【患者体験談】多重遺伝子検査によってホルモン剤を選択「乳がん」

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乳がんになったとき -私のチョイス-

あなたの場合、抗がん剤治療はやってもやらなくても正解

左胸に乳がんが見つかったAさん。がん細胞がホルモンによって増殖する「ルミナルタイプ」でした。さらにがんは脇の下のリンパ節に2つほど転移していました。Aさんは「乳房温存手術」を受け、転移のあったリンパ節も切除しました。

手術後、医師から2つの治療法が提案されました。ひとつはホルモン剤のみの治療、もうひとつは抗がん剤も合わせて使用する治療法です。そのどちらが正解だとは言えず、「どちらも正解」だというのです。どういうことなのでしょうか。
通常ルミナルタイプホルモン剤での治療を行いますが、リンパ節に転移がある場合やがんの増殖スピードが速い場合には、再発を防ぐために、抗がん剤を併用することがあります。Aさんの場合はリンパ節に転移があったため、抗がん剤も使った方が再発率は少し下がるかも知れないものの、副作用のつらさを考えるとホルモン剤だけのチョイスもあるというのが医師の説明でした。Aさんは迷ってしまいました。

「抗がん剤しかありませんよって言われれば、有無を言わせず抗がん剤をやっていたと思います。ただ『どちらも正解』って言われてしまうと、どちらかを選べなかったんです。」

多重遺伝子検査とは?

しばらく決断できなかったAさんは別の病院を受診しました。するとそこで、ある検査を勧められました。「多重遺伝子検査」です。手術でとった乳がんの組織から再発に関わる遺伝子を解析して、再発のリスクと抗がん剤による治療が勧められるかどうかを調べるものです。ただしこの検査、日本では保険適用外で、40万円~50万円という費用がかかります。

抗がん剤を回避

高額な検査ですが、悩んだ末、Aさんはこの検査を受けることをチョイスしました。
検査の結果は、0~100点の再発のリスクを示す「再発スコア」で示されます。Aさんの再発スコアは10点。再発リスクの低い、低リスク群でした。この場合、ホルモン剤だけでも、抗がん剤を併用しても治療の結果にはほとんど差がないと予想されました。そこでAさんはホルモン剤だけの治療をチョイスしたのです。

「『よかったですね、低リスクで』と言ってくださって。『抗がん剤やるよりホルモン療法で十分やっていけますよ』っておっしゃっていただいて。主人と喜びました。」

Aさんはその後5年間、ホルモン剤のみの治療を受け、現在まで再発はしていません。

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この記事は以下の番組から作成しています

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