【特集】頻尿改善!原因となる病気や直し方&尿トラブルの解決法まとめ

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【特集】頻尿改善!原因となる病気や直し方&尿トラブルの解決法まとめ

尿もれ、頻尿といったトイレの悩みは、誰にでも起こります。頻尿の原因として、膀胱炎といった泌尿器の病気を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、原因は腰痛など、意外なところにある可能性も!頻尿の原因として考えられるいくつかの病気をまとめました。

夜間頻尿 原因を突き止める

夜間頻尿で悩んでいる人は4500万人!

夜間 尿に起きる
軽量カップ

夜間、尿をするためにトイレに起きなくてはならなくなる症状を「夜間頻尿」と言います。悩んでいる人は4500万人いると推定されており、加齢とともに増加します。夜間頻尿になると慢性的な睡眠不足を引き起こすほか、転倒のリスクも増えてしまいます。

夜間頻尿を治療するためには原因の究明が不可欠。そのために行うのが排尿の記録をつけることです。古くなった計量カップやコップに目盛りをつけた容器を用意して24時間分の尿量を量り、時刻ともに記録していきます。

原因1 「夜間多尿」

夜間多尿
排尿日記

通常、寝ている間は抗利尿ホルモンの働きで、尿を作る量が制限されます。そのため、夜間は排尿をしなくてすむため安眠することができます。しかし、加齢に伴って抗利尿ホルモンの分泌量が減ると、寝ている間も尿が多く作られるため、起きる回数が増えてしまうのです。夜間尿量が1日の尿量の33%以上ならば、夜間多尿が原因だと考えられます。

夜間多尿の治療について詳しく知りたい方はこちら

原因2 「尿をためられなくなる」

ためられる尿が少なくなる
排尿日記

膀胱(ぼうこう)は筋肉でできていますが、加齢によって筋肉組織のしなやかさが失われると、膀胱があまり広がらなくなります。そのため膀胱内にためられる尿の量が減り、夜間頻尿になってしまうのです。膀胱が小さくなった場合には、1回の尿量が200ml以下のことが多く、また夜間だけではなく、昼間も頻尿があらわれます。治療は薬による治療が基本で、膀胱の筋肉を緩める作用のあるβ3作動薬、膀胱が収縮するのを抑える抗コリン薬が使われます。

原因3 「睡眠障害」

睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害があると、眠りが浅くなり、トイレに起きてしまいやすくなります。また、抗利尿ホルモンが分泌されにくくなり、尿の量も増えてしまうのです。こうした睡眠障害で夜間頻尿が起きているケースでは、昼間はしっかり尿をためることができているのに、夜間だけ頻尿があらわれていることが多くなります。



膀胱(ぼうこう)炎のタイプと治療法

膀胱炎は、尿をためて排出する膀胱に炎症が起こる病気で、3つのタイプがあります。

急性膀胱炎

急性膀胱炎は女性に多く、膀胱に細菌が侵入することが原因で、頻尿、残尿感、膀胱の痛みなどの症状が起こります。
原因となる細菌の約8割が大腸菌です。大腸菌は大腸に住み着いている常在菌で、便に含まれるほか、肛門の周囲にもいます。女性は肛門から尿道までの距離が短く、尿道の長さも短いため、大腸菌が膀胱に侵入しやすいのです。

急性膀胱炎

治療でよく処方されるのはニューキノロン系ですが、細菌がこの抗生物質(抗菌薬)に抵抗する力を付けたため、効かなくなるケースも増えています。改善しない場合は再受診して医師に伝えましょう。

なお、急性膀胱炎の代表的な合併症である「腎盂腎炎」は、重症化すると命の危険もある恐ろしい病気です。膀胱炎の症状に加え、38度以上の発熱や背中・腰の痛み、吐き気・寒気・全身倦怠感などがあったときには「腎盂腎炎」の可能性があります。

慢性膀胱炎

慢性膀胱炎

慢性膀胱炎は男性に多く見られます。膀胱結石や、尿道に長期間置かれたカテーテルなどの「異物」が細菌の住みかとなって慢性化する場合が多く、症状は急性膀胱炎と似ています。
膀胱結石の場合はその治療とともに、残尿に対する治療を行います。カテーテルが原因の場合は、発熱等の症状が出たときだけ抗生物質(抗菌薬)が使われます。

慢性膀胱炎はほかにも、一部の薬によって起こる薬剤性膀胱炎や、他の部位の放射線治療の際に副作用で起こる放射線性膀胱炎があります。
薬剤性膀胱炎は、原因となる薬をやめればよくなるので、医師と相談します。放射線性膀胱炎には高圧酸素療法が有効で、高い圧力を利用して体内に酸素を大量に送り込み、傷つけられた組織の回復を図る治療を20回ほど繰り返します。

間質性膀胱炎

間質性膀胱炎では、膀胱の粘膜層が壊れ、その下の粘膜下層(間質)で炎症が起こります。症状は急性膀胱炎と似ていますが、「頻尿の程度がひどい」、「膀胱は尿がたまるにつれて激しく痛み、排尿後は楽になる」「尿が白く濁り、綿状のものが混じる」といった特徴があります。

間質性膀胱炎

間質性膀胱炎は尿検査では見つかりません。そのため内視鏡で膀胱内部を観察して確かめる必要があります。薬物療法では、「三環系抗うつ薬」「抗コリン薬」「抗ヒスタミン薬」「抗アレルギー薬」が使われます。

薬だけでは症状が軽減しない場合は、「膀胱水圧拡張術」「経尿道的潰瘍焼灼[しょうしゃく]術」などの手術を検討します。「膀胱水圧拡張術」とは、膀胱内部に少しずつ水分を注入して暴行を拡張し、傷口をきれいにすることで、新たな粘膜の再生を促す治療法です。



その他の泌尿器の病気

男性の尿もれ

男性の尿もれの大きな原因となるのは「過活動ぼうこう」「前立腺肥大症」です。特に「前立腺肥大症」が原因で「過活動ぼうこう」を引き起こすことが多いのが男性の尿もれの特徴です。ほとんどが良性の疾患で、生活に支障がなければ治療の必要はありませんが、まれに脳血管障害などが原因の尿もれもあり、注意が必要です。

前立腺肥大症とは

前立腺が肥大して排尿障害が起こる病気です。前立腺は男性に特有の臓器で、膀胱[ぼうこう]のすぐ下で尿道を取り囲むように位置しており、精液の一部をつくる働きをしているほか、排尿にも関わっています。

前立腺が肥大すると、尿道やぼうこうが圧迫され、尿が出づらくなります。すると、ぼうこうが排尿しようと頑張りすぎて、筋肉などが痛んでしまいます。

前立腺肥大症が原因で起きる尿もれ

そして脳との連携もうまくいかなくなり、ぼうこうが勝手に収縮する「過活動ぼうこう」の状態となり、急に尿意をもよおす切迫性尿失禁となります。さらに症状が悪化すると、尿道が完全にふさがってぼうこうが限界まで膨らみ、尿がチョロチョロともれ出す「いつ流性尿失禁」を引き起こします。こうなると腎不全などのリスクもあり、早急な対策が必要です。

男性の尿もれ 危険度セルフチェック

男性の尿もれ危険度チェック

受診の目安は、排尿前や排尿中にどんな症状があるかがポイントとなります。排尿前には、尿意切迫感があるかどうか。頻尿かどうか。具体的には1日およそ4~7回が一般的な排尿の回数なので、この回数より多い場合、また1回の排尿量の基準が200~400mLなので、それを大きく下回る場合は注意が必要です。また、排尿時間は20~30秒くらいが通常なので、1分、2分とかかるようなら要注意です。排尿後は、残尿感があるかどうかがポイントです。

男性の尿もれ治療

男性の尿もれの治療は、前立腺肥大症と過活動ぼうこうを併発しているケースも多いため、まず前立腺肥大症の治療を行い、過活動ぼうこうの症状が残った場合はそちらも治療します。それぞれ、薬物療法と行動療法に分かれます。

男性の尿もれ治療

行動療法は、ぼうこう訓練と生活上の注意に分かれます。ぼうこう訓練は、ぼうこうにためる尿量を増やす訓練です。ぼうこうの過剰な収縮が原因であるため、これを抑えることで症状の改善を目指します。生活上の注意としては、前立腺肥大症では、長時間の座位など、血流を悪くすることを避けるのが基本です。過活動ぼうこうでは、水分を取り過ぎないことなどが重要です。

尿もれに関するQ&Aはこちら



泌尿器の病気以外で起こる頻尿

椎間板ヘルニア(馬尾型)

椎間板ヘルニアには馬尾型と神経根型の2タイプあり、そのうち馬尾型の場合は、放置していると尿漏れや頻尿などの排尿障害が起こります。脊柱管を縦に通っている神経の束「馬尾」はお尻や脚全体へと延びる神経と繋がっていて、馬尾が圧迫される馬尾型の椎間板ヘルニアは神経根型の椎間板ヘルニアに比べ危険度が高くなります。
進行すると歩行困難になって、将来寝たきりになることもあります。

椎間板ヘルニア 馬尾症状チェック

腰痛に伴ってお尻や脚にしびれや痛みがある場合、上記にある「椎間板ヘルニア 馬尾症状チェック」の①~⑥のうち、当てはまる項目が1つでもあれば、馬尾型という進行しやすいタイプである可能性が高くなります。
脚のしびれや痛みが1週間以上続く場合は、整形外科を受診することがすすめられます。

「椎間板ヘルニアの原因、症状」についてはこちら

変性すべり症

変性すべり症とは、椎間板の異常が原因で起こる腰痛の1つです。「椎骨」が本来の場所から3mm以上ずれている状態で、腰の痛み・しびれ、頻尿など排尿障害が現れます。

変形すべり症の症状

症状としては、「腰の痛み・しびれ」、「両脚の痛み・しびれ」、尿もれや頻尿などの「排尿障害」、進行すると「歩行困難」などが現れます。特に疲れた時に、これらの症状が強くなることが多くみられます。また、ある程度の距離を歩くと、脚に痛みやしびれが出て歩けなくなり、しばらく休むと症状が消えて再び歩けるようになる「間欠跛(は)行」の症状が現れるのも特徴です。

変性すべり症の症状や治療について詳しく知りたい方はこちら

骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)

骨盤臓器脱は、出産や老化で骨盤底の組織が緩み、膀胱、子宮などの臓器が膣(ちつ)の入り口から外に出てきてしまう病気です。夕方疲れてきたときや、長く歩いたり立ち仕事をしたりした後に気になるという段階から、さらに症状が進行して悪化すると、朝起きた時から日中、いつも腟から臓器が出てしまう状態になります。

骨盤臓器脱では、トイレに行ったばかりなのにすぐにまた行きたくなる頻尿の症状がでます。その他の排尿障害や排便障害は下記の通りです。

排尿障害や排便障害

股の間にふたをしたようで尿がでにくい排尿困難、トイレに間に合わずに尿をもらしてしまう切迫性尿失禁や、せきや運動でおなかに力がかかると尿がもれる腹圧性尿失禁。便を出そうとすると何か下がって出しにくい排便困難などの症状です。

骨盤臓器脱の種類や症状や受診について詳しく知りたい方はこちら

正常圧水頭症

正常圧水頭症の症状のひとつに頻尿があります。頻尿を含む排尿障害は70%以上の患者に現れます。まず「頻尿」から始まりトイレに行くことが増え、その後次第に尿意を催してから我慢できる時間が短くなるため「尿もれ」をしやすくなります。
下記の初期症状のうち歩行障害に加えて、物忘れなどの認知症状も起きてきたら、正常圧水頭症を疑う必要があります。さらに、頻尿を含む排尿障害も現れたら、すぐに受診することをおすすめします。専門医の診察や、脳ドッグを受けましょう。

正常圧水頭症の症状チェック
正常圧水頭症の症状チェック

正常圧水頭症について詳しく知りたい方はこちら