【Q&A】手術後に発熱 考えられる原因は?縫合不全の検査と対策

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76歳の父親がS状結腸がんです。腸閉塞になる寸前という事で、まずステントで腸を広げる手術、その3週間後に腹腔鏡手術を受けました。手術後、少しずつ歩けるようになり、食事もとるほど順調でした。
5日後の夕方、38.5℃分の熱が出ました。インフルエンザは陰性です。 抗生物質(抗菌薬)を3回投与し、絶食状態でしばらく様子をみるとの事でした。発熱した原因と治療法を教えてください。(46歳 女性)

専門家による回答

「縫合不全」が最も疑われます。縫合不全とは、手術後に、吻合(ふんごう)部位の一部もしくは全体が解離してしまう現象です。日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)が行った腹腔鏡手術と開腹手術での比較試験(JCOG0404)の結果では、結腸がん手術後の縫合不全合併率では差がなく、腹腔鏡手術、開腹手術ともにその発生頻度は3.6%でした。
縫合不全発生時の対策としては、抗菌薬の投与などの治療のほかに、CTガイド下でのドレナージ、人工肛門の造設や、吻合部を切除しての再吻合などがあります。治療方針は縫合不全の程度、随伴する炎症や膿瘍の範囲の評価、および有効なドレナージの有無により決定します。

(2018年1月24日(水)放送関連)