Q&A 慢性腎臓病

目次

2019年2月4日(月)~6日(水)放送へのご質問
筋トレはクレアチニン値に影響する?
利尿薬は腎不全の患者に向かない?
カリウムはまったくとってはいけない?
トラマドールやプレガバリンは腎臓病に影響しないか?
IgA腎症は治らないのか?
2018年2月5日(月)~8日(木)放送へのご質問
腎機能が悪くなったのはなぜ?
痛風の薬と腎機能低下は関係ある?
がんで腎臓摘出 その後の検査値や注意点は?
妊娠してから腎機能が悪化 二人目の子どもは?
透析か腎臓移植か
慢性糸球体腎炎 へんとう腺摘出とステロイドパルス療法を受けるべき?

2019年2月4日(月)~6日(水)放送へのご質問

筋トレはクレアチニン値に影響する?

数年前から健康診断の血液検査で血清クレアチニン値が悪化してきました。0.90→0.98→1.05→1.02→1.15(mg/dL)です。1.05になった時からeGFR(推定糸球体ろ過量)が要観察になりました。週1回ハードな筋トレを始めた時期と重なるのですが、関係ありますか?
ためしに検査前の筋トレをやめたところ1.05→1.02と少し下がりました。たんぱく尿やむくみなどの症状はありませんが、慢性腎臓病の可能性がありますか?(58歳 男性)
個人の血清クレアチニン値は、筋肉による産生量と腎臓からの排せつ量のバランスで決まります。ですからトレーニングによって筋肉量が増えればクレアチニンの産生が増え、血清クレアチニン値が上昇する可能性はあります。
ただご質問にあるような明らかな上昇は、筋肉量の増加だけではなく、腎臓からの排せつ量の低下も関与しているかもしれません。腎機能の指標となるeGFRは血清クレアチニン以外に、筋肉量には影響を受けない血清シスタチンCからも計算できますので、ぜひかかりつけ医の先生にご相談されることをおすすめします。

利尿薬は腎不全の患者に向かない?

以前、腎臓の専門医に高血圧の薬の1つとして利尿薬を処方されていました。その後、かかりつけ医を受診するようになったところ、かかりつけ医は「利尿薬は腎機能を悪化させ血中カリウム量を増やすので、すすめられない。ほかの降圧薬を増やしたい」と言います。利尿薬は腎不全の患者には不向きなのでしょうか。(80歳 男性)
利尿薬には種類があり、それぞれ異なる特徴を持っていますので、一概に腎不全の患者さんに向く、もしくは向かないとは言えません。一般論として、腎不全患者さんに高度な浮腫(むくみ)や心不全、管理困難な高血圧があれば、腎機能をモニターしつつ、その患者さんに最も適した利尿薬を処方します。
ご質問の利尿薬が血清カリウム値を上げるタイプの利尿薬であれば(下げるタイプのものが一般的なのですが)、腎不全が進行してくると使用できない、もしくは使用しにくくなるカリウム保持性利尿薬と考えられますので、かかりつけ医の先生の指示に従っていただくのがよいと思います。

カリウムはまったくとってはいけない?

慢性腎臓病では食品に含まれるカリウムにも気をつけるべきとのことですが、まったくとってはいけないのですか?それとも、医師の指示にしたがって、とり過ぎなければ大丈夫ですか?
以前、茶道(抹茶)をたしなんでいましたが、腎臓病と胆石症がある場合は禁止事項でしょうか?(31歳 女性)
慢性腎臓病が進行するとカリウム排せつが困難となり、血液中のカリウムが上昇するリスクが高くなります。また慢性腎臓病の患者さんによく処方される薬剤のなかには、血液中のカリウムを上昇させやすくするものがあります。
そのためカリウム摂取の限度は慢性腎臓病の患者さんごとに異なることから、ご質問のように担当の先生の指示に従っていただくのがよいでしょう。まったくとってはいけない方は少ないので、ある程度は茶道も楽しめると思います。

トラマドールやプレガバリンは腎臓病に影響しないか?

頸椎症性神経根症のためトラマドールやプレガバリンなどの鎮痛薬を約2か月服用しました。まだ完治していないので今後も続ける予定です。腎臓病に対して影響はありませんか?(63歳 男性)
鎮痛薬のすべてが腎臓病に悪影響を及ぼすというわけではなく、特に注意していただきたいのは非ステロイド抗炎症薬(NSAID)です。ご質問の2剤はNSAIDではなく、腎臓病への悪影響は明らかではありませんので、必要な服用を続けることは問題ないと思います。
ただ腎機能が低下していると薬剤が体のなかに蓄積して副作用が出ることもありますので、適切に減量する必要があります。もし腎臓病の治療中であれば、担当の先生に伝えて腎機能を確認していただくのがよいでしょう。

IgA腎症は治らないのか?

IgA腎症と診断され、プレドニゾロンという薬を2年ほどのみ続けました。現在は経過観察のため3か月ごとの尿検査と血液検査を受けています。今後、悪くなることはあっても良くなる(治る)ことはないのでしょうか?(51歳 男性)
プレドニゾロンによるIgA腎症の治療では、IgA腎症の重症度にもよりますが、まったく効果のない方から完全によくなる(治る)方まで、さまざまな方がいらっしゃいます。ご質問の経過観察で、もしプレドニゾロンによる治療の後もタンパク尿・血尿が続いている場合には、このまま自然に良くなる(治る)ことはまれだろうと考えられます。
ただし今後の適切な管理により、腎機能を悪化させず、将来の腎不全を先延ばしにすることは可能ですので、担当の先生の指示を仰ぎながらしっかりと療養に取り組まれることをおすすめします。

2018年2月5日(月)~8日(木)放送へのご質問

腎機能が悪くなったのはなぜ?

2017年の健康診断で血清クレアチニン値1.18で腎機能障害と言われました。以後の検査値は、0.90(5月)、0.93(8月)、0.88(11月)、0.91(2018年2月)です。また尿素窒素は9.7(5月)、10.1(8月)、10.4(11月)、11.6(2018年2月)です。薬は処方されていません。
なぜクレアチニン値が高くなったのでしょうか?加齢でしょうか?
2年前まで食べ物にケチャップやしょう油をたっぷりかけていましたが、その影響もあるのでしょうか。たばこは吸ったことがなく、お酒もここ数年は、年1回でコップ1杯足らず。スナック菓子やケーキ類はたまに食べる程度です。週2回は運動し睡眠も8時間とるようにしています。
また、一度上がった数値は下がらないのでしょうか?(44歳 女性)
同じ健康診断で尿検査には異常がなかったものとして回答します。
血清クレアチニン高値については様々な原因が考えられます。血清クレアチニンが上昇するのは、腎機能の低下以外に、運動選手などで筋肉量が多い場合、また検査前日の肉類の摂取でも、一時的に上昇することが知られています。
まずは血清クレアチニン以外の方法で腎機能を確認してください。具体的には血清シスタチンC検査をうける、蓄尿によるクレアチニンクリアランス検査を実施するなどが考えられます。
44歳で加齢による腎機能障害が起こることは通常ありません。過去の食生活、体格などから若年からの高血圧、それによる腎硬化症、動脈硬化なども可能性としては疑われます。なお、食事や、筋肉量が多いことに伴う血清クレアチニンの上昇は、これらの原因が取り除かれれば数値が下がってきます。

痛風の薬と腎機能低下は関係ある?

35年前から痛風で、最初は尿酸生成抑制薬、25年前から尿酸排せつ促進薬で治療しています。去年の健康診断で腎機能低下の可能性を初めて指摘されました。推算GFR(糸球体ろ過量)57.9です。尿酸排せつ促進薬は腎臓に強く働きかけるそうですが、この薬が腎機能低下の原因でしょうか? ほかには原因に思い当たりません。(57歳 男性)
尿酸排せつ促進薬を服用することで、直接腎機能障害をきたすことはありません。ただし、尿中の尿酸濃度上昇のため尿路結石ができる可能性があり、このための尿管閉塞・水腎症による腎機能障害の可能性があります。このため尿酸排せつ促進薬服用開始からまもない時期は、十分な飲水とともに野菜類の摂取を増やし尿のアルカリ化に努めます。
腎機能が低下しているとのことですが、高尿酸血症が持続すると高血圧を合併しやすくなり、高尿酸血症による血管障害とともに動脈硬化をきたし、腎硬化症を発症することが多いと言われております。

がんで腎臓摘出 その後の検査値や注意点は?

2016年7月、がんのために左の腎臓を摘出しました。その後、血清クレアチニン値は1.14から1.35、たんぱく尿は毎回±(プラスマイナス)、尿素窒素は15から20です。慢性腎臓病の状態と考えるべきでしょうか。腎臓が一つの場合、検査値はどうみればよいのか、どんなことに気をつければいいのか、教えてください。なお塩分制限はしています。(67歳 男性)
現在の年齢から推算GFRは41.8~50.3ml/分/1.73m2です。慢性腎臓病のステージG3aA2またはG3bA2ということになります。2つあるうちの1つの腎臓を摘除されたので、現在の腎機能は正常の半分であり、相応の残存腎機能であるといえます。尿たんぱくが±となっており、残る腎臓に過剰な負担がかからないように生活面での注意が必要です。
肥満があるのであれば解消する、血圧や血糖、脂質異常症などを治療目標値に維持するなど、慢性腎臓病の悪化をきたさないための注意が必要です。

妊娠してから腎機能が悪化 二人目の子どもは?

一人目を妊娠してから腎機能が悪化したようです。現在GFR48、たんぱく尿2+です。二人目の妊娠についてどう思われますか?(41歳 女性)
二人目の妊娠の前に、まず現在の腎臓の状態を正確に評価する必要があります。妊娠後に腎機能が低下しているのは、何らかの腎臓病にかかっていると考えるべきです。糸球体腎炎で腎機能が進行性に低下している場合には、腎生検による正確な診断と病状の把握、病状に合わせた治療を受けるようにしてください。その上で妊娠についても主治医と相談してみてください。

透析か腎臓移植か

腎機能を表す数値(GFR)が10を切り、担当医師から「透析を考えてください」と言われました。しかし透析を受ける心の準備がなかなかできません。一方「ご主人から腎臓を提供してもらえるなら、それが最もよい」とも言われています。夫は「提供できるなら提供するよ」と言ってくれます。
ただし夫には糖尿病や高血圧などの持病があります。どうしたらよいでしょう。なお20代のころからずっとカリウム制限などをしてきました。
(65歳 女性)
腎臓の提供を申し出てくれるご主人がいるとのことで非常に恵まれている状況と思います。ただしすでに腎機能(GFR)が10を切っているので時間的に余裕がありません。ご主人には持病もあるようです。生体腎移植の場合には腎臓の提供を申し出てくれるご主人の安全が最優先されます。
ご主人の糖尿病、高血圧などの管理状況、合併症の状況、動脈硬化の評価などの検査を進め、腎提供手術をすることに問題なしと判断されれば、腎移植を受けることができます。その間にあなたの腎機能がさらに低下し、透析が必要となった場合のことを考え、まずは透析の準備をすること、その後必要に応じ、透析を受けるようにしましょう。その後、腎移植が可能となれば、透析から腎移植に変更して生活を続けることができます。

慢性糸球体腎炎 へんとう腺摘出とステロイドパルス療法を受けるべき?

昨年末、腎生検で慢性糸球体腎炎と診断されました。血液検査では腎臓の数値は正常でしたが、たんぱく尿と血尿が ここ8か月ほど1+から3+です。へんとう腺摘出とステロイドパルス療法をすすめられていますが、受けるべきでしょうか? また、腎生検ではどんな組織から慢性糸球体腎炎がわかるのですか?(39歳 女性)
慢性糸球体腎炎の中でも最も多いIgA腎症と診断されましたね。蓄尿で蛋白尿が1g/日以上ある場合には、へんとう腺摘出とステロイドパルス療法が、たんぱく尿・血尿の改善に有効とされております。ときにへんとう摘出を行わず、ステロイドパルス療法単独で治療が行われる場合もあります。まずはIgA腎症の臨床重症度の評価から治療を進められているのであれば、受けるべきと思います。
腎生検では光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、電子顕微鏡の3つの方法で組織を評価します。IgA腎症の場合には蛍光顕微鏡でIgAが糸球体に染まり、糸球体内の細胞の増殖、組織の硬化、電子顕微鏡では、糸球体の細胞や基底膜の変化を観察し、慢性糸球体腎炎の病型を決定します。このような腎生検による腎臓の組織学的診断は、その後の治療や予後を知るために重要な情報源となります。

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