【患者体験談】くも膜下出血の前兆「ある朝、突然意識を失って・・・」

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くも膜下出血 脳・神経

くも膜下出血になったとき -私のチョイス-

ある朝、突然のできごと

Aさん(57歳・女性)は、ある朝、朝食の準備を済ませ、娘に起きるように声をかけた後、トイレに入りました。そして立ち上がって出ようとしたその時でした。首のところをスーッと水が流れるような感じがして、そのまま意識を失ってしまいました。家族が物音に気づいてトイレに行ってみると、トイレの前でAさんがいびきをかいて倒れていました。これはただ事ではないと思った家族はすぐに救急車を呼びました。病院で検査した結果、Aさんはくも膜下出血を発症していたことがわかりました。

「くも膜下出血」とは?

くも膜下出血とは、脳の太い血管に動脈瘤と呼ばれるこぶができ、そのこぶが破裂して出血する病気です。脳を包んでいるくも膜と脳の間に血液が広がり、脳全体を圧迫するので、脳は深刻なダメージを受けます。そのため、発症した人の3分の1は死亡、3分の1は重い後遺症が残り、社会復帰できるのは3分の1といわれる怖い病気です。

コイルで動脈瘤の破裂を防ぐ

くも膜下出血では、いったん出血が止まっても、動脈瘤が再破裂する危険があります。それを防ぐため、Aさんには、「コイル塞栓術」が施されました。脚の付け根からカテーテルという管を血管に入れて脳動脈瘤まで誘導し、先端からプラチナ製のワイヤーを出していきます。ワイヤーを動脈瘤の中でくるくる巻いてコイル状にすると、その周りで血液が固まって、動脈瘤の中に血が流れ込まないようになり、再破裂を防ぐことができるのです。治療は、4時間で無事終了しました。

治療後、脳梗塞を発症

ところが、まだ問題がありました。くも膜下出血を発症した患者の3割が、その後2週間以内に脳梗塞を起こすといわれています。Aさんも、小さな脳梗塞を起こし、その後遺症が出ていたのです。左側に麻痺が出て立てない状態でした。

復職を希望していたAさんは、入院からひと月たたないうちにリハビリテーション病院へ転院し、懸命にリハビリに取り組みました。立つ・座るの動作や手先を使うリハビリなどを続け、麻痺も回復、元の状態に戻ることができたのです。

「もともと目の前に課題を積まれると、頑張ってしまう性格なんです。リハビリテーションの先生にも『無理と言うことを覚えましょう』とか『頑張りすぎないようにしましょう』とか、いっぱい言われたので、それには気をつけています。」

この記事は以下の番組から作成しています

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