【Q&A】大動脈弁狭窄(さく)症の治療

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平成27年の人間ドックで胸部レントゲンの検査で大動脈弁狭窄症と言われました。胸に雑音があり 弁の硬さは平均の半分位の1.5でした、0.9位になれば、手術の対象になるとのこと。心雑音は1.2.3 と あれば 2 で 又、心臓超音波は1.5 と言われています。大動脈弁狭窄症の手術について教えてください。薬での治療方法はありませんか、今後の生活上での注意点など教えてください。(74歳 女性)

専門家による回答

[手術適応について]
大動脈弁は、心臓から全身に血液を送り出す際の出口にあたる部分にある重要な弁です。一般的に弁が開いたときの面積が、1.0cm²未満は重症、1.5cm²以上あれば軽症と判断されていますが、外科的な手術の適応の判断に重要なことは、症状と左心室の機能です。症状としては、息切れ、胸痛、失神が三大症状と言われています。心臓から血液出すのに出しにくくなることで、左心室に負荷がかかり、息切れを引き起こします。また、心臓を養う血管は大動脈の根元からでているためにそこに血液を十分送り込めないと狭心症の症状つまり、胸痛が出ます。さらに、大動脈は頭への血液も供給しているので、それが乏しくなるとふらつきや失神といった脳虚血の症状がでます。このような症状が少しでもあれば、手術の適応になります。
また、左心室の機能が低下する前に手術をすることが大切ですが、すこしでも低下しはじめているのであれば、手術を検討された方がよいと思います。この場合、左室駆出率という左心室の縮み具合を示す指標は50%が目安になります。50%以下の場合は症状の有無にかかわらず手術を検討した方が良いと思います。

[治療方法について]
この疾患については、残念ながら薬での治療は確立されていません。進行を若干抑制する意味で、コレステロールを下げる薬を使用することがありますが、効果はあくまでわずかです。従って、確実な治療法は手術となります。手術には、胸を開けて弁を取り換える開胸による手術と、胸をあけずにカテーテルによって人工の弁を置いてくる手術の2つの方法があります。いずれを選択するかは、年齢を含む種々の点を検討して決定します。

(2016年4月6日(水)、7日(木)放送関連)

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