詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2019年6月号に詳しく掲載されています。

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「心不全」はよく聞く言葉ですが、案外どんなものかを知らない人が多いようです。そこで心不全のわかりやすい定義を、日本循環器学会と日本心不全学会が2017年に作りました。心不全とは「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」です。
心不全の原因として最も多いのは心筋梗塞、次に多いのは高血圧とみられています。弁膜症、心筋症、不整脈などの心臓病も原因になります。糖尿病、脂質異常症、肥満・メタボは心筋梗塞を起こす動脈硬化のリスクです。また、加齢とともに心不全は明らかに増加します。
心臓は左右の心室が収縮・拡張を繰り返し血液を循環させています。ポンプのような働きです。この働きが低下するのが心不全です。その結果、何が起こるでしょう。
まず、左心室が血液を十分に送り出せないと、肺から左心室に戻ってくる血液も停滞します。その結果、肺に血液がたまってしまいます。これを「うっ血」といいます。
肺のうっ血によって起こる症状が息切れです。うっ血がひどいと、肺の血管から血液中の水分がしみ出し、肺にたまることがあります。肺水腫という状態です。X線撮影をすると肺が白っぽく写ります。
一方、右心室が血液を十分に送り出せないと、左心室に戻ってくる血液も停滞します。その結果、全身がうっ血してしまいます。
全身のうっ血によって起こる症状は、むくみが代表的です。そのほか体重増加、腹部膨満感、食欲不振、頚(けい)静脈の怒張、肝腫大などがあります。
心不全では、肺や全身がうっ血するほか、全身に供給される血液の量が減る「心拍出量の低下」によっても、さまざまな症状が起こります。疲れやすい、低血圧、手足が冷たい、冷や汗、チアノーゼ、尿が減るなどです。
日本人の死亡原因では、がんに次いで心臓病が多く、心臓病で最も多いのが心不全です。年間8万人余りが心不全で亡くなっています。また、心不全5年生存率は5割程度と報告されています。これは胃がんのステージⅢの5年生存率と同程度です。心不全がこのように重篤であることも十分知っておく必要があります。
詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2019年6月号に詳しく掲載されています。