詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年5月 号に掲載されています。

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2016年度、心の病に対する労災補償が認められた件数は498人にものぼり、過去最高を記録しました。長時間労働や強いストレスなどによってうつ病などを発症するケースが増えています。
認定はされてはいないものの、労災請求の件数も年々増えており、2016年度には1,586人とこちらも過去最高の件数を示しました。2001年と比べると6倍以上も増加しています。
ストレスは大きな社会問題になっているといえるでしょう。上記の統計は働いている方が対象ですが、学生や主婦の方も置かれている立場によって様々なストレスにさらされているといえます。
今回は、そんなストレスに打ち勝つための知識として、セルフチェックの方法やストレスの原因、解消法などを解説します。
みなさんはストレスを感じている時、どのような変化を感じるでしょうか。人によっては、お酒が増えてしまったり、やけ食いをしてしまったり、行動に表れるケースが一つ考えられるでしょう。または、便秘や下痢など身体に直接現れてくる場合もあります。これらは、自分にストレスがたまっていることを自覚することができるサインとなります。
ストレスにさらされても、普段とほとんど変わらない人。逆に、少しのストレスで態度や体に簡単に出てしまう人。いろいろな人がいますが、その差は一体どこにあるのでしょうか。
要因は3つあると言われています。
生まれつき体が強い人がいるのと同じように、遺伝的にストレスに強い場合が考えられます。脳内の不安・緊張に関わる物質に生まれつき多い、少ないがあります。そういった体のよってストレスへの抵抗力が変わってきます。
また、その人が幼少期育った環境もストレス耐性に大きく影響しています。例えば、小さい頃に虐待やネグレクトの経験があると、ストレスに弱くなるという報告があります。こういった場合、大人になってからストレスに弱くなり、うつ病を発症したり、ちょっとしたことで極度に落ち込んで死にたくなってしまったりといったことが起こります。
逆に適度な愛情を受けて大事にされながら育つと、ストレスに強い大人になるといえます。
ストレスへの抵抗力は生まれ持った体質と、幼少期の生育環境だけで決まるわけではありません。今までいろいろな経験をし、学習することによって培われた日々の行動や思考も大きく関係してきます。
どんな行動、思考パターンを身につければストレスに強くなれるかを考えてみることが、ストレスとうまく付き合っていく鍵になります。
人によってストレスに耐えうる限界値は変わります。ストレスに一定の抵抗力があるとはいえ、溜め込むのは危険です。
例えば、ストレスが関係する主な病気にはどういったものがあるのでしょうか。
など、様々な病気に関係しています。
ホルモンには様々な種類があり、血圧や睡眠、食欲、愛情などあらゆる活動に関係しています。
ここで、2つのストレスホルモンに注目してみましょう。
仕事のノルマや受験勉強など、日々精一杯頑張っている方々が抱えるストレスは全身を興奮状態にする「アドレナリン」の分泌を促します。それにより、心拍数や血圧、血糖値が上昇し、心臓や血管などの体に反応をもたらします。
一方、満員電車や人付き合いなど、何かに耐えるストレスが続く状況では「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。コルチゾールは体のストレスに対する抵抗力を高める一方で、免疫力低下を引き起こします。また、脳に働きかけ、落ち込みや不安といった心の反応をもたらします。
ストレスを限界まで溜め込まないように、自身のストレス状態を定期的にチェックすると良いでしょう。簡単にできる「余力チェック」というストレスチェック法をご紹介します。
余力チェックの手順はいたって簡単。1日の終わりに余力を0~100%で記録するだけです。
例えば、「今日は化粧を落とす気力さえないから、0%」や「録画したドラマを見る余力があるから60%」というように、深くは考えずに直感で余力パーセンテージを記録します。パーセンテージと一緒にその日の出来事や感想を添えておくと、後々振り返りを行う際に役立ちます。
ストレス発散の仕方を間違えると、将来病気につながったり、別のストレスにさらされてしまったりする場合があります。特に、その場しのぎでストレスを避けようとする行動は、後々後悔するかもしれません。
ストレスを前向きに解消する行動、ストレスの原因を取り除いていく行動を心がけましょう。
ストレスを前向きに解消する方法として、「コーピング」という対処法をご紹介します。コーピングとは、「上手に対処する」という意味をもつ言葉で、適切な気晴らしやストレスの発散方法を指します。
コーピングにおいて重要なのは事前に考えておくこと。ここで、番組ディレクター(30代・女性)が作成したコーピングリストの一例です。
コーピングリストには、ストレス発散につながるものならなんでも入れていいというわけではありません。以下の3つに注意しましょう。
やけ酒ややけ食いなどは、後々自分のためにならない面もありますよね。将来の自分にとってメリットのある行動を選びましょう。
例えば「掃除をする」という行動でも、キッチンを掃除するのか、洗面台を掃除するのかなどは分けておくと良いでしょう。行動を起こす時に、気分や状況に合わせて、キッチンと洗面台どちらかを選べるようにするためです。
試してみるうちに、「今日はこちらの方がよかった」「今日はこちらの方が役にたった」のようなデータが蓄積されていきます。そういった積み重ねをもとによりよいストレス対処について考えていくとさらに質の高いコーピングが実現できます。
コーピングが多ければ多いほど状況に応じた選択肢を増やすことができます。ストレスの度合いや状況はその時々で異なりますので、対応するコーピングのバリエーションも多いほうが良いと言えます。
詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年5月 号に掲載されています。