強いストレスが原因の適応障害。症状や治療法を解説

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適応障害とは

適応障害とは

適応障害は、強いストレスによって、日常生活を送ることが困難になるほどの"こころの不調"が現れる病気です。こころの症状には、憂うつな気分で落ち込む、不安感で神経質になる、焦る気持ちなどがあります。行動面に影響が出ることもあり、涙もろくなって泣く、わめくなどの行動がみられることもあります。これらの症状によって日常生活に支障が出て、仕事を続けられなくなったり、学校に行けなくなったりする場合もあります。

特徴は、ストレスとなる出来事が明らかなことです。一般的には、その出来事があってから3か月以内に発症し、ストレスがなくなれば6か月以内に改善します。長引くと、うつ病や不安症につながる場合もあります。早めの対処が必要です。

強い症状が現れた場合には、精神科、心療内科、メンタルクリニックなどを受診することをお勧めします。産業医やかかりつけの内科でもよいでしょう。

適応障害の治療

適応障害の治療

治療で重要なのは、(1)環境を調整する、(2)ストレスを減らした状態に適応できるようにすることです。

(1)環境を調整する
ストレスのもとを減らすことが基本です。例えば、パワーハラスメントを受けていたり、職場になじめないようなら、部署や人の配置を変えてもらうなど、環境を変える方法(環境調整)を考えましょう。

(2)ストレスを減らした状態に適応できるようにする
精神療法や心理療法が行われます。また、ストレスに対して自分がどのような考え方や行動パターンを持っているかに気づき、そのパターンを変えていく方法(認知行動療法)もあります。

薬物療法

症状が環境調整の妨げになっている場合や、環境調整を行ったあとも適応障害がすぐにはよくならず苦痛が強い場合には、薬物療法が行われることがあります。不安や不眠などに対してはベンゾジアゼピン系の薬、うつ状態に対して抗うつ薬を使うこともあります。ただし、適応障害の治療は薬物療法だけではうまくいかないことが多いため、環境調整や認知行動療法が重要です。

自分でできる認知行動療法の例

適応障害と診断されたAさんの例

・Aさん 30歳代
・コンピューターのソフト開発の仕事から営業の部署に異動。
・十分な引き継ぎや研修はなく、新しい部署での仕事が強いストレスとなり、落ち込むことが多くなる。
・朝がつらくなり、欠勤が続くようになった。

ストレスに関する問題解決のプロセス

ここで紹介するのは、認知行動療法の1つである「ストレスに関する問題を解決する方法」の例です。本人のできる範囲で行い、周囲の人は無理強いしないでください。

【1】リラックスする

問題解決に取り組む前に、まずは気持ちを落ち着けることが大切。自分がリラックスできる方法をいくつも書き出し、できそうなことをやってみる。

【2】問題をはっきりさせる

何がどのように問題なのかを自分自身に問いかけ、問題をはっきりさせる。
(Aさんの場合:今の状況のままでは、会社に行ってもつらい状況は変わらないということが問題)

【3】解決案を書き出す

問題を解決するための案を、できるだけたくさん考え、書き出す。一見ばかばかしいと思えるようなとっぴな案でもかまわない。
(Aさんが考えた案:(1)思い切って会社を辞める(2)上司に事情を話して元の部署に戻してもらう(3)営業研修を受ける)

【4】点数化する

書き出した解決案について自分で評価する。それぞれのメリットとデメリットを自分なりに考え、それぞれ10点満点で点数化する。

(1)思い切って会社を辞める
≪メリット≫
・これで、もうつらい思いをしなくて済む +5点
≪デメリット≫
・築き上げた人間関係が失われる
・再就職は大変
・転職を繰り返すようになってしまう -9点

(2)上司に事情を話して元の部署に戻してもらう
≪メリット≫
・自分に合った職種になる
・元気を取り戻せそう
・以前と同様に今度もうまくいきそう +9点
≪デメリット≫
・評価が落ちそう
・自分勝手だと思われそう -3点

(3)営業研修を受ける
≪メリット≫
・営業を基本から学べる +5点
≪デメリット≫
・嫌な人にしごかれるかもしれない
・興味を持てないかもしれない -5点

【5】解決法を1つ選ぶ

問題を解決するための案のなかから、1つを選び出す。そのときに、メリットのプラスの点数と、デメリットのマイナスの点数を足し合わせて、合計点が最も高い方法を解決法とする。Aさんは、解決案(2)を選んだ。

【6】実行する

クヨクヨ悩まずに、問題解決のための行動を起こす。うまくいっても、いかなくても、チャレンジした自分を誇りに思い、自分に自信をもつようになる。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2019年5月号に詳しく掲載されています。

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