Q&A 脳梗塞

目次

2018年4月30日(月)~5月3日(木)放送へのご質問
心臓が原因の脳梗塞 注意点は?
30歳代での脳梗塞発症のリスク
後遺症の感情失禁を回復させるには?
受診するときは脳神経外科?内科?
発症後、8時間以降の治療法は?
立ちくらみと一過性脳虚血発作の見分け方
言葉が出ない これって失語症?
2019年5月6日(月)~5月9日(木)放送へのご質問
ラクナ梗塞 必ず認知症になる?

2018年4月30日(月)~5月3日(木)放送へのご質問

心臓が原因の脳梗塞 注意点は?

実家の父(79歳)が脳梗塞で入院になりました。何回か小さい脳梗塞があったようで、しかも、心臓に生まれつき穴があると言われました。
番組を拝見したとろ、心臓が原因の脳梗塞は危険と知って、とても心配になりました。
もう歳ですし、手術もできないだろうし、薬を飲み続ける以外何に気を付ければいいでしょうか?運動不足も良くないとありましたが、運動すると心臓に負担がかかるのではないでしょうか?(45歳 女性)
心臓病が原因で起こる脳梗塞を、「心原性脳塞栓症」といいますが、全ての心臓病がこの脳梗塞の原因になるわけではありません。最近では、お年寄りに多い「心房細動」というタイプの不整脈が主因です。
「心臓に生まれつき穴がある」とのことですが、一般人の4~5人に1人が持っていると言われる「卵円孔開存」の可能性が高いでしょう。ほとんど無症候で病気とは言えないのですが、ごく一部の方で、静脈に出来た血栓がこの穴を通って脳血管に流れ込み脳梗塞の原因になるとされています。治療方針も年齢や状況によって異なり、79歳というご高齢では、薬を飲み続けながら経過を見ることが一般的です。
「卵円孔開存」が心臓に負担をかけることはほとんどありません。それ以外の心臓病でも、「むくみ」や「息切れ」などの心不全の症状がない場合は、運動による心臓への負担を気にする必要はありません。

30歳代での脳梗塞発症のリスク

私は、高血圧も糖尿病もなくてタバコも吸いません。また、飲酒も適量にとどめ、適度な運動を心掛けて、適正体重を維持しています。
ただ、LDLコレステロール値が220ぐらいあってコレステロール値がとても高く、頸動脈エコー検査でもわずかな動脈硬化が見られました。このような場合、年齢が30歳代と若くても脳梗塞発症のリスクが高まりますか?(35歳 男性)
生活習慣に問題はないにもかかわらず、30歳代で「LDLコレステロール値が220ぐらい」というのは、遺伝的要因による「家族性高コレステロール血症」の可能性が高いでしょう。この病気は、自覚のないままに全身の動脈硬化を促進し、脳梗塞はもちろん、心筋梗塞や狭心症のリスクを著しく高めます。有効性と安全性の高い薬が普及しているので、ぜひ医療機関を受診し、早期に治療を始められることをお勧めします。

後遺症の感情失禁を回復させるには?

脳梗塞の後遺症で、感情失禁(些細なことでも泣いてしまうなど、感情をうまく調節できないこと)が出てしまいます。この症状の回復にはどのような事をすれば良いでしょうか?(53歳 男性)
感情失禁は、軽度の情動的刺激で笑ったり、泣いたりする現象で、感情の調節がうまくいかない状態です。様々な脳障害に付随して発症しますが、脳梗塞は代表的疾患の一つです。
感情失禁は、脳疾患の症状であり、それのみを治療する方法は、残念ながら存在しません。事情を知らない人にとっては困惑の対象になりますが、家族、介護者がその病状を理解し、患者さんの話や気持ちを穏やかに受け止めてあげることが肝要です。
脳梗塞の再発を繰り返すと病状を悪化させます。高血圧などのリスク管理や治療薬内服を根気よく続けましょう。一部の感情失禁には、「うつ」が隠れていることもあり、その治療で症状が軽減することもあります。主治医とよく相談して下さい。

受診するときは脳神経外科?内科?

脳梗塞を疑う症状があったので脳神経外科を受診したところ、「脳出血やくも膜下出血なら脳神経外科で診るが、脳梗塞は脳神経外科では診れないので、内科を受診してください」と言われました。
脳神経外科で脳梗塞を診ているとは限らないのですか?
また、脳梗塞なら内科を受診した方が良いのですか?(64歳 男性)
地域によって、また医療機関によって様々なようです。
脳神経外科は、脳外科手術や脳血管内治療などの介入的治療が得意です。内科や神経内科は、高血圧などのリスクの診断と治療、全身管理、薬物治療などが専門です。脳梗塞全体では脳神経外科が関与すべき領域は少なく、一般的な診察であれば内科、神経内科で十分です。ただし、超急性期の脳血管内治療、急性期重症患者管理、高度の脳動脈狭窄の外科的手術、脳血管内ステント治療などは、脳神経外科の役割大です。
地域・医療機関によっては、「脳出血やくも膜下出血なら脳神経外科、脳梗塞は内科(神経内科)」と単純化して役割分担しているところもあります。一方で、内科の脳卒中専門家が不足し、脳神経外科が脳血管障害診療の多くをカバーしている地域もあります。医療機関によっては、「脳卒中科」や「脳卒中センター」を設置して、診療科を一本化する取り組み始めています。近い将来に、今回のような混乱が解消することを期待します。

発症後、8時間以降の治療法は?

発症後、4時間半以内ならt-PA、8時間までなら血管内治療があることがわかりました。
8時間を超えた後の治療というのはどんなものがあるか教えていただきたいと思います。
それとも、8時間を超えると、血栓を取り除く治療はできないのでしょうか?(55歳 男性)
現時点では、医療保険で認められている脳血管内治療は、発症8時間目までと厳密に定められています。最近、最新画像診断技術を併用すれば、8時間以降でも脳血管内治療の効果が期待できることが報告されました。残念ながら、この画像診断法は非常に高価で、わが国ではまだ普及していません。まだ、研究、実験段階と考えて下さい。
その他、以前から脳保護効果を期待した薬物治療が試みられ、最近では再生医療の一貫としての細胞治療なども試みられています。後遺症からの回復を目指したリハビリテーション法の改良、あるいはロボットを利用したリハビリテーション法の開発も試みられています。治療技術は今後も進歩が期待されます。

立ちくらみと一過性脳虚血発作の見分け方

立った姿勢で目薬をさしていたところ、30秒間ぐらいの間、急に体に力が入らなくなり目の前が真っ暗になりました。一過性脳虚血発作ではないかと思い、すぐに病院を受診したところ「心配はない」と担当医から説明がありました。
単なる立ちくらみと一過性脳虚血発作を見分ける方法はありますか?(50歳 男性)
眼前暗黒感や失神などは、一過性脳虚血発作の症状ではありません。この方の症状は、立ったままの姿勢に加え、首の過伸展に伴う自律神経反射としての全身血圧の低下や徐脈(脈が遅くなること)が生じ、「立ちくらみ」となったのでしょう。脳の血管の問題ではないので心配はいらないでしょう。
一過性脳虚血発作は、脳梗塞の原因と同じ血管病変や心房細動などの心臓病により、脳血管が一時的に閉塞することによって生じます。症状も脳梗塞と同じで、突然の片側顔面麻痺、半身の麻痺や感覚障害、言語障害などです。これらの症状が数分~数時間で消えれば一過性脳虚血発作、長時間(24時間以上)継続すれば脳梗塞です。

言葉が出ない これって失語症?

運動のリハビリは最初の2週間が重要と分かったのですが、言語はどうでしょうか?79歳になる父は、普通に会話も喋る事もできるのですが、なかなか言葉が出てこなかったり、長い文章を理解できなかったり、何回も同じ事を言ったり、言った事を忘れたりします。(45歳 女性)
失語症は急性期脳梗塞の約3割に認められますが、最初の1~2週間は著明な改善が見られやすく、症状が完治する場合もあります。一方で、発症早期の失語症患者の多くは集中的な言語機能評価や訓練に耐えられないという報告もあります。また、言語機能の回復は年余にわたることも多く、運動リハビリとは異なった考えが必要です。
お父上の症状は、失語症の一部かもしれませんが、認知機能全般や集中力、記憶力の低下を反映している可能性もあります。明らかな脳卒中発作のエピソードがないのであれば、むしろ認知症の初期症状かも知れないので、神経内科や「もの忘れ外来」などに相談されてはいかがでしょうか?

2019年5月6日(月)~5月9日(木)放送へのご質問

ラクナ梗塞 必ず認知症になる?

30歳を過ぎたのをきっかけに人間ドックを受けたところ5か所に脳梗塞があることがわかりました。これまで特になにか起きたわけではありませんが、血管性認知症の話を聞いた妻が不安に感じています。ラクナ梗塞は血管性認知症に直結するのでしょうか?一番気になるところです。(40歳 男性)
小さな脳梗塞=ラクナ梗塞が多発して脳の血管が詰まると、脳の細胞に必要な、酸素や栄養が運ばれなくなります。すると、血管性認知症と呼ばれる認知機能に障害が起きてしまうことがあります。
認知機能に障害が起きると、覚えていられることと、覚えていられないことがある…といったように、記憶がまだらに出る「まだら認知症」と呼ばれる「記憶障害」が起きることがあります。

しかし、ラクナ梗塞があると必ず血管性認知症になる、というデータはありません。5つの梗塞があるとのことですが症状が出ていないのであれば問題ありません。この方よりも梗塞の数が多い人はいますが、問題なく過ごせている方も沢山いらっしゃいます。

ただし、リスクが高いことには違いありません。血管性認知症を起こさないためには、これ以上の脳梗塞を増やさないことが大切です。
もし、糖尿病、脂質異常症を合併している場合には治療薬によって管理を徹底することが大切です。中でも「高血圧」は血管の負担となりますので血圧のコントロールが重要です。血圧をコントロールするには塩分を控えるなどの食生活に配慮し、必要であれば血圧を下げる降圧薬をしっかり服用しましょう。
また、喫煙や、過度の飲酒の習慣があれば、改める必要があります。

関連する病気の記事一覧

きょうの健康

病気や健康に関する質問を募集!

最近放送したテーマに関する質問を募集しています。
現在、募集中のテーマは「質問を送る」ページでご確認ください。
※各テーマの募集期間は約2週間とし、予告なく終了いたします
※すべてのご質問にお答えできるわけではありませんので、ご了承ください