MRIでは分からない?慢性腰痛を長引かせる精神的要因と脳の働きについて

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検査では異常が見られない 慢性腰痛の特徴と原因

腰の痛みが3か月以上続く状態を、慢性腰痛といいます。慢性腰痛には腰に異常がないのに痛みが続くケースと、腰の異常が治ったのに痛みが続くケースの2タイプがあります。

腰の痛みがよくなったり、悪くなったりするのを繰り返す場合も慢性腰痛に含みます。痛みの程度はさまざまで、なかには激痛を訴える場合もあります。

Q: 慢性腰痛は『検査などでは腰に異常が見られない』のに、なぜそんなに痛みが長く続くんでしょう?

下の写真を御覧ください。慢性腰痛の患者さんであるAさん(64歳女性)のMRIを見ると、しっかりと脊柱管が写っています。

慢性腰痛 MRI画像

例えば椎間板ヘルニアの方の場合は、ここに真っ黒なヘルニアが神経に向かって飛び出して神経を圧迫しているもの。また、脊柱管狭窄症であれば脊柱管がくびれて神経を圧迫しているはずなのです。

が、AさんのMRIの場合そのような神経の圧迫がほとんど見られません。つまり、画像的には異常なしというふうに判断される訳です。

Q: ではAさんの慢性腰痛は何が原因なのでしょう?

実はこのAさんは...この時人生に強い不安・ストレスを感じていらっしゃいました。慢性腰痛というのはそういった精神的ストレスが関係するという事が分かっています。

ストレスが原因で頭痛や胃の痛みといったような不調が起こるという事はよく知られていますが、実は腰痛もストレスで起こるという事があります。

Q: ストレスが腰痛を引き起こすのはなぜなんですか?

実は痛みを和らげる仕組みが脳にはあります。腰から痛みの信号が脳に伝わると、脳からドパミンという神経伝達物質が放出されます。

痛みを和らげるしくみ

すると、脳内でμオピオイドという物質が多量に放出されます。

その結果、神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンが放出され、痛みの信号を脳に伝える経路が遮断されます。この仕組みによって、腰痛などの痛みが気にならなくなったり、我慢できたりするようになります。

しかし、ストレス、うつ、不安などを長期間感じていると、脳でドパミンが放出されにくくなって、腰痛が長引いたり、わずかな痛みでも強く感じたりするようになるのです。

ストレス うつ 不安を長期間感じると

Q: ストレスにつながるのは例えばどういう事ですか?

もともとあった悩みや不安そのものはもちろんなのですが、それだけではなく精神的要因の有無をはっきりさせないまま腰痛の治療を繰り返すこと。それそのものが『効果が出ない』『一向に良くならない』といったストレスや不安を増大させ、悪循環を起こしやすいといった特徴を持っています。

慢性腰痛 悪循環の例

この場合、一般的な治療を繰り返すだけでは当然よくなりません。

医療機関では慢性腰痛の患者さんの精神的な要因をチェックする方法としてBS-POPという質問票が使われる事があります。


※以下の記事で BS-POP チェックについて解説していますので、ぜひご覧ください。

慢性腰痛を引き起こした精神的要因をBS-POPでチェック

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    腰痛 徹底対策「慢性腰痛」

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