため、精密検査を受けても体の異常は見つかりません。
社交不安症とは
社交不安症は、人と関わるさまざまな状況で強い不安を感じ、日常生活に支障を来すようになる病気です。かつては「対人恐怖症」と呼ばれていました。
社交不安症には、さまざまな症状があります。
人前で顔が赤くなるのが怖い(赤面恐怖)、人前で話すのが怖い(スピーチ恐怖)、視線が怖い(視線恐怖)、人前で文字を書くと手が震える(書痙[しょけい])などです。
社交不安症のチェックリスト
下記のいずれかの項目に該当し、さらにその怖さが非常に強く、その状況を避けるために生活に支障が出たり、その状況を耐えるのに、ひどいつらさを感じたりすることが6か月以上続く場合は、社交不安症の可能性があります。
□人前で質問に答える、発表するなど、注目される状況が怖い。
□グループ活動に参加する、ほかの人がすでに座っている場所(宴席、会議室、教室など)へ行くのが怖い。
□人前で恥ずかしいことをしてしまい、他人から否定的に評価されることが怖い。
実際の診療では、この項目だけで診断されるわけではありません。
社交不安症は、自然には治りにくい病気です。早めに精神科、心療内科、メンタルクリニックなどを受診することが勧められます。
特定の行動を繰り返す「強迫症」とは
強迫症は、きちんと手が洗えたか不安で何時間も手を洗い続けたり、家に鍵をかけたか心配になって何度も確認しに戻るなど、特定の行動を繰り返してしまう病気です。
若い世代に発症することが多く、国内では100万人以上の患者がいるとみられています。
強迫症の症状には、「強迫観念」と「強迫行為」があります。

強迫観念とは、自分の意に反して、繰り返し頭に浮かぶ考えのことです。
強迫行為とは、こころの中に繰り返し入り込んでくる不安を打ち消すために行う行為のことで、無意味だと思っても、その行為をやめることができません。
「こころの不調」に関する質問
NHK健康チャンネルに掲載されている「こころの不調」に関する質問を一部抜粋して紹介します。