突然死の恐れもある心不全 症状の進行と治療の流れについて

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セルフケア・対処心不全心筋梗塞高血圧息切れがする・息苦しいむくんでいる胸・心臓循環器・血管

心不全の進行

ステージの進行

2017年に心不全がステージ別に分けられました。ステージAは高血圧、糖尿病、動脈硬化などの心不全となる危険因子があります。ステージBは心肥大や心筋梗塞、不整脈といった心臓の働きに異常が出てくる段階。心不全の治療のポイントはステージの進行を予防することです。

心不全とがんの経過の違い

心不全の経過

心不全(ステージC以降)とがんの経過は違います。がんはある時を過ぎると急激に身体の活動性が低下しますが、心不全は右肩下がりに心臓の機能と身体の活動性が低下していきます。がんの場合は経過の予測ができますが、心不全の場合は、悪化を繰り返して、突然死をきたすこともあるので、その経過の予測が非常に難しいです。

心不全の治療の流れ

心不全が進行した場合の具体的な治療法です。ステージA~Dまで共通した治療法は、運動や食事など生活習慣の見直しや改善です。

心不全の基本的な治療の流れ

薬による治療に加えて、心臓再同期療法、植込み型除細動器、心臓の働きを助ける補助人工心臓、そして心臓移植といった手術を進行度や症状に応じて行います。

心不全の薬

薬には大きく心臓を保護する薬とむくみなどの症状を抑える薬があります。心臓を保護する薬は血管を収縮させたり、心臓にダメージを与えるホルモンの働きを抑制することで、血圧を下げ、心臓にかかる負担を軽くして心臓を直接守ります。むくみなどの症状を抑える薬は、尿の量を増やすことで、余分な水分や塩分を体外に出して、呼吸困難やむくみなどの症状を改善します。

心不全の治療では生活習慣の改善と薬による治療を行いますが、これだけでは効果が十分ではない場合、手術もあわせ行うこともあります。

心不全の運動療法

心不全の運動療法

運動を行うことによって運動能力が改善しますし、それによって症状が軽くなり、生活の質が改善します。さらに心臓や骨格筋に対していい働きがあることもわかっています。心不全の患者さんで進められるのは、ウォーキング、自転車エルゴメーター、軽いエアロビクス体操などです。運動の強さは軽く息がはずむか汗ばむ程度です。
※運動療法を始めるときは必ず専門医に相談してください。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2019年6月 号に掲載されています。

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  • きょうの健康 放送
    心不全!爆発的拡大に備えろ「命を守る治療法」