【Q&A】腱板損傷の夜間痛で熟睡できない 治療や薬、生活上の注意について

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今年1月から右肩先端の痛みが発症、腱板損傷の疑いで整形外科医院へ診療中。
治療は週1回程度の関節腔[くう]内注射としてトリアムシノロンアセニド50mg/5mL 10mL 1mL。リドカイン塩酸塩注射液 5mL 1管を治療。また1日おきに、器具による消炎鎮痛等処置治療法(光線および電波振動等によるもの)を実施しております。
現在右腕が肩より高く上がらず、右手で左わきの下へ届きません。また寝返りを打つことも不可能で熟睡ができません。痛みとの共同生活中です。今後の生活方法のご教示をお願いいたします。
またこの注射はステロイド系と思われますが、どの程度の頻度で治療を続ければよいでしょうか?
鎮痛剤の服用もすすめられていますが、胃弱のためお断りしております。(77歳 男性)

専門家による回答

「腱板損傷疑い」とのことですが、MRIやエコー検査で腱板断裂は確認されているのでしょうか? 77歳の肩の痛みの原因として、腱板断裂は一番多いのですが、他に原因(頸椎[けいつい]疾患や末梢神経障害など)があることがありますので、まず痛みの原因が腱板断裂であることを確定する必要があります。トリアムシノロンアセニドの注射により痛みが軽減するのかも診断の一助になります。
今年の1月に痛みが出現しているということは、すでに痛み出してから3か月余り(4月時点で質問を募集した)が経過しています。週に1回のトリアムシノロンアセニドの注射を継続しているとのことですが、トリアムシノロンアセニドは比較的強いステロイド剤ですので、週に1回のペースで打ち続けることは、関節軟骨を含む関節組織の変性、骨頭壊死[えし]、感染、血糖上昇などを生じるリスクがあり、頻度や継続期間を検討する必要があります。
夜間痛が持続していることは睡眠障害につながりストレスがたまりますので、何らかの鎮痛剤を使用することがすすめられます。胃が弱いとのことですが、アセトアミノフェン、トラマドール製剤、プレガバリン製剤、低オピオイド外用剤などの、胃が弱い方でも使える薬がありますので、主治医に相談してみてください。
また、痛みの軽減や動きを改善するには、注射療法や内服薬のほかにリハビリテーションも有効ですので、今実施していないのであれば、主治医にご相談ください。
画像検査により腱板断裂が確定し、上記の注射療法・内服薬・リハビリテーションを実施しても痛みや動きの悪さが改善しない場合、大きな合併症がなければ手術療法を検討する必要があります。
現在の主治医の治療で満足いく結果が得られない場合には肩関節専門医のセカンドオピニオンを求めてください。

(2017年4月12日(水)放送関連)

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