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乾燥肌
皮膚の乾燥が原因で、かゆみや湿疹などの皮膚トラブルになることも!乾燥肌予防には「皮膚を傷つけない」「保湿」が大切。予防のポイントや、保湿剤の効果的な塗り方を紹介します。
潤いを保つ3つの装置

皮膚の一番外側には、「角層」という皮膚の細胞が平たく積み重なった部分があります。
この角層部分にはうるおいを保つ「皮脂膜」「天然保湿因子」「角質細胞間脂質」という3つの装置があり、その装置は加齢とともに衰えてくることによって肌が乾燥しやすくなります。
乾燥肌の症状の段階

初期段階では、「老人性乾皮症」と呼ばれる状態になります。
軽度では、白い粉が吹いた状態。高度になるにつれて、浅いひび割れのような状態になり、一番右側の写真の状態のように網目状のひびが入ると、尋常性魚鱗癬(ぎょりんせん)という状態になります。
この老人性乾皮症は、30代でも発症することがあります。実は、皮脂の分泌は20歳前後をピークに年々減少傾向になるためです。
老人性乾皮症のスキンケア
初期段階の「老人性乾皮症」では、適切なスキンケアを行い、悪化させないことがポイントです。スキンケアではうるおいを保つ3つの装置をそれぞれ保湿剤の軟膏やクリームで補います。

保湿剤を塗るタイミングは、お風呂上がりにすぐ塗ります。また塗る時には、擦り込むのではなく、優しく、皮膚をなでるように塗るのがポイントです。
乾燥肌にならないための対策

手湿疹
手のひらは皮脂が分泌されないため、冬場は乾燥しやすくなります。
水仕事が多い職業にも発症者が多い病気です。また、新型コロナ感染対策のために手洗いやアルコール消毒を行うことが増え、手湿疹になるというケースもあります。
手湿疹の原因はいくつかあり、原因を特定することにより、再発、悪化を防ぐことができます。
手湿疹の主な原因
刺激性接触皮膚炎
洗剤などが原因となって、皮膚の脂分が抜けてしまい、皮膚バリアが破壊され、外部刺激に対して敏感になり炎症をおこすことです。手湿疹のおよそ7割を占めます。
アレルギー性接触皮膚炎

皮膚に触れた化学物質によって、免疫反応が起きることで発症します。主なアレルギー物質は植物、ゴム製品、金属など。
たんぱく室接触皮膚炎
魚アレルギーや甲殻類アレルギーがある場合に生魚・エビやカニなどに触れると、すぐにじんましんが現れ、その後水ぶくれが生じて手湿疹になるというものです。
アトピー型手湿疹
アトピー性皮膚炎の一症状として見られる手湿疹。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹が顔や体に繰り返しできる病気です。アトピー性皮膚炎の発症には、皮膚のバリアの機能低下が関係していると考えられています。皮膚のバリアを強くするには、正しく洗う、正しく保湿することが大切です。
アトピー性皮膚炎の症状

上の写真はアトピー性皮膚炎を発症したおでこです。皮膚がじゅくじゅくしているのがわかります。
慢性の皮膚状症状「たいせん化」

こちらは皮膚が厚ぼったくごわごわした状態になっており、ところどころ黒い箇所が見られます。これは「たいせん化」と呼ばれ、アトピー性皮膚炎の慢性的な症状として見られます。
皮膚バリアを強くするスキンケア
- 洗う
せっけんをよく泡立てて、泡で包み込むように洗いましょう。 - 保湿
入浴直後に刺激の少ない保湿剤を塗り、皮膚に「フタ」をしましょう。
あせも
あせもは子どもの皮膚の病気と考えられがちですが、汗をかきやすい夏には、大人のあせもも少なくありません。汗は、エクリン汗腺という管から体外に排出されます。たくさん汗をかいて、長時間そのままの状態が続くと、あかやほこりなどでエクリン汗腺の出口が塞がり、汗を排出できなくなります。その結果、汗が体外ではなくエクリン汗腺から真皮に漏れ出て、炎症が起こって赤い湿疹ができ、かゆみが現れます。これが、あせもです。
あせもができやすい人とは
- 肥満のある人
- 女性で胸が大きい人や垂れた形をしている人
- エアコンを遠慮し汗をかいたままにしている人
- ベッドに寝たまま1日の大半を過ごすような人
あせもの治療
軽症の場合

かゆみがある場合は、まず保冷剤や冷やしたタオルなどで冷やします。そのうえで、あせもの市販薬を使ってかゆみを緩和します。あせもの治療薬は、症状や年齢などによって適切な市販薬は異なるので、薬局などで相談してください。湿疹から浸出液が出ている場合はパウダータイプ、浸出液が出ていない場合はクリームタイプの市販薬を使うとよいでしょう。
重症の場合

あせもをかいてしまい伝染性膿痂疹が起こるなど、重症化した場合は、周りの人にうつしてしまうことを防ぐためにも、皮膚科で適切な治療を受けることが大切です。
あせもに加えて、アトピー性皮膚炎などの皮膚の病気がある場合や、細菌やかびなどの感染が疑われる場合は、市販薬を使うと症状が悪化することがあります。早めに皮膚科を受診してください。
あせもの予防
汗をかいたら、こまめに拭き取り、皮膚を清潔に保つことが大切です。服装は、汗を吸いやすく、乾きやすい木綿などの生地の服を選ぶとよいです。
皮膚が乾燥しやすい人は、入浴後、保湿剤を塗って皮膚を乾燥から守ることが、あせもの予防につながります。保湿剤は、べたつかない乳液タイプのものがおすすめ。ワセリンは脂分が多くベタつき、エクリン汗線の出口を塞いでしまい、かえってあせもができる原因になるので避けましょう。
光線過敏症
光線過敏症とは、皮膚に異常をきたさない波長や少ない量の紫外線でも、かぶれのような異常な皮膚反応を起こす病気です。

紫外線の影響と肌タイプ

紫外線の影響は、皮膚のタイプによっても異なります。そのため「自分の肌タイプを知ること」も紫外線対策のひとつとなります。とくに紫外線を浴びるとすぐに赤くなるが、その後、あまり肌に色がつかないⅠ型は、紫外線をブロックする「メラニン色素の量が少ないタイプ」で、日本人の18%がそうだと言われています。
じんましん
じんましんは突然、皮膚に激しいかゆみを伴う発疹が現れる病気です。発疹は体のどこにでも現れ、広い範囲におよぶことも。通常、24時間以内に消えてしまうのが特徴で、約9割は1週間以内には治まりますが、繰り返したり、広い範囲に現れる場合は早めに皮膚科を受診しましょう。
じんましんは7割が原因不明

原因を特定できるじんましんは全体の約3割弱で、残りの約7割は原因不明です。
じんましんの"原因探し"は必ずしも重要ではありません。原因がわからなくても、薬による治療によって多くのじんましんは治すことが可能です。
治療のポイント

じんましんを起こす原因がわかっている場合は、その原因を取り除き、避けます。原因が特定できなかったり、特定できても避けきれない場合は、「抗ヒスタミン薬」の服用が治療の基本になります。
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